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【完結】神様と呼ばれた精霊医 ~その癒しは奇跡か、祝福か~   作者: 川原 源明
第21章 世界へ

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第395話 ロストン訪問診療実習

 ロストンが近づくと、スターダストフラワーの数が増えてきた。


 道の両脇に、淡い光が点々と灯る。美しい光景。


 それと反比例するように精霊達の数が明らかに減っていった。


「なんか精霊の数が明らかに少ないよね?」


 周囲を見渡す。


『この辺りは、大気中に魔素自体が無いですからね』


『せやから、子ども達も長くは生きられんのや』


「そうなんだ」


 そんなことを思いながら馬車から外をを眺めていた。


 しばらくすると、ロストンの町に到着した。パカパカと、蹄の音が止まる。


 馬車を降りて気づいたことがある。


 アルバライトと同じ雰囲気の町だった。城壁らしい城壁はなく、簡単な木の柵で囲われており、住居は巨木の幹に彫られた穴だったり、地面にあるのもあるが、木の高いところにある木造の家だったりするようだ。緑に包まれた、静かな町。


「なんか変わった町ですね」


「ここは昔エルフ達が住んでいた都なんですよ」


 クロットが説明する。


「ぇ?と言うことは……」


『そうだよ~ファラの部下の女性が話してくれたダイダラボッチ伝説の冒頭がここなんだ~』


「ここを追いやられて森の奥にって事?」


『そうだよ~』


 と言うことは、かつてのまん丸だった山もこの近くにあったって事か。


 でも、今住んでいる町の人達を見ると、エルフやリンクル族が多いように見える。長い耳、優雅な仕草。


「人族ってあまり居なく無いですか?」


「えぇ、ここは自治区になると同時にエルフ達に返還された町なんですよ」


 イリーナが答える。


「当時はまだ、この場所を追われたエルフ達が多く生きていましたからなぁ、この地に愛着を持つエルフ達の大半が戻って来たんです」


 エリザとクロットが理由を教えてくれた。


「それに、私達人族からすると、この町は少し住みにくいんですよね」


  住みにくい理由がよく分らなかった。首を傾げる。



「家が高いところにあるからとか?」


 とりあえず、他の町との違いを挙げてみる。


「えぇ、それもありますが、水源が遠いんですよ」


「ん、井戸とかじゃ無いんですか?」


「いえ、近くの川まで行かないと行けないんです」


「エルフの人達はどうするの?」


 生物が生きる上で一番大事なものが水だと思うけど。


「汲みに行っていますよ」


「ぇ?」


 驚いて目を見開く。


「時間の考え方の違いですね」


 イリーナが答えていた。


「どういうことですか?」


「人族の平均寿命は六十年ちょっとです。ですがエルフ達は六百年、八百を越える方も珍しくないんですよ、故に水くみに使う時間割合とか、そういった意味では短命の人族の方達はこの地をあまり好まないのです」


「はぁ……」


 寿命が変われば考え方が変わってくる物なのかな?


「リンクル族も長寿なんですか?」


「そうですね、リンクル族の場合は二百~三百年位になりますね」


 イリーナの言葉を聞いて思う。


 なんというか、寿命の差が激しい気がする。


「人だけ圧倒的に短い!」


「フッフフ、そうですよね、まぁそういった理由でここに住んでいる人族は少ないんですよ」


「へぇ~」


「イリーナさんの言うとおりで、それ故にエルフやリンクル族の方々が多いんです」


「はぁ、なるほど……」


 納得する。


「で、今回ここでの実習を決めた理由なのですが、薬師は存在するのですが、この町には治癒院と言ったものが無いんです」


「そうなんだ」


「えぇ、なので今回の実習は出張診療と言うことになります」


 ここに来てから、実習の目的を発表されたけども。


 私からすれば、どこで診療するのも変わらない気がした。


「了解です。というか患者さん来ますかね?」


「来ますよ、私の手を治療した医師が来ているんですからね」


 エリザが微笑む。


「そういう意味では、バッチリな宣伝ですね」


 まぁ、困っている人が助けを求めやすくなるなら何でも良いけども……。


 こうして一ヶ月間ロストンの町で訪問治療と言う名の実習が始まった。


 実習期間中は、エリザの手を治したという事が町中に広まり、実習相手には事欠くことは無かった。


 期間中、最も多かった相談が、どこかが痛いとか病気的な事では無く、妊娠しないという相談が多かった。これに関しては、昔ガーネットにやったようにアクアの力を借りて妊娠しやすくするおまじないをして終わらせていたが、鑑定持ちでも居たのだろうか?


 まじないを受けた翌日には妊娠発覚、効果があるという評判が立ち、忙しい毎日を送ることになった。朝から晩まで、人が訪れる。


 そんなことをしているうちに、あっという間に実習期間が終わってしまった。


「なんか、おまじないしかしてなかった気がする……」


 ため息が漏れる。


「ラミナ指名の人多かったね~」


 ミアンが笑う。


 指名制度なんて無いはずなのに……。


「良いことじゃないですか、健康に興味を持って貰えただけでも大きな一歩なんですから」


 イリーナが優しく言う。


 それはそうだ、この町の人達は元々、病気や怪我は気持ちの問題という、謎の精神論者が多かった。私も病は気持ちから来るという部分は同意できるが、"怪我は気持ちの問題じゃ無いと思う!"なんて思っていた。


 滞在期間中はスターダストフラワーを使った料理とかを出されたが、甘みが強すぎて口の中に残り続ける事が、私は好きになれなかった。舌に纏わりつく甘さ。


 あっという間の実習期間を終えポートリタに帰る事になり、沢山の人に見送られながらロストンの町を後にした。


 手を振る人々、笑顔、感謝の言葉。


 胸が温かくなる。


 また一つ、大切な思い出ができた。


 馬車が動き出す。パカパカと、蹄の音が遠ざかる。


 緑の町が、小さくなっていく。


 スターダストフラワーの光が、道を照らす。


 美しい光景を胸に、私たちはポートリタへと向かった。


 新しい経験、新しい出会い。


 充実した日々だった。


 また来たいな、と思った。


 そう思いながら、私は窓の外を見つめた。


読んでくれてありがとうございます!


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水源が遠いから返すとか、何のために奪ったんや
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