【第15話:零の雫と零の炎】
第15話:零の雫と零の炎
修行の一年が終わった翌朝、ヒノラは三百六十五日を過ごした洞窟の入り口に立っていた。太陽は荒涼とした山々の向こうでゆっくりと昇り、その金色の光が、修行と孤独に疲れ果てた小さな顔の上に流れ落ちた。
亡き兄ヒマルの外套がまだ彼女の身体を包んでいた。彼女はそれを見つめた。焦げた縁を。洗われることのなかった血の痕を。炎と煙の匂いに混じったその香りを。
緋色の目から、一粒の涙が流れ落ちた。たった一粒だけ。
「ごめん……お兄ちゃん」
両手でその外套の端を掴んだ。布は荒く、縁は焦げ、記憶の重みを纏っていた。目の前で倒れた彼の顔の記憶。「今すぐ逃げろ!」と叫んだ彼の声の記憶。火の紋章を彼女に手渡した彼の手の記憶。
「でも……私には、このまま続けることができない。この外套は……いつも、あなたのことを思い出させる。あなたが死んだこと、私には救えなかったことを。ずっとあなたを悲しむ……ずっとあなたを愛している……でも、あなたをいつまでも肩に背負い続けることはできない」
手を上げた。手のひらを見つめた。火の刻印がそこで灰色に休眠していた。命の気配はなかった。
拳を握り締めた。
瞬時に、灰色の刻印が深紅の輝きへと変わった。まるで生きた炭のように。燃え盛る火の剣が手のひらから現れ、その刃には炎の舌が安定した規則正しい動きで揺れていた。そして一つの、呼吸のように滑らかな動きで、剣を内側へと吸収した。刃が消え、手首に炎の印が現れた――皮膚に刻まれた小さな炎の舌が、淡い赤金色に輝いていた。
目を閉じた。外套へと手を伸ばした。
彼女の手のひらから炎が宿った。
それは破壊的な炎ではなかった。穏やかで、温かく、ほとんど優しさに満ちた炎であった。炎の舌はゆっくりとヒマルの外套を呑み込んでいった。縁から中心へと。その下には……別の何かが残されていた。
彼女が身に纏っていたのは、東洋の古い様式に似た広い袖を持つ、ゆったりとした黒い外衣であった。その裾と袖先には赤と橙の炎の紋様が刺繍されており、まるで生きた炭火が着物の縁を彩っているかのようであった。動くたびに、その紋様は一瞬輝いては消え、まるで呼吸しているかのように見えた。
その外衣の下には、暗い藍色の実用的な上着が部分的に開いており、その下には首元まで覆う立ち衿の黒いシャツが見えていた。そして着こなしは、側面に目立つポケットを備えた、黒いゆったりとした戦闘向けのパンツで完成され、足元には厚い紐で固定される、足首まで伸びる重いレザーの戦闘ブーツが収まっていた。
目を開けた。かつて兄の外套だったものが灰となり、風の中に舞い散っていくのを見つめた。
炎を消した。
手のひらの刻印は灰色の休眠へと戻った。手首の炎の印が消えた。すべてが再び静寂に包まれた。
洞窟の入り口にある小さな水たまりに映る自分の姿を見つめた。一年前にこの場所に入ってきた少女の姿はなかった。そこには戦士の姿があった。
「目的地は……始まりの場所だ」
再び拳を握り締めた。灰色の刻印が深紅へと変わり、手首に炎の印が現れた。一族の秘伝書の中で最初は見落としていたあのページを思い出した。攻撃のためではなく、移動のための技を説明していたページを。「火炎強襲・炎零:炎の疾走」古の火の戦士たちが、力をほとんど消費することなく驚異的な速さで移動するために学んだ技であった。
両足に力を集中させた。手首の炎の印がさらに力強く輝いた。
「火炎強襲・炎零――炎の疾走!」
足元から小さく凝縮された炎の舌が噴き出した。破壊のためではなく、疾走のために。彼女は凄まじい速さで飛び出し、その身体は炎の矢のように空気を切り裂いた。後方には橙色の火花の尾が消えていった。岩の上を、木々の上を、あらゆるものの上を駆け抜けた。この技は力を消耗させなかった。炎を破壊の手段としてではなく、速度の推進力として使うものだった。
向かうべき場所は分かっていた。すべてが始まった場所へ。自分の家へ。
