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第11話

原稿がね残り2本あるのに現実逃避で書き始めたら上がっちゃった


(追記)

なんか思いついたから文章加筆しちゃった

 一緒にやると決めたその日から。

 私たちはほとんどの時間を一緒に過ごした。

 バイトに勉強に、ダンスに歌に。

 やることはたくさんあった。


「私もさ、めいみたいに設定作る! そんでそれを演じる!」


 なんてかなが言うから2人で考えた設定。

 それは私のメイリーとは逆だった。


「めいのメイリーって悪魔じゃん? だから私はあくまで人であろうと思うの。大罪を背負う悪魔の女王が贈るマスカレイド、でしょ? 色んな罪を、消せない罪を肯定してる。人の悪い部分をもっと見せていこう。とするならば、大罪にあふれた世界でそれでも人の善性を信じ歌う戦乙女ってどうかな?」


「いいね、それ!」


「名前は……、そうだ! 夢は実現する! そう願いを込めてリアライズ! 名前がリアで苗字がライズ!」


「あ! 思いついた! ライバルみたいな設定にしてさ……」


 なんて色々な思い付きを面白そう! って言いあって過ごした日々。

 夢を叶えた後、もし志半ばで諦めることになった時、それを考えて選んだ進路は違った。

 それでも私たちにはステージがある。

 少しだけ先にデビューした私。それを追いかけるかのように私が出演するライブでデビューをしたかな。

 出番が私の前だったってことで、2人で話し合ってかなの最後の1曲と、私の最初の1曲を一緒に歌うことにした。

 その時、なんでか知らないんだけどビッときた。

 カラオケのデュエットとは違う。アイドルとアイドルとしてお互いの意地を賭けた歌。

 そこに可能性を感じた。

 私のステージが終わった後、楽屋に戻った私に興奮した様子でかなが話しかけてきたことで、私だけが感じたことじゃなかったと気付いた。

 ちょっとしてオリジナル曲を作ろうってなって。

 ハジマリを創るキミができた頃、作曲家さんのお願いに応える形で2曲追加で買うことに。

 半額セールってことでハジマリと同じ値段で2曲も手に入ったのは大きい。

 その中の1曲に私は手を加えてもらった。

 オケは同じなのにメロディが違う。でも、歌の始まるタイミングが一緒。

 だから想いを同時に叩き付けあえる。

 このギミックを思いついた時、頭良すぎ! って思ったのは内緒の話。

 かなに話して、盛り上がって。ライブで何回か披露した後。


「ごめん、めい。私、リア続けられなくなっちゃった」


「えっ……」


 ライブ終わりのごはんタイム。

 かなが突然そう言った。

 なんとなくで受けたアイドルオーディションに合格して、大手事務所所属のアイドルとしてデビューすることが決まったらしい。

 そうして、デビューから1年経たずしてリア・ライズはステージから去っていった。


 それでもかなはかなで。私は私で。友達は友達だから。

 そのあとも一緒に遊びに行ったりはした。

 お互いの活動に触れないように、気を遣いながらだけど。


「みなさん、初めまして。桐嶋かなめです!」


 仮面をつけずにステージに立つかな。

 もう少なくともアイドルとして同じ場所にいることはないんだろうな。

 なんて思っていたら、その機会はすぐに来てしまった。


「めい!……りー、さん」


「はじめまして、桐嶋さん。メイリー・シャイタンです」


 ちょっと大きな会場での対バンライブに呼ばれた私と、そのライブのゲストとして出演するかな。

 写真撮ったりはしたけど、やっぱりどこかぎこちない時間が過ぎていく。

 そのあとも何度か共演をして、最後の共演となったライブ。

 並行物販で、とお願いしていたこのライブ。

 スタッフさんに挨拶をして帰ろうとすると、慌てて駆け寄るかなの姿が。


「まって!」


 息を切らせてこちらに近付くかな。

 え、出番終わってすぐじゃん。

 別にあとで連絡くれたらいいのに。


「ごめん。黙ってオーディション受けて。ごめん、2人で叶えようとした夢叶えられなくして。本当にごめん」


「いいよ」


「でも、私のせいで……」


「……元々メイリーは私が始めた物語だよ? リア、ってスピンオフと同じ時間軸を過ごしたとしても、私は私で。メイリーの物語はちゃんと続いていくの。完結を迎えるその時までね」


 そう言って私は会場から出ようとする。

 扉に手をかけた瞬間、かなの声が聞こえた。


「めい! 約束する! メイリーが引退する時。私は何が何でもそのライブに出る! リア・ライズとして。桐嶋かなめとして」


「……そんな約束しなくていいんだよ。だって、かなの方が先に引退するかもしれないじゃん。でも、ありがとう」


 期待せずにおくね。なんて言葉はあえて口に出さない。

 会場を後にして、そこから2年と少し。


『メイリー・シャイタン引退のお知らせ』


 SNSで発表して、少し経った頃。

 私のスマホにメッセージが。


『3月の土日。全部スケジュール空けたから』


 最近全く連絡とれてなかった、かなからの連絡。

 なんだろ、なんて一瞬思って


『3月は今打ち合わせしてるけど、3連休の初日で最後のライブやる予定だからその準備で忙しいかも!』


 って返信するとすぐに着信が。


「もしもし?」


『ね~え~! 出るって言ったじゃん!! 引退するなら連絡してよ!!』


「あっ……」


 かなのその一言でいつか交わした言葉を思い出す。

 あの日の約束を果たそうとしてくれたんだって思ったら嬉しくなった。


「ごめんね」


『もともとは私が悪かったからいいんだけどさ。で、何やるか決まってるの?』


「うん……」


 今までの距離が嘘かのように、話が盛り上がって。

 私のやりたい、を全部詰め込んだ企画ができて。

 あわただしく時間が過ぎて、あっという間に本番を迎えて。

 まさか従姉妹の推しが私の親友、だったなんてびっくりして。

 何も言えずに別れてしまった恩人とも再会できて。

 悪ノリ、ダメもとで言ってみたら、あの時できなかった共演を果たすことができて。

 歌いたかった歌を歌うことができて。

 極彩色の光の中で幸せに包まれて。

 私はメイリー・シャイタンを全うした。

 後悔はない。


 だから、あの子が自分で気付いてくれることを祈るけど。

 どうしてもダメになりそうな時、ちゃんと伝えてあげないとね。


 私の名前を守ることにこだわらなくていい。

 私は終わった人間だから。

 私の歌を通じて、何かを感じて。

 自分自身の願いを見据えて、表現したらいいんだよって。

 形にこだわることはないんだって。


 家まであと10分ほど。

 コンビニでお酒とおつまみを買って、車のエンジンを付けた私はスマホを操作して、曲を流す。


「お酒飲む前にもう1回だけ歌っちゃお」


 メイリーとして歌うんじゃなくて、佐々木芽衣として想いを込めて歌う。

 最初で最後の、ハジマリを創るキミ。


お伝えしてた通り、親ドルりにゅ~ある完結までこちらの更新はお休みになります。

他の制作の諸々や本業のこともあって、いつ終わるかわからんのですが。

早めに再開はしたいなと思ってます。

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