表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

448/485

誤認

「伝令を出せ」


夜の見張り台で、短い命令が下る。


「フェルナード方面に不審な火点を確認。規模は不明、だが継続して観測中――と」


「はっ!」


兵が駆けていく。


残された二人は、なおも遠くの赤い光を見つめていた。


「……増えていませんか?」


ぽつり、と呟く。


最初は一点だったはずの光が、わずかに広がって見える。


「気のせいだろう」


その声にはわずかな迷いが混じっていた。


「炎は揺らぐ。距離があれば尚更だ」


「……はい」


納得しきれないまま、視線を戻す。

赤い点は、ゆらゆらと揺れながら――

確かに、そこに在る。


やがて。


「報告を受理した」


別の兵が戻ってくる。


「王都守備隊は、警戒態勢を一段階引き上げるとの事です」


「増援は?」


「現時点では無し。フェルナード軍の動きと照合中との事です」


「……そうか」


短く頷く。


「現状では、敵か味方か判別がつかん。不用意に動くな、という判断だろう」


「はい」


その“慎重さ”は、同時に遅れでもある。


「引き続き監視を続けろ」


「了解!」


見張りが交代し、また同じ光を見つめる。

遠く。あまりにも遠く。

確実に――近づいている。

王都はまだ、それを“正しく”認識していなかった。



「姉さん!」


足音と共に、部屋の扉が開かれる。


「どうした?」


振り向きもせず、落ち着いた声で応じる。


「どうも王都兵が……フェルナード方面へ。かなり離れているようですが、動きがあります」


「……そうか」


わずかに視線を上げる。


「分かった」


「動かないのですか?」


問いに、静かに返す。


「動く? 何故?」


「……援軍かも知れませんよ?」


一瞬の間。


「“かも”の時は動くな」


短く、断じる。


「……分かりました」


沈黙。やがて、ぽつりと思う。恐らく、あの船を使ったな。視線は遠く、見えない戦場へ。

反乱軍の補給線を潰したか?


わずかに口元が歪む。


「……上等な手段だ」


すぐに戻る。


「反乱軍は、おそらくまだ認識すらしていない」


一拍。


「なら――こちらが動く時ではないな」


アステリアは静かに結論を下した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