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【完結】神様と呼ばれた精霊医 ~その癒しは奇跡か、祝福か~   作者: 川原 源明
第21章 世界へ

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404/411

第404話 心筋切除本番

練習から数日後、いよいよ手術の日になった。


 朝日が差し込む。窓の外から、鳥のさえずりが聞こえる。深く息を吸う。


 この数日間は、治癒院での実習が終わった後は、ミアンと一緒に何度も練習を繰り返したり、ちょっとした実験をしたりとして過ごしていた。


 一通りの準備を済ませ、今日は薩摩の治癒院院長の源が立ち会っている。


「ラミナ君の腕前を見せて貰いますよ」


 源が期待に満ちた目で見る。


「はぁ……」


 構わないのだけど、源は微妙に邪魔になりそうな位置に居る。


「源先生、そこはラミナさんの邪魔になると思うので、こちらへ」


 よかった、イリーナが対応してくれた。


 私の横から対面に居るイリーナの近くに移動していた。


 今回は私の右にまん丸、左側にミアン、患者の頭付近にミント対面にイリーナと源といった立ち位置になっている。ミアンは心筋切除作業の際には、まん丸が私に渡す道具の準備という仕事になり、まん丸のサポート役になる。


 カブリトの麻痺薬で、患者の意識を落とし、呼吸サポート取り付けまでの準備を一通り済ませ、いよいよ本番だ。


 集中する。心を落ち着かせる。


「それじゃあ、開胸していきます」


『『『『「「はい」」』』』』


 今回は心臓が対象なので患者の左胸部の下を切り開いていく。メスが、肌を切る。


 そして練習通り、心臓を守る肋骨部分を二本切除し外していく。パキッと、骨を切る音。


「アクア、お願いね」


『えぇ』


 無事な部分を凍らせると当然のことながら、心臓の動きが悪くなる。練習中に何度も感じたが、血流がかなり悪化するのが分っている。


 そのため、心臓を握っている左手で心臓の動きをサポートしながら、右手で壊死した部分を切除していく。温かい感触、規則的な鼓動。


「なるほど、直接握って動きをサポートしているんですね」


「えぇ、そうだと思います」


 源の問いに答えるイリーナ。


 イリーナの前では、心臓の動きをサポートするようなやり方はやっていない、ミアンと何度も練習した結果、二人でこうした方が、ああした方がと言った結果、やることになった手法だ。


 私の目では切除は終わったと思うけれど……。


「アクア、大丈夫そう?」


『えぇ、問題なく』


 切除を終えると、今度は回復工程にはいる。


 メスから、ポーションにもちかえ切除部分を回復させる。緑色の液体が、傷口に染み込む。


 ボーンヒールを使い、外した肋骨を戻す。


 そして最後に、切った皮膚を回復させてから、穴の空いた針を刺して。アクアクリーンを使って自発呼吸が戻って来たら、呼吸サポートを外しておしまい。



「以上になります。お疲れ様でした」


 ため息が漏れる。肩の力が抜ける。


『『『『「「おつかれさまでした」」』』』』


 何度も練習したおかげで今回も本番が無事終わることが出来た。


「片付けようか」


『はい』


『「うん」』


『ほ~い』


 ミアンと精霊立ちと一緒に片付けを始めると。カチャカチャと、道具を片付ける音。


「イリーナ君のレポートを読んだだけでも信じられぬ思いと凄いとは思いましたが、実際に見て見るとその凄さが分りますね」


「そうですよね、私も最初は傷つけて治療するという手法をヴィッシュ先生から聞いたときは信じられませんでしたから、でもラミナさんが居たから、死なずに済んだ人は多いと思いますよ」


「そうですね、ここ数年で出生率が大きく上昇していますからね」


「えぇ、それは間違いないですよね」


 そういう話は、私が居ないところでやってほしいんだけども……。顔が熱くなる。


 そういえば、ここに来る切っ掛けにヘルプと書いてあったけども、その話は一切聞かないけれど、もう良いのかな?


 ヘルプの依頼が手紙という事を考えると、片道でも一ヶ月だろうし、こっちに来るまでも一ヶ月かからないくらいだったから、手遅れの可能性が非常に高そうだけども……、こればかりは仕方が無いと思う。


 イリーナと源が会話しているなか、片付けを終えてミアンと一緒に手術室を退出した。足音が、廊下に響く。


 時間も実習の終り時間だし、ミアンと一緒にスタッフルームで今回の手術に関してのふりかえりをして時間を潰し、終業と同時に、ミアンと一緒に薩摩の町に夕食を食べに出かけた。


 夕日が、町を染める。


 オレンジ色の光が、石畳を照らす。


 美しい光景に、心が和む。


 成功した。


 患者さんを救えた。


 胸が温かくなる。


 ミアンと並んで歩く。


 新しい治療法、新しい可能性。


 また一歩、前に進めた気がした。


 充実した日々。


 そう思いながら、私は夕日を見つめた。


読んでくれてありがとうございます!


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