第35話 地底に揃う仲間たち
シロくんの声がして見上げた後でーー、ずがぁぁんっ、、と、なんか物凄い地鳴りが響いたーー。
「えっ!?」
地面が揺れるーー!
振り向いたけど、足元が揺れてそれどころじゃなくて、でも物凄い粉塵上げながらタイラントの家族である長男……“ハルディン”と言う地竜は土の中に潜っていく。
それは頭から突っ込んで。
で、、、その長い灰色の首頭が突っ込んだ後ろには飛翠がいて、その首長竜の太い首に腕を巻き付けながらしがみつきつつ、、彼も地面の中に潜っていったーー。
「飛翠っ!?ちょっと行動迅速過ぎて追い付かんて!!」
私はパニックだったーー、視えるモノを認識する事と秒速で消えてしまった飛翠の姿にとてもじゃないが冷静に捉える事が出来なかった。
(えっ!?なに??本当に地底に潜ったってこと??)
余りの行動の速さに驚いて私の思考は完全に混乱状態だった。
でも、地面に穴を開けながら地竜のハルディンは頭から突っ込み潜って行き、それに飛翠は憑いて行ってしまったのだ。現に灰色の首長竜の姿は完全に地穴に潜り込み消えてしまった。
けど、、、他の地竜達は大きくながぁい首をまるでキリンの様に地面から突き出していた。ハルディンさん?が居なくなったから7頭のあたまが地面から生えた様に伸びていた。相変わらず胴体は見えない。
(えっ!?待って!情報量エグ過ぎて追い付かんて!え?ちょっと!飛翠!!ハルディンさんと2人で乗り込むって無謀過ぎるでしょ!!)
私は頭の中が真っ白になった。
(道筋決まったら即行動。その精神、理論は解るけども!ちょっと無鉄砲過ぎるて!)
私は頭を抱えてたんだけど、タイラントが振り向いた。しかも、ちょっとニヤけてた。
「これで逝くしかなくなったな?蒼華。」
「えっ!?」
まだ、足元ちょい揺れてるけどそんな事は気にならなかった、それよりもタイラントの八重歯見せながらの無邪気な笑顔と言葉に驚いたから。
「飛翠が言ってた、蒼華は“ケツが重い”って。」
ぷくくっ。と、愉快そうに笑うタイラントに私は怒鳴ってた。
「悪かったな!!優柔不断で!!」
(う〜……クソっ!とっても無邪気な笑顔で嫌味言われるとおもクソ腹立つぅぅ〜〜っ。けど、当たってんのよ、ハイ。私は自他共に認められてるであろう優柔不断人間デス。)
と、、、タイラントと向き合ってると、背後にどぉぉんっ。と、地揺れさせながらいちお私の召喚獣達が勢揃いで着地したんだ。
けど、直ぐに“雷の神獣グローム”さんの右脇に丸太みたいに抱えられてるコボルトのグリードさんが言った。
「嬢さま、飛翠は?」
蒼い狼犬の姿をした“犬獣人族”で、シロくんと同じ一族の御方だ。
「えと……地底に消えてしまいました………。」
私は何かとっても気まずくって……、どう伝えていいのか解らないままに言ってた。
んん?と、召喚獣達の後ろに着地したお父さんが言った。とても眉間にシワ寄せながら。
「どうゆうこと?蒼華。お前を置いて飛翠が離れるって何があったの?まさか、こんなヴァイオレンスな状況で喧嘩??」
「や?違うて!喧嘩なんかするワケないっしょ??飛翠は別の道を行ったの!」
私が言うと、は??と、樹氷の神獣ライムスの背に跨っていたネフェルさんが聞き返して来た。
「どう言うことです?」
なんかちょっと怒ってる顔をされたので、うっ。と、私は言葉が詰まってしまった。すると、隣に居たアトモーネスが大きな翼を羽ばたかせながら言った。
「私が話そう。」
と。
▷▷▷▷
「ああ、なるほどな、分散型か。」
アトモーネス、タイラントの話を聞いた後……ハウザーさんが言った。皆、運んで貰った召喚獣達からは降りていて、なんか円陣組むみたいに集まってた。
ハウザーさんの声に神導者ネフェルさんが直ぐに言った。
「マズいですね。ハウザー、直ぐにグリード、ガルパトスを連れて飛翠くんと地竜のハルディンを追って下さい。ああ、それから……。」
と、彼はお父さんとそしてフェリシアさん、それからその頭上に浮いてる“風の精の王シーラ”さんを見て言った。
「貴方がたに彼等の援護を要請したい、飛翠くんは完全な戦闘型で、良く言えば猪突猛進型……、悪く言えば形振り構わぬ暴走型の狂戦士タイプです。」
あー………と、、、お父さんはとっても深く頷いた。
〈お父さんは、この世界の聖上界アサイラムの聖王ネフェリティアと言う名前と役職まである。私の実父で……現実世界では“桜木颯”と言う名のリーマンだった。が、、、文字通り異世界転生とやらをしていて❨知らぬ間に❩此処で新たな人生を歩んでいる。そして、奥様までいる。〉
ちょっと項垂れつつ……
「すっげー解る。うん、そー。でも……。」
そう言ったお父さんは顔を上げると私を強く見据えていた。
「でもな、、、そうなる時って蒼華絡みなんだよね。」
「えっ!?」
と、私は突然の矛差し向けに驚いたんだけど、、、はぁぁぁ。と、此処に揃いも揃ってる全員から途轍もなく深い溜息を戴いた。
「えぇっ!?なんその知らねーのはお前だけみたいな空気!」
そーだろうがよっ!!
