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【完結】神様と呼ばれた精霊医 ~その癒しは奇跡か、祝福か~   作者: 川原 源明
第21章 世界へ

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第403話 壊死した心筋切除

アカデミーから寮帰ってきて思った。


 朝見せてもらった患者に何か出来ることが無いかを考えないとだ。


 部屋の窓から、夕日が差し込む。オレンジ色の光が、床を照らす。


 ライラとミアンと一緒にクゥの所に行こうかな?


 この場合はイリーナにも声を掛けた方が良さそうだし、全員で行くべきだろうか?


 とりあえず、全員に声を掛け、いつもの練習場に向かった。


「ラミナさん、これから何かするのですか?」


「朝診た患者さんの対応についてですかね、クゥの力をつかって現状把握したくて」


 アクアが色々と教えてくれたけれども、実際に見て見ないと分らない。


「それもそうですね」


 イリーナが頷く。


「クゥ、今朝見た人のダミーをお願い」


 私がそう言うと、部屋の中央に、台の上に乗った高齢女性のダミーが現れた。光が集まり、形が作られる。


「それじゃあ、準備を……」


 ミアン、イリーナもそれぞれ準備を始め、私もまん丸とミントの身体となる物を出したりと準備を始めた。カチャカチャと、道具を並べる音。


 全員が準備を終えたのを確認すると。


「じゃあ、早速、今回は心臓の状況確認だけなので、そのまま切っていきます」


『『『「「はい」」』』』


 自我もないため、痛みを感じない、そのためカブリトの薬品とかを使わずそのまま身体を切り開いていく。


 心臓を見て見ると、右下に一番大きい硬貨くらいの大きさの黒ずみが確認できた。暗く、生気のない色。


「これが原因?」


 近くにいるアクアに尋ねた。


「そうです」


 黒ずんでいる心筋が原因ならば、欠損と同じ対応で行けるような気がする。


 壊死している部分の切除してからのヒールポーションで対応出来るんじゃないだろうか?


「ラミナさんどうしました?」


 考え込んでいたため手が止まっていた私に横にいるイリーナが尋ねた。


「あっ、いえ、これもしかしたら簡単かもです」


「ぇ?」


 イリーナが驚いた顔をする。


「心臓機能が悪いわけじゃないなく、壊死している心筋なら、その部分だけ切り取れば良いんじゃないかなと……」


「確かにそうですね、このままやってみますか?」


『一番厚い部分ですが、大丈夫ですか?』


「壊死している部分削ったら穴があく?」


『いいえ、僅かですが壊死していない部分もあるので旨く削れば大丈夫ですよ』


 アクアの発言を聞いてとりあえずはやってみようと思った。深く息を吸う。


「はい、それじゃあ、これから壊死している部分を切除していきます」


 先に心臓から壊死している心筋を切り取る作業を行うつもりでいるが、問題はどうやって作業するかだ。


 壊死しているのは私から見て右手前付近、胸骨と肋骨が覆っていて邪魔なわけで、心臓を下に引っ張り出すわけにも行かないし……、肋骨を一端切り離す……?


 ボーンヒールの軟膏を台の上に用意しておかないとだ、一度離れ、カバンからボーンヒールの軟膏をだした。


「ボーンヒールってことは、肋骨をはずすんですか?」


「じゃないと、邪魔で作業しにくいですからね」


「そうですね」

 

 心臓を覆い、作業に邪魔になると思われる肋骨を胸骨から右部分を切り離し、作業の邪魔にならないであろう部分で切り肋骨を取り外していく。パキッと、骨を切る音。


 肋骨を取り外したら今度は、肝心の心臓部分だ。


 左手で心臓を持ち、右手でメスを使いながら、野菜の皮を剥くように作業をしていく。


 常に動き続ける心臓、作業しづらい……。"簡単かも"と言ったが思っていた以上に困難だった。集中する。汗が額に滲む。


「アクア、無事な部分を凍らせて固くして貰ってもいい?」


「えぇ」


 これで多少はやりやすくなったはず、メスで慎重に壊死した部分をそぎ取っていく、見た目的に黒い部分が無くなったかな?


 結構な量をそぎ取った気がする。


「とれた?」


「えぇ、壊死した部分は取れましたよ」


 壊死した心筋切除が終わると今度はヒールポーションによる回復工程だ。

 

「動きは大丈夫そうですね」


「そうですね、壊死した場所を切り取っただけですから、それじゃあポーションでの回復工程にはいります」


 まん丸が差し出してくれたハイヒールポーションを使ってみると、壊死して切除した心筋が綺麗な状態で再生され心臓の方にも問題なくくっついた。ピンク色の、健康な筋肉が現れる。




「心臓の方はこれで大丈夫そうかな?」


 私はアクアを見た。


「えぇ、大丈夫ですね」


 アクアが微笑む。


「了解、肋骨を戻してお腹を閉じていきます」


 ボーンヒールの軟膏を使い、外した肋骨を元に戻していく、くっついたことを確認してからお腹を閉じた。


「これで終り、状況は?」


「問題ありませんよ」


 アクアからOKがでたなら、これで大丈夫なんだろう。ほっとする。


「治療できそうですね」


「そうですね、源先生に伝えて近いうちに手術出来るように手配しますね」


「お願いします」


 これで、大丈夫かな?


 とりあえず、治療の目処が付くと、イリーナとライラが練習場から出て行った。扉が閉まる音。


「ラミナ、練習する?」


 ミアンが尋ねる。


「うん、何回か練習しようか」


「うん」


 その後はミアンと二人で、何度も何度も練習を繰り返した。アクアのサポート無しだと、心臓に穴を開ける確率が四十パーセント位だった……、都度ミアンが直ぐポーションをかけてくれたため、なんとかなったが、思った以上に難しい作業だった。


 何度も失敗し、何度もやり直す。


 集中力が続く限り、練習を続けた。


 汗が滴り落ちる。手が震える。


 でも、止められない。


 この患者さんを救うために。


 そう思いながら、私は練習を続けた。


 成功率が上がる。少しずつ、確実に。


 大丈夫。


 きっと、救える。


 そう信じて、私は手を動かし続けた。


読んでくれてありがとうございます!


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