第394話 幕間 リタとデリワール王国
植物の大精霊ミドリ(ミント)視点
魔大陸に流れ着いて既に一年以上の時が経ち仲間が増え、拠点も大分形になってきた頃
木造の建物が並び、生活の匂いがする。でも、まだ足りないものがある。
「はぁ~肉ばっかりで飽きたんだけど!」
リタのため息が、部屋に響く。
「仕方ねぇだろう、誰も住んでいねぇし野菜とか果物なんてねぇぞ」
シュウのぼやきに対してリタが反応した。
「せやったら、南の大陸にあるミルドに行ってみたらどうやろ?」
うちが提案する。
「なにか美味しいものでもあるの?」
リタが興味を示す。
「人が住んでいますからね、果物とか野菜でしたらあると思いますよ」
アクアが頷く。
「ミルドか~」
ジャガイモがなんだか懐かしそうに言った。遠くを見つめる目。
「なに?ジャガイモ知っている場所なの?」
「うん~、昔ダイダラボッチだった話したことあったよね~」
「えぇ、エルフ達を守った話よね?」
リタが身を乗り出す。
「うん~、その話の舞台がミルドって地なんだ~」
「へぇ~、あなたが大精霊になる前に居た場所か、それなら行こっか」
「決まりだな、とりあえず向こうに渡るための船造りか?」
シュウが腕を組む。
「そうね、フゥも居るし、帆が張っていれば行けるんじゃないの?」
リタの考えは、時々万全の準備という言葉が辞書から抜けているんじゃないかと思えるくらいだった。
「あかんやろ!」
思わず声が大きくなる。
「そうですよ、仮にもシードラゴンやキラークロコダイルなんかの大型魔獣がいるんですよ、ある程度大きな船を作らないと」
アクアが真剣な顔で言う。
「はぁ……、魔素あげるから、あなたたちに任せるわ」
リタが手を振る。
「船~船~」
ジャガイモは楽しそうにしていた。嬉しそうに跳ねている。
翌朝
リタが寝ている間に、まん丸と協力して船を作り上げた。
朝日が昇り、新しい船が桟橋に浮かんでいる。木の香りが漂う。
「これ位なら大丈夫やろ」
船を見上げる。立派な船だ。
「そうですね、魔物が寄ってきたら全力で応戦する感じで行きましょうか」
アクアが船を撫でる。
「それしか無いだろうな」
シュウが頷く。
「ボク頑張って風を吹かすよ!」
フゥが元気よく言う。
「フゥの頑張りが一番大事~」
ジャガイモが笑う。
「せやなぁ、フゥが頑張らんと」
「まかせて!」
フゥは、リタと契約して日が浅い為か、他のメンツよりも張り切っている。目がキラキラと輝いている。
「ジャガイモ、とりあえずこの船を海に浮かべちゃいましょうか」
「は~い」
ジャガイモが大きなゴーレムとなって、船を桟橋まではこび、海に浮かべた。ザバァと、水しぶきが上がる。
船が、ゆっくりと水面に浮かぶ。美しい光景だ。
「うち、リタを起こしてくるわ」
「えぇ、お願いします」
アクアが頷く。
うちはリタの寝床に行き、リタを起こした。
「リタ、起きて~船ができたで~」
肩を揺する。
「ん~……あと五分……」
リタが寝返りを打つ。
「あかん、もう準備できとるんやから」
「はぁ~……わかったわよ……」
リタがゆっくりと起き上がる。寝癖だらけの髪。
「早く支度して~」
「はいはい……」
リタが伸びをする。
さぁ、新しい冒険の始まりや。
ミルドで、どんな出会いが待っているんやろ。
うちも、楽しみやった。
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