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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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昼帰りの英雄(誤解)

「……ん。うーん……?」


柔らかい感触。天井。

見覚えのない――いや、王城の客人室だ。


「……ベットの上?」


ゆっくりと記憶を辿る。


「……あー……飲みすぎたか……」


王とエドラン。気づけば飲み比べ。

笑って、愚痴って、もう一杯。


「……二日酔いだ……」


頭を押さえつつ、跳ね起きる。


「――って、やべ!もう昼過ぎか!?」


慌てて従者を呼び、身支度もそこそこに部屋を飛び出す。


「うぅ……気持ち悪……」


ふらふらしながら港へ向かう途中――


「おう」


「……あ」


近衛隊長だった。


「例の物は引き取ったぞ」


「頼んだぞ!」


それだけで終わるかと思いきや、隊長は腕を組んで続ける。


「しかしアステリア」


「ん?」


「そんなに困ってたなら、早めに相談しろよ?」


「……?」


「お前の部下がな。泣いて喜んでたぞ?」


「……は?」


「余り部下に負担を掛けるなよ?」


「……あ、あー……まあな?」


よく分からないまま、話は締められる。


「じゃあな」


「……お、おう……」


去っていく背中を見送りながら、首を傾げる。


「……泣いて喜んでた?何の話だ……?」


そのまま港へ。



「おーい!おめーら!帰ったぞー!」


次の瞬間。


「……あねさん……!」


部下の一人が、シクシクと泣き出した。


「……は?」


「良いんですよ……!」


「おめでとうございます!!」


「……はぁ?」


「そんな肌艶良く帰って来て!お祝いでもしますか!?」


「……何のだよ!?」


すると、別の部下がニヤニヤしながら口を挟む。


「まあまあ、あねさん」


「?」


「お互いフリーですし!」


「……は?」


「近衛隊長、中々良いやつでイケメンですし!」


「はぁぁ!?」


さらに畳み掛けるように――


「まさか……朝帰りどころか昼帰り!!」


「――ブッ!!」


「朝、近衛隊長が例の物取りに来た時ですよ!」


「?」


「あねさんの事聞いたら!」


「?」


「まだベットで寝てるって言ってたんで!!」


「ばっか!!」


思わず叫ぶ。


「そんなんじゃねー!!」


「そんな照れなくても!」


「この――!!」


アステリアの拳が、容赦なく一人の頭に落ちた。


「痛ぇ!!」


「勝手な想像すんな!!」


しかし――


部下たちの顔は、どこか嬉しそうで。

アステリアは頭を抱えた。

誤解だけが、今日も元気に量産されていた。

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