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まさにそれと同じ瞬間、北へ数マイル離れた場所で、カイロンは初代守護者の神殿の中にある小さな部屋に立っていた。その部屋は暗く、石の天井の小さな裂け目からしか光が差し込まなかった。今しがた最後の朝の修行を終えたところだった。彼の身体は力に満ち溢れ、青い両目にはこれまで知らなかった確信が輝いていた。
一年間着続けた、ほつれて破れた古い修行着を脱いだ。それは汚れ、穴だらけで、汗と泥の染みに覆われていた。丁寧に折り畳み、傍らに置いた。それから一年前に家から持ってきた、小さな革の鞄を開けた。
その中から、新しい外衣を取り出した。
彼が纏ったのは、水色に輝く着物風の、流れるような素材で作られた開いたロングコートであった。その布地には、まるで露の滴が服を濡らしているかのように、落ちる水滴を表す精緻で規則正しい紋様が刻まれていた。暗闇の中で動くたびに、刻まれた水滴は本物のようにきらめいた。
その外衣の下には、青い輝きと白の対比を際立たせる、丸衿の清潔な白綿のシャツが見えていた。そして着こなしは、幾何学的な模様を持つ青いスポーティなパンツで完成された。前面に淡い青の面積、側面に濃い青が配された二色の組み合わせであった。
暗い部屋を出て、神殿の広場へと出た。守護者がそこで、水の身体をもって陽の光の下で彼を待っていた。カイロンは彼を見つめ、静かな声で言った。
「出発の時だ。でもその前に……内側に戻ってくれ。外ではなく、俺の奥深くにいてほしい。俺の内なる声となり、眠ることのない目となる。俺が弱る時は出てきてくれ。俺が強い時は、そこにいてくれ」
守護者は頷いた。異論を唱えなかった。
「分かった」
カイロンは守護者に向かって手を伸ばした。その瞬間、水の身体は細い流れとなり、カイロンの手のひらへと流れ込み、彼の皮膚の中へと消えた。彼は馴染みのある冷たさが血管の中を流れるのを感じ、次いで守護者の声が水晶の広間の奥底から響いた。
「仮の住処に戻った」
カイロンはかすかな笑みを浮かべた。それから右手を上げた。手のひらを見つめた。水滴の刻印がそこで灰色に休眠していた。
拳を握り締めた。
瞬時に、灰色の刻印は輝く水色へと変わった――燃え上がる青い炎のようにではなく、月明かりの下の深い海の色のように。その輝きは安定し、純粋で、力強かった。もはやひびも乱れもなかった。
剣が手のひらから現れた。
もはやひびの入った剣ではなかった。完全な金属の刃であり、滑らかで、輝き、完全に青い鋼鉄の姿をとった固い水で作られていた。力がその中を安定して規則正しく流れ、乱れも痛みもなかった。剣は彼の手の中で軽やかに収まり、まるで腕の自然な延長のようであった。
カイロンはしばらくそれを見つめた。一年前に自分の手の中で砕けた木剣を思い出した。使うたびに彼を殺しかけていた、ひびの入った剣を思い出した。そしてこれは……これはまったく違うものだった。
剣を腰の左側にある特製のホルダーに収めた――神殿に残っていた古い鞄の残骸から自ら作ったシンプルな革のホルダーだった。青い刃は陽の光の下でその中に安らかに収まり、輝いた。
「準備はいいか?」カイロンは尋ねた。
「何世紀も前から」守護者の声が内側から響いた。
カイロンは微笑んだ。それから両足に力を集中させた。守護者が過去数ヶ月で教えてくれた通りに。
「水流強襲・水零――水流の疾走!」
足元から凝縮された水の流れが噴き出した。攻撃のためではなく、疾走のために。凄まじい速さで飛び出し、その身体は川の流れのように空気の中を滑っていった。走っているのではなかった――流れていた。周囲の空気は湿り、足元の地面は一瞬潤ってからその背後で乾いた。
濃い霧の森を凄まじい速さで駆け抜けながら、内なる意識の中で守護者に語りかけた。
「どこへ向かえばいい、先生?」
