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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第6章 イシュタリアの闇
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第23話 唐突に始まるイシュタリアの戦乱


 『なぁ?シロ。お前の中で嬢様が大切なのは解るよ?でもさ、俺は?コボルトの仲間は?お前が此処で死んで哀しむ奴って嬢様だけじゃなくね?シロ……頼むよ、お前の“生命”をどう賭けるかはお前の自由だ。でもさ…………、哀しむ奴が居るって知ってくんね?そろそろ。』

 蒼い狼犬グリードさんが言うのを聞きながら、

  (何がなんだか……。)

と、混乱してる私だけれども、その地響き?と言うか……地鳴?の様な音が聞こえた。

 ザッ…ザッ…ザッ……。

草原からこっちに向かって歩いて来る様なその足音……、でもそれは1人2人とかのレベルじゃなくて、地鳴みたいに響く足音だった。しかも、前方からとか解らんぐらいの足音……。はっ。とした。

 ドスドスドス……。

重そうな足音が背後から響いたんだ。

 (えっ!?なんか……ヤバいっ!?)

流石の私もこの前から後ろから響いて来る物音みたいな足音にはそう感じた。姿は見えないのよ、でも近付いて来るのは解る……、地面に響くその音が……音だけじゃなくて……震度3みたいな揺れを感じる。

 「飛翠っ!なんかヤバい!!」

私は隣に居る飛翠の腕を掴んでいた。彼は私を見て、ハッとした顔をしていた。そしてそれはネフェルさんもだった。

 「何か来ますっ!」

彼は直ぐに表情険しくして“神導書”を開いていた。ネフェルさんが開くのは本だ。それが彼の胸元で浮き黄金の光を放ちながらパラパラとページが捲れてゆく。 

 神導書を開いた。

それだけで、私はこれはヤバいと察した。だから、シロくんを見た。

 「シロくん!貴方は何もしなくていい!だからお願いっ!その禁呪とやらを解除して!で!」

 私はそこ迄言ってから、ちょっと躊躇した。

(言っていーのか?コレは……。彼の人生を束縛する事にならんっ!?)

 と、思いつつもギュッと黄金の光放つ……お父さんから貰ったロッドを握り締めた。私はシロくんを見た。さっき迄、無茶クソ悩んでたけども、この所謂……ちょっと危機的?な感じになるとシロくんは暴走する。だから先に言わなきゃ!と、思ったから叫んでいた。

 「シロくんっ!私と一緒に“魔導師”になろうっ!魔法使いの上!あのくそムカつく王女様と同位置!だから生きようっ!私の為ではなく、貴方の為にっ!!私も頑張るから!むっちゃメンタル弱いけど!頑張るからっ!!」

 と、、、言った後。

「飛翠が居なきゃムリなんだけれども………。」

 そう付け加えておいた。はい。コレはもう絶対なので。私の中で何はともあれ彼が居ないとムリ!

 そしたらシロくんが、ははっ。と、笑った。可愛らしい笑顔で。でも、彼はすぐにむっちゃ真顔になった。そして、私ではなくネフェルさんを見ていた。

 「ネフェルさん、何だと思います?」

今迄は可愛い仔犬みたいな声だったシロくんが、いきなり成犬の低い声で言ったんだ。しかも、その顔もちょっと大人びてて……私は戸惑いしかなかった。

 「それはネフェルティア………が、知ってると思うよ?」

ネフェルさんが言うとお父さんがとても怒ってる顔をした。

 「ネフェルくん、そしてシロくん……、薄々と感じてるだろう?あの足音達は……“闇皇帝ルシエド”の配下達だよ。」

 そうお父さんが言った時だった。緑の草原を10人一列、全身鎧の大きな黒い騎士達が歩いて来たんだ。

 ザッ……ザッ……ザッ……。

と、まるで何かのパレードみたいに一律足並揃えて右手に黒い光放つ剣を握り締めて歩いて来た。そして驚いたのはそれが軍隊の如くだったこと。

 「ちょ……なんなん?アレ!?」

私が叫んだ時……、草原に黒い光がポッ。ポッ。と、その一列大群を埋めるかの様に光って……湧き出て来た。黒い騎士達が。そして……、目の前に結局……何千と………黒い騎士達が草原を埋め尽くしたのだ。

 私は飛翠の腕を強く握った。

「な……何なのっ!?」

でも、私達の背後ではズガァンンっ!!と、大きな物音が響いた。ハッとして振り返るともう既に全壊に近く、後は足場と塔への入口しかない“月読の塔”……、それを銀色の棍棒みたいな武器で達磨落としみたいに振り切って殴りつけ、崩れ落とした“奴”が居た。 

 「な……何??あの化物っ!?」

ここ迄見た事ないその化物に私は驚き叫んでいた。全身が“銀色の岩”だった。ゴツゴツとした岩石が寄り集まって人間みたいな姿を形成してるそんな奴。でも、私より遥かにデカくなんかカクカクしててロボットみたいな体型に見えた。そしたらお父さんが言った。

 「あれは“魔導師”が産み出した“ゴーレム”……。人間や機械とは違う種族。ゴーレムは手強い。」

 は??と、私が聞き返すとネフェルさんが言う。

「ゴーレムも厄介だか……あの“黒騎士”達はヤバいな。」

 彼は飛翠を見た。

「飛翠くん、その“剣”の性能、使い方は心得たかい?」

彼が言うと飛翠は、黄金の光を放つ大剣を右肩に乗せた。

 「あー、万事オケ。つか………ネフェル……、こーなんの知ってたワケじゃねーよな?」

 彼が言うとネフェルさんは、くすっと笑い。両手を挙げた。それは知ってか知らぬかホールドアップの仕草だった。

 「まさか。勘弁を。俺は君に殺されたくない。」

 ネフェルさんが言うとハウザーさんの声がした。

「嬢ちゃん……ちょいヤベぇかもな。上からも来たわ。」

彼の声に私は上空に目線向けた。さっき迄、上空を舞ってた黒龍達はフェリシアさんの力で消滅した。でも?今度はまた違う黒い怪鳥達が大群で……カァ……カァッ!叫びながら飛んで来ていた。

 「うぉいっ!?どーなってんだよっ!?イシュタリアの治安っ!!」

 私は……思わずそう叫んでいた。

 

 そして……お父さん達、聖上界アサイラムと……闇の皇帝ルシエドとの闘いが始まろうとしてた。     

        

    

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