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【完結】神様と呼ばれた精霊医 ~その癒しは奇跡か、祝福か~   作者: 川原 源明
第21章 世界へ

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第402話 再会

寮の入り口に行くと、既にミアンとイリーナが待っていた。


 二人が笑顔で手を振る。


「すいません、お待たせしました」


「大丈夫ですよ、揃ったので行きましょうか」


「というか、見学許可下りるんですか?」


「下りますよ。基本的に教師が付いていれば見学は可能なんです」


「あっ、そうなんだ……、先生はここを知ってるんですか?」


「知っていますよ、二人と同じように私もポートリタ、薩摩、センターリタと三年間掛けて回ったんですよ」


「へぇ~」


「ここの中に入ったのは卒業後直ぐに源先生に連れられてなんですけどね」


「あっ、そうなんだ」


「えぇ、私は昨年まで細菌学を教えていましたが、前任者が源先生なんです」


「ぇ、入れ替わるように源先生がこっちに?」


「その通りです」


「そうなんだ」


 建築様式はグリーサのアカデミーと大して変わらない気がする。白い壁、高い天井。


「ちょっとこちらで待ってくださいね」


 春休み期間中だからだか、生徒の数が極端に少ない。静かな廊下。


 しばらく待っていると、イリーナが出てきた。


「すいませんお待たせしました。この国では騎士科ではなく武術科と呼ばれている場所から行きましょうか」


「「はい」」


「騎士科じゃなくて武術科って言われている理由があるんですか?」


「そうですね、この国では騎士というものが存在してないんです」


「ぇ?そうなんですか?」


 驚いて目を見開く。


「えぇ、近い物で侍というのでしょうかね、なので武術を学ぶ場として武術科という名称になったそうですよ」


「へぇ~」


 校舎内を奥へ奥へと歩いて行くと、足音が響く。


「ここからが武術科の校舎になります。ここは案内してくれる人が居るのですがまだ来てないですね」


 この時点でなんとなく誰が来るか想像ができた。


「もしかしてハンゾー先輩ですか」


「察しが良いですね、その通りです。彼は臨時講師としてこの学園で武術指導に当たっているんですよ」


 そうなると、おそらく魔法科を案内してくれるのはミラな気がした。胸が高鳴る。


「待たせてすまない」


 そう言って現れたのは、あの頃と変わらないハンゾーだった。凛とした姿。


「お久しぶりですね、半蔵君」


「お久しぶりです。イリーナ先生薬草薬学クラブ以来ですね」


「えぇ、そうですね」


 イリーナとの挨拶が終わると、ハンゾーはミアンと私に目をやった。


「二人とも大きくなったな」


「もう何年経ったと思っているんですか……」


「そうですね、お久しぶりです半蔵先輩」


 ハンゾーの言葉に対して、思ったことを口にした私とは違いミアンは丁寧に挨拶をしていた。


「そうだったな。それでは案内しよう」


 その後は、ハンゾーの後に続いて、闘技場や武道館等グリーサのアカデミーにはない施設を案内して貰った。


 武道館の畳が広がる場を案内されると。


「これ床に広がっているのって何ですか?」


 畳を見つめる。独特の匂い、感触。


「畳だ、柔術なんかは投げ飛ばされるからな、この上でやることになっている」


「グリーサのアカデミーには無いですよね……?」


 畳というものを見た覚えが無い。


「いや、一応練習場にあったはずだが、使われないときは片付けられているから知らないだけだろう」


「あ、そうなんだ」


「うむ、ところで、先ほどから思ったが、自分から師事を受けたあと誰かに学んだか?」


「あっ、わかります!?ミントとグレンに教わっているんですよ、それにポートリタではファラ先輩からも学びました!」


 正直、気づいて貰えたことがなんだか嬉しかった。


「ふむ、少し手合わせするか?」


「いいですよ、あの頃と同じだと思わないでくださいね!」


「あぁ」


 ポートリタではファラと鍛錬していたけれど、久々に師匠であるハンゾーと手合わせ出来るのが嬉しかった。


 ハンゾーが、畳の上のラインまで行く、私も後に続きハンゾーと向き合う形で構えた。深く息を吸う。集中する。


「いつでもどうぞ!」


「行くぞ!」


 やはりハンゾー先輩としてではなく、師匠として手合わせしてもらえるのは楽しい。今まで拳聖スキルを持つファラと手合わせをしていたからか、ハンゾーの攻撃は軽くて遅く感じる。