「仲間が必要だ。敵は多く、お前は一人だ。炎の少女……ヒノラ。彼女は火の紋章を持っている。メギンとその軍勢を止める希望があるとすれば、水と火の二つの紋章が共に必要になる」
カイロンはしばらく沈黙した。あの一撃を思い出した。憎悪に燃える緋色の目を思い出した。彼女の言葉を思い出した。「あなたのことも倒す!」
「彼女は……俺を憎んでいる」
「知っている」
「俺を殺そうとするかもしれない」
「知っている」
「それでも彼女を探せというのか?」
「今日の敵は明日の仲間になりうる。炎と水は……常に敵同士ではない。時には、一方がもう一方を必要とすることもある」
カイロンは頷いた。祖父の言葉を思い出した。「炎も、燃え盛る時は水に消される」しかし彼はこんな言葉も思い出した。「水も、冷えれば凍る」
「分かった。彼女を探す」
森の中を疾走し続けた。この道を覚えていた。一年前、ここを疲れた足取りで歩き、右腕は腫れ上がり、身体は疲労で崩れかけていた。ここで、氷の化身が彼を襲い、殺しかけた。ここで……突然、立ち止まった。
木々の間に、彼らが立っていた。
五体の元素の化身。強者の類ではなかった――すべて心核を一つしか持たない者たちだった。氷が一体、岩が二体、砂が一体、棘のある植物が一体。ゆっくりと動き、まるで偵察でもするかのように、殺すべき人間と、吸収できる心核を探していた。
カイロンは彼らを見つめた。一年前、そのうちの一体だけで――たった一体で――彼を殺しかけた。そして今、五体いた。
守護者の声が内側から囁いた。
「真の試練の時が来た。一年間の修行の成果を見せてもらおう」
「分かっている」
「無謀にならないでくれ」
「心配するな」
カイロンは一つの滑らかな動きで剣をホルダーから引き抜いた。青い刃が、木々の枝の間を漏れる陽の光の下で輝いた。しかし同時に、疾走を止めなかった。まだ「水零」の状態にあり、身体は流れ続けていた。
そして一瞬のうちに、二つの技を重ね合わせた。手に剣を、足には疾走の勢いを。
「水流強襲・第三の雫――怒涛の断流!」
剣の刃から、水が噴き出した。普通の水ではなかった――刃のように鋭く凝縮された波であり、凄まじい切断力を帯びていた。剣は動く水の鋸刃へと変わり、無音で空気を切り裂いた。
カイロンは五体に向かって飛び出した。
最初の一体は気づかなかった。氷の化身が先頭を歩き、木々を見渡しながら獲物を探していた。カイロンは青い影のように脇を通り抜け、断流の波が雪の身体を無音で貫いた。彼は動き続けた。止まらず、振り返らず。
二体目、岩の化身が何かを感じた。振り返った。しかし何も見えなかった。カイロンはすでにその背後にいた。断流の波が後方から心核を割っていた。
三体目、砂の化身は散り散りになって逃れようとした。しかし水は砂よりも速かった。砂が散らばり切る前に波が貫き、砂の粒の奥に潜む心核に刃が届いた。砕けた。消えた。
四体目、棘の植物の化身は四方八方に棘を伸ばし、見えない相手を捕まえようとした。素早かったが、カイロンはより速かった。岩の隙間を水が流れるように棘の間をすり抜け、断流の波がその棘の腕を伝って心核まで届いた。
五体目、最後の岩の化身がついに、自分たちが殺されていることを悟った。仲間が一体また一体と倒れていくのを見た。木々の間を走る青い閃光を見た。両腕を防御の体勢に上げ、心核を守ろうとした。
しかしカイロンは正面から攻めなかった。すでに相手の上にいた。
断流の波が、最後の化身の心核を上から下へと貫いた。
カイロンはついに止まった。攻撃を始めた場所から二十歩ほど離れた所に立っていた。剣はまだ手の中にあり、断流の波はまだその刃の周囲に輝いていた。彼は規則正しく呼吸していた――疲労からではなく、集中の余韻から。
背後で、五体の身体がほぼ同時に崩れ落ちた。砕け、塵と砂と水へと変わっていった。
守護者の声が内側から響いた。抑えた誇りを帯びていた。