と、、、全員からのツッコみを頂戴した。
「うへぇ??」
私は突発的に変な声が出てた。
「そうなって来るとヤバ過ぎる、、、ネフェル君、君の采配通りにしよう、それと本当に申し訳ないがこの……色んな意味で愚かな娘は任せていいかな?暴走した飛翠ほどおっかない者は居ないんでね、、、アイツは僕の“大切な息子”みたいなモンで、いや……そう思ってるんだよ、勝手に。血縁は無いけど。」
「………お父さん………。」
私はちょっと……うるっときてしまった。お父さんは私を見て言った。
「飛翠は可愛いんだよ、“俺にとって。”目に入れても痛くないと良く表現されるが正にソレ。何しろ俺の大事な娘を大切にし、守ろうとしてくれる。それは俺が居なくなった後も変わらなかった、まぁ少しお互いに大人になっていつも一緒とはいかなくなったんだろうけど。」
お父さんはちょっと優しい目してて、あったかい口調で私は、本当に泣きそうになっていた。
「でもそれはお互いに大人になっていくから仕方ない事、この先、お前と飛翠が家族にならなかったとしても、俺は勝手に家族だと思っている。まぁ、俺としては飛翠に貰って欲しいんだけどな、それが1番安心する。」
くすっと、、、お父さんはなんかちょっと楽しそうに笑った。
「………お父さん………。」
私はなんかちょっと……恥ずかしくなった。でも、お父さんは少し真面目な顔をして言った。
「だから、生命賭けて“大切な娘を守ろうしてる大切な息子”の無謀な行動は放置出来ない。そしてそれを正すのも親の役割、この先繰り返されては堪らない、それこそ無意味に終わってしまう。全てが。」
「…………!」
私はちょっと重くて……瞬時にはその言葉の意味、お父さんの意図とか理解出来なかったけど……、でも……お父さんがとても飛翠を大切に思ってる事は解った。そして、同じ様に私のことも。
「ネフェル君、理解して貰えないかな?」
でも、お父さんはもうネフェルさんを見て言っていた。すると、ネフェルさんはお父さんを見て言った。
「いえ、、、僕は“息子”、“娘”と言う程に2人とは歳が離れていないのである意味“軽い表現”になるかもしれませんが、同様です。同じ様に大切であり、何より守護しなくてはと思わされました。放置しておけば危ういと。」
はははっ。と、お父さんは直ぐに笑い言った。
「申し訳ない、、、どうにも自由に育ててきてしまったんで、2人とも。」
すると、ハウザーさんが言った。
「ま、その辺はちょっと俺ら“他者”には解らん話だが、冷たくてすまねーが、、、兎に角、事は急ぎだ。話を進めていいか?“親父さん”。」
戦神と言われて飛翠の第1師匠であるハウザーさんは、、、右目に刀傷があって開いてるけど見えていない感じで、白く濁っている。左目は金色でこの人の視界はきっとこの片目だと思う。そんな見るからにヤバい闘いをして生きて来たマッチョな人は、、、何故かお父さんを“親父さん”と、飛翠と同じ様に呼んだ。私はなんかそんなちょっとした事なんだけど……、異世界の人……しかもお父さんとは浅い関係なのに……、その呼び方をしてくれた事になんかとっても嬉しくなって……胸がじんわり。と熱くなってた。
(ああ……やっぱ好きだな……私。この人達。この人達に出逢えて良かったと本当に思う……。)
なんかとてもそう思ってしまった。急がなきゃならない状況なのに。
「ああ、すまない、ハウザー君、では……ちょっと僕の判断で申し訳ないがチームを組ませて貰っていいかな?」
お父さんはそう言うと直ぐに、召喚獣たちに振り返った。ネフェルさん、ハウザーさんは特に何も言わなくて、ええ。、ああ。と、頷いていた。
お父さんは召喚獣達を眺めて、ふむ。と、軽く頷いた。
「紅炎の神獣イフリート、それと……海王リヴァイアサン、君等にお願いしたい。ああ、シーラ、お前もな。」
そう言うとふわり、ふわり。と浮いてるシーラさんが、ん?と、小首傾げた。
「なんで?」
「お前は口煩くて場を混乱させるからだ。」
あははっ。と、お父さんがちょっと真剣に言ったのにシーラさんは笑っていた。
全く。と、、、呆れた声を出しつつお父さんは私に顔を向けた。
「召喚獣と離れるのは不安だろうが、アトモーネス、ライムス、グローム、タイラント、そして地竜たち。は、残る。いいか?蒼華、お前の判断1つで召喚獣の生命を揺るがすとしっかり刻め、心を落ち着け鎮め常に冷静に判断しろ。それが必ず道を開いてくれるから。」
え?と、、、ちょっと驚いてしまった。此処で会って始めてなんかソレっぽい指導をされたから。こんな事は現実世界では無かったハナシで。お父さんとこんな話をしてる事すらまだ、何処か夢現。でも、これは現実。そう。
「解った。」
頷き、進むしかないのだ。此処はそうゆう世界。そして、此処でウダウダしていたら、、、先に地下層を目指してる飛翠とハルディンさんが危なくなるだけ。早く……彼等の元に。それは私だけじゃなく、誰もが思ってたみたいで決まると直ぐに……皆は、動いていた。
何よりも速かったのはグリードさんで、海王リヴァイアサンの背に跳び乗ると叫んでた。
「さっさと行け!飛翠のとこに!」
「解っておる。」
海竜はグリードさんの声に口元に蒼い放光溜めながら、地竜ハルディンの空けた穴へと降下していた。
第一陣と言う感じで、グリードさんとリヴァイアサンが地底に向うと、ハウザーさん、ガルパトスさんはイフリートの両肩に乗りながら降りて行ったーー。
そして、、、その後を追うのはお父さんとフェリシアさんだった。
私は地底に降りて行くみんなを見ながら思う。
(お願い……どうか死なないで。)
とーー。