 師事していた頃とは違い全ての攻撃が見え、払うことが出来た。体が自然に動く。


『見えているな』


 グレンの言葉に内心"うん!"と思いながらハンゾーの攻撃を捕えて投げ飛ばした。ドンと、畳に音が響く。


 ハンゾーが起き上がると。


「ずいぶん腕を上げたな、もう自分が教えることは無いな、このまま自身で鍛錬を続けるんだ」


 師であるハンゾーに認められたことは凄く嬉しかった。胸が熱くなる。


「ありがとうございます!」


 私は思いっきり頭を下げお礼を言った。


「五月の国際武術祭に参加してみると良い、今の君なら良い線行くはずだ」


「ぇ?」


 驚いて顔を上げる。


「ルールは学内武道会と大差は無いからな、まぁ時間があったら考えておくと良い」


 武術祭か~、正直良いかな……、強くなりたいからと言うより、自分自身の身を守るために続けていることだし、もっと言うと、受け身の武術だし、自ら攻撃する手段はファラから数ヶ月学んだ程度だし、良いかなぁ……。


「十一月のルマーンの国際武道会とは違うんですか?」


「あれと同じ規模で同じ内容だな」


「そうなんだ、武道会は考えておきます……」


「そうか、気が進まぬならそれでいい、武術科はこれで全部だからな、魔法科に行くか」


 気がすすまないことがばれた。苦笑する。


「はい」


 その後は武術科棟から魔術科棟に移動した。魔術科棟には思っていたとおり、ミラが待っていた。


 明るい笑顔、変わらない雰囲気。


「やほ~、ラミちゃん、ミーちゃん久しぶりだね~」


 この人のノリは数年経っても変わっていなかった。


「「お久しぶりです」」


「うんうん!久しぶりだね!それじゃあ魔術科棟を案内するよ~」


 その後はミラに、魔術科棟を案内して貰ったが、商業科、錬金科棟まで案内して貰った。


 ミラに学内を一通り案内して貰い終わると。


「こんな感じかなっ、何か質問ある?」


「や~私は大丈夫かな」


 ミラの場合はこちらが訪ねる間も無くどんどん説明していったから疑問は特になかった。アカデミーを利用するわけでもないので気にはしなかった。


「私も大丈夫です」


「そっかそっか、それじゃあ時間も時間だしご飯にしよう~」


 時計を見ると、十一時半を回っていた。


「それもいいですね、ラミナさんとミアンさんはどうしますか?」


「食べます」


 お腹は空いている。ぐぅと、お腹が鳴る。


「私も行きます」


「うんうん、それじゃあ食堂に行こう~」


 ミラの後に続くと、ルマーンのアカデミーと変わらない食堂があった。ここも学生の姿がちらほらと見られるが、ガラガラだった。


「システムはルマーンのと同じだから、買ったらあそこの席で食べようか」


 と言うことで、倭国国立アカデミーでの昼食になったわけだけれども。


「リクエストは~?」


『お刺身定食~』


『ぼくも!』


『いいじゃないですか?』


『うちもそれでええで』


『俺も構わん』


 エセリアを見ると頷いていた。


「んじゃそれにしようか」


 刺身定食を購入して席に移動した。食事は久々にミラと会ったことから会話に花を咲かせて、食べ終わるとお開きになった。


 笑い声、楽しい時間。


 新しい場所で、懐かしい人と。


 幸せな時間だった。


読んでくれてありがとうございます!


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