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【完結】神様と呼ばれた精霊医 ~その癒しは奇跡か、祝福か~   作者: 川原 源明
第21章 世界へ

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第407話 未来

フェアノールが、来て再びミーティングが始まった。


 部屋の空気が、緊張で張り詰める。


「フェアノールさん、現時点で治療方針は決まっていないのが現状です」


「でしょうなぁ、ですが案は出ているのでしょ?」


 イリーナが皆を代表してフェアノールに話していた。


「えぇ、他の身体から無事な心臓を移植、もしくは人工心臓という案が出ていますね」


「やはりそうでしたか、移植をお願いできますかな?」


「……、出来るか分らないんですけども……」


 イリーナが戸惑う。


「あなた方なら出来ますよ、絶対にね」


 フェアノールが断言した。深い確信を込めた声。


 そりゃそうだろう、男の子の未来の人物が目の前に居る。そうなると私達は結果的に手術を成功させたって事になる。


「やはりあなたは……」


「えぇ、もう私の事を知っているのでしょう?」


 イリーナが私の方を見た。


 ぇ?


 私が答えるの?視線が集まる。


「えぇ、ラミナさんの精霊から聞いています」


「そうですか、皆さんが知っているように、あの子は四歳の私自身です。そしてあの子があなた方の手によって生きながらえたのが私なんですよ」


「そうでしたか、そうなると、あなたは自身がどのような手術をしたかも知っているのですか?」


「えぇ、確かラミナさんと契約する空間精霊から丈夫な心臓を受け取りそれを私の身体に入れたと」


 表現は間違っている気がするが、クゥの所で作ったダミーから心臓を抜き、本来の身体に移したと言うことだろう。


「そうでしたか……、一つ確認なのですが、私達の未来も知っていると認識してもいいですか?」


「えぇ、知っていますとも、知りたいのであればお話ししますよ」


 私の未来……、凄く気になる……。胸が高鳴る。


「えっと……」


 イリーナが答えに困っている様子を見せた。


「あの、私知りたいです!」


 一番最初に口を開いたのはミアンだった。目を輝かせている。


「良いでしょう、あなたは手術前後のケアに関して名医と呼ばれるようになりますよ、特にイリーナさんと共にルマーン帝国内で医療の発展に尽力していきますね」


 私は医療の発展に尽力しないのかな……?首を傾げる。


「ぇ……、ラミナは?」


 医療の発展という部分に私の名が無かったからだろうか?


 ミアンがフェアノールに問い返していた。


「ラミナさんの話も出来ますが、どうしますか?」


 フェアノールが私を見て尋ねた。


「お願いしても良いですか?」


 私は私自身の未来が気になるので聞いてみた。


「ラミナさんは、数年後には、神様と呼ばれるようになりますね、実際に、聖地ラミナを含むこれまでの行いや、今回の手術を含むどんな困難な手術も百パーセント成功させた事は後の世には伝説として伝わっていますよ」


 私が治せなかった病気はないって事だろうか?驚いて目を見開く。


「治せない病気が無くなると言うことでしょうか?」


「いいえ、あなたが関わった病に関しては確実に治療方法が確立しますが、あなたが関わらなかった病に関しては、と言ったところでしょうか、五百年先の未来でもまだまだ治せない病が存在しています。ですが、あなたの治療方法や考え方が多くの病の治療の元になったのも事実です、とくに移植手術と欠損再生に関しては後の世でも大きく評価されているんです」


 私が絡んだ病気に関しては確実に治療方法が確立……、以前"設計図の異常で"と言った話があったけれど、それも治療方法が確立するって事だろうか?


「あの、設計図の異常で病を発症って物もなんとかなるんですか?」


「設計図……、あぁ遺伝子治療のことですな、えぇ、今から数十年後にはなりますが、あなたは治療法を確立させますね」


 出来るようになるんだ……、でもどうやって……?


「方法は……?」


「それは、あなた自身が見つけてください、正直私自身医療関係者では無いので詳しくは知らないんですよ、ですが、確実にあなたは治療方法を見つけるんです」


 そうなるか、まぁ仕方ないのかな。頷く。


「分りました」


「私はどうなるんだ?」


 私の話が終わると、ライラがフェアノールに聞いていた。身を乗り出す。


「あなたは、将来無くてはならない存在になっていますよ。脳を除く全ての臓器を作り出すことに生涯を捧げています。実際に多くの臓器を再現させ、多くの移植手術に貢献している事も事実です」


 多くの臓器を再現……、これはある意味凄いかも……。私じゃなくても移植手術が出来るようになるということだろうし。


「そうなのか!?」


 ライラが驚いた声を上げる。


「えぇ、私が見たのは最大で五百年先、その時点ではまだあなたが生きておられたので、他にも何かするかもしれませんね」


 と言うことは、私はもう生きていないって事だろう、まぁ五百年なんて、生きていられるのはエルフだけだし、ここに居るメンバーでエルフはライラだけだから仕方ないのかな?


「ほぉ、答えが見つかっているなら、やる気が出る!」


 それは分る。出来るかどうか分らない事よりも、確実に出来るという希望があるのなら、やる気が出る。私自身も、私が関わった病に関しては治療法が確立すると聞いて目の前が明るくなった気がするからだ。


「そういえば、私は医療の発展に尽力しなかったのですか?」


「あなたの場合は生涯現場で動いていたそうですよ、現場での育成には尽力されていたかと思いますが、イリーナさんとミアンさんはアカデミーで教育に携わっていたり、後世の育成に関わっていましたからね」


 まぁ、そっちの方が適任な気がする。私自身は、あまり人に教えるというのは向かない気もしている。


「そうなんだ」


 源とイリーナは聞かないんだろうか?


「お二人は聞きますか?」


「私は結構」


 源はきっぱりと返していた。


「私も大丈夫です。後の世に医療の発展に尽力したと評価されている事が知れれば十分です」


 イリーナが今回同行している理由がそこの部分だったと記憶しているし、評価されていると知れるだけでも十分なんだろうか?


「とりあえず、治療方針は移植と言うことで良いですかね、方法はこれから探していくということで」


「「「はい」」」


 声が揃う。


 ノーア君の命をつなぐ為の模索が始まった。


 未来を知る者と、未来を作る者。


 運命の歯車が、動き出す。


 重い責任と、確かな希望。


 胸が、熱くなる。


 必ず、救ってみせる。


 そう心に誓った。


読んでくれてありがとうございます!


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