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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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普通じゃない採用面接

はぁ〜。メイヤは深く息を吐いた。


「お父様から……こってり怒られましたね……」


「そうだね……」


ミュネも同じく肩を落とす。


「こんな筈じゃなかったのよ。ミュネ」


「はい……」


少し間を置いて、メイヤが思い出したように聞く。


「……あの変人は?」


「はい」


ミュネは即答した。


「最初はリディア様が縛り上げていましたが、何度もスルスルと抜け出しまして……」


「うん、想像出来るわ」


「その後、セリア様が縛り上げました」


「……」


「セリア様が縛った縄は、解けなかった様です」


一瞬の沈黙。


「……それは、それで」


メイヤは遠い目をする。


「お母様、恐ろしいわね……」


さて、と気を取り直すように。


「初対面……ではないけど。一応、ちゃんと話をしましょうか」


――別室。


そこに居たのは

明らかに苛立っているリディア。

腕を組んで立つセリア。

壁際で静観するアステリア。

そして、仕事を終えて噂を聞きつけて来たナータ。


そして中央。


縄で縛られ、椅子に座らされた――

リュミエル・フェーン。


「やっと話せるな?」


開口一番、それだった。


「ちょっと!」


メイヤが声を荒げる。


「呼んだのは確かに私だけど!普通に来なさいよ!」


「はぁ〜?」


リュミエルは心底不思議そうに首を傾げる。


「私の普通は、これだが?」


その瞬間。


「ぷっ……」


耐えきれず、ナータが吹き出した。


「……」


全員の視線がナータに集まる。


「い、いや……失礼……」


咳払いで誤魔化すが、口元はまだ緩んでいた。


メイヤが一歩前に出る。


「……まあ、いいわ」


視線をリュミエルに向けて。


「貴女。ここで働く気は、あるの?」


「あるから来たぞ?」


即答だった。


「じゃなきゃ、わざわざ来ねぇ」


「……それならいいわ」


メイヤは頷く。


「雇います。ただし――」


視線が鋭くなる。


「ルールは守りなさい」


「解った」


リュミエルは少しだけ真面目な顔で言った。


「約束しよう」


「え!?」


思わず声を上げたのはリディアだった。


「こんな人、雇うの!?」


「はい」


メイヤは即答した。


「この人が開発した物に、興味があります。

ここで、その研究をして貰います」


「……」


リディアは言葉を失う。


アステリアは、静かに納得したように目を細めた。


ナータは、にやりと笑う。


「……まあ」


メイヤが肩を竦める。


「細かい事は、おいおいね」


そして一言。


「よろしく。リュミエル・フェーン」


「おう!」


縄に縛られたまま、リュミエルは満面の笑みを浮かべた。


「任せとけ!この領地、退屈はさせねぇぞ!」


――こうして。


最も厄介で、最も可能性に満ちた人材が、

正式に領地へ迎え入れられたのだった。


アステリアが、ふっと眉をひそめた。


「……お前、いくつだ?」


「永遠の16歳だけど?」


即答だった。


「……」


アステリアの額に、ぴくっと青筋が浮かぶ。


「学園には、通ってたか?」


「まあ」


その一言で、アステリアの中で何かが繋がった。


「……お前」


低い声になる。


「学園の実験小屋、爆破した奴か?」


「はぁ!?爆破なんかしてないわよ!」


リュミエルが即座に言い返す。


「全焼しただけよ!」


「違いあるかぁぁ!!」


リディアが思わず突っ込む。


「いやいやいや!なんか、やべー事してるだろ!?」


アステリアも一歩前に出た。


「実験してたら、燃え広がっただけよ!」


胸を張って言い切る。


「事故!事故!」


「……」


アステリアは、頭を押さえた。


「俺は直接は知らねぇが、、」


ゆっくり言う。


「だがな。俺の二つ下の代に“実験小屋を爆破した学生が居る”って噂は聞いた事がある」


「だから!」


リュミエルは食い気味に訂正する。


「全焼!」


「訂正になってねぇ!」


ナータが腹を抱えて笑い出す。


「はははっ……!あぁ……これは……」


セリアは、ため息をついた。


「……メイヤ」


「はい……」


「面倒なのを拾ったわね」


「……ええ」


メイヤは、静かに頷いた。

その場にいる全員が理解していた。


――この奇術師、才能は本物だが、危険度も本物だと。


リュミエル・フェーンは、にっ、と楽しそうに笑った。


「安心しろよ」


「今度は、ちゃんと燃えない様にするからさ!」


「安心出来る要素、どこ!?」


領主館に、再びため息と笑い声が混じった。


こうして。

彼女の“過去の爆弾”も含めて――

領地に、新たな火種が確定したのだった。

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