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明日も葵の風が吹く  作者: 有坂総一郎
密貿易

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本業も大事です

明和8年3月4日 江戸城 大手門


 年が明けてあれやこれやと鉄道奉行の職務を果たす日々が続いていた。幕府直営鉄道、略して幕鉄は、上野~大宮~久喜~館林、大宮~岩槻~関宿~古河、大宮~川越~武蔵松山が開業するに至っている。また、武蔵松山から高崎へ向けての延伸工事がいよいよ始まろうという段階へ進んでいる。


 お陰で老中方の機嫌がすこぶる良く、話を持っていくと二つ返事で許可を得られるという特典付きで最近はホント、仕事が捗ってサイコーって思っていた……。


 丁度、熊谷付近に掛かる鉄橋の工事が始まったという報告を松平右京殿にするため、登城しようと大手門前に差し掛かろうというときである。


「民部様、お待ちくださいませ」


「何用か?」


 振り返ると沢村新之丞が下馬して書状を差し出してきた。


「新之丞、これは?」


「海運会社からの報告書だそうです」


「相分かった。受け取ろう」


「では、これにて御免」


 用が済んだら乗馬してさっさと戻っていった……。たかが、報告書程度だというのに態々持ってくるとか何なんだろうか……。


 大手門をくぐり、下乗門、中雀門と通過して、本丸御殿へ……。いつ来ても巨大な城だ……。


 玄関から迷路のような廊下を歩いて黒書院へ至る。ホント、いつ来ても迷子になりそうだよ………。


「有坂民部、罷り越しました」


「おぉ、待っておったぞ、近う」


 広い黒書院の真ん中に例の如く手招きされた。


「第二荒川鉄橋の建設が始まりました。此度は川越藩、忍藩、高崎藩の助力により、第一荒川鉄橋の時よりも工期が短くなるとのことです。ここが完成しましたら、江戸と高崎が日帰りできるようになりまする」


「左様か。我らも資金を出しておる故、期待も大きい。また、忍藩も自領への延伸を望んでおる故、そちにはその辺りよきようにはからってもらいたい」


「はっ。右京様がご許可いただけますなら、高崎よりも先に忍に延伸致し、恩を売ることも出来ますが如何に?」


 ぶっちゃけ、熊谷からなら忍に繋げる方が早いし、効果が見込める。そのまま熊谷~忍~館林と繋げることも出来る。


「そうじゃな、荒川、利根川の水運で現状でも十分に江戸との行き来が出来ておる故、忍藩に恩を売ってやろう」


「では、計画を変更し忍藩とも協議して後日改めて報告に参ります」


「うむ。態々、報告に参る必要はない。余の許可が必要であれば参れば良い。鉄道はそちの領分、任せたぞ」


「承知致しました、これにて御免」


 今日も機嫌よくて用件がさっさと終わって、更に面倒なこと言われなくて済んだラッキー!


 あぁ、報告書?うん、帰ってから読むさ。

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