「十秒にも満たない間に五体。奴らが殺されたことに気づかぬままに。音一つ立てずに。動きを止めることもなく」
カイロンは剣をホルダーに収めた。断流の波が刃から消えた。
「これで十分か?」
「これは……予想を超えていた」
「ありがとう……先生」
カイロンは疾走を再開した。森が夢のように周囲を流れ過ぎていった。もはや怖れるものはなかった。彼は森の一部となり、森は彼を認識していた。
そして一時間の絶え間ない疾走の後、木々の間を抜けた。
目の前に、自分の村があった。
しかし……去った時の姿ではなかった。
カイロンは突然立ち止まった。「水零」の技が足元から消え、身体は通常の動きへと戻った。村の最初の家まで数メートルの距離で立ち止まった。耳を澄ませた。
何もない。
人の声がない。子供の笑い声がない。市場の呼び込みの声がない。犬の吠え声がない。何もない。深く、重く、息苦しいほどの静寂。一年前には存在しなかった静寂だった。
「これは何だ?」彼は心の中で囁いた。
「分からない」守護者の答えが来た。今回はその声は真剣で、嘲りの欠片もなかった。
「皆はどこに?」
「分からない。だが……何にでも備えよ」
カイロンは村の家々の間を慎重に進んだ。すべてが閉じられていた。いくつかは破壊されていた。いくつかは廃墟と化していた。しかし遺体はなかった。血の痕もなかった。住民たちは……消えていた。
心臓が激しく打っていた。自分への恐れからではない。彼らへの恐れから。村の人々への恐れから。残された人間たちへの恐れから。
進み続けた。かつての家の前を通り過ぎた――静かな池に囲まれたあの家。まだ崩れたままで、誰も手をつけていなかった。祖父のために掘った泥の墓はまだそこにあったが、上には草が生えていた。
中央広場の前を通り過ぎた。空だった。
ヒマルとヒノラの家の残骸の前を通り過ぎた。一年前と変わらず、黒い灰と地面と化した瓦礫のままだった。
そこで……彼女を見つけた。
瓦礫の前に立っていた。背を向けて。黒い外衣が軽い風に揺れ、炎の紋様が輝いては消えていた。赤く段彩の髪は今は長くなり、肩に流れ落ちていた。手首の炎の印は淡い赤金色に輝いていた――まだ警戒状態にあり、まだここへ来た「炎零」の状態にあった。
立ち止まり、瓦礫を見つめていた。かつて自分の家だった場所を。
カイロンは数歩の距離で立ち止まった。何も言わなかった。
彼女は気配を感じた。
ゆっくりと振り返った。緋色の目が青い目と交わった。彼女の手のひらの刻印はまだ赤く輝き、手首の炎の印はまだ光を放っていた。
彼もまた警戒状態にあった。手のひらの刻印は鮮やかな青、そして剣はホルダーの中で輝いていた。
一瞬の静寂。
一年間の修行。一年間の孤独。一年間の憎悪。そして今、二人は再び向き合っていた。
彼女は彼を見つめた。青い外衣を。ホルダーの中の剣を。手のひらに輝く青の刻印を。叩いた少年の無垢さをもはや宿さない目を。
彼も彼女を見つめた。黒い外衣を。炎の紋様を。手首の炎の印を。手のひらに輝く赤の刻印を。もはや憎悪だけでなく、何か別のものを宿す目を……警戒と混じり合った、敬意に似た何かを。
「お前……」
「あなた……」
二人は止まった。続けなかった。沈黙が村全体に漂っていた。
先に口を開いたのはヒノラだった。一年前よりも低く、落ち着いた、より冷たい声で。
「みんなはどこ?」
「分からない。お前は?」
「分からない」
二人は辺りを見渡した。空になった村を。廃墟と化した家々を。誰もいない通りを。
その瞬間、二人は悟った。個人的な復讐よりも、はるかに大きな何かが起きているのだと。一年間の長い修行の間に、彼らが気づかなかった何かが。
人間の島全体へと向かって、何かが忍び寄っていたのだ。
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جاهز للفصل السادس عشر متى أردت.




