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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第6章 イシュタリアの闇
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第19話 転生先とは?

 どうも〜……、異世界……イシュタリアで父親が再婚してたのを知った、現役女子高生の桜木蒼華(さくらぎそうか)ですっ♪

 

 アズール魔導館……イシュタリアの“秩序の大魔導士ゼクセン”さんが居たその地で、私は思わぬ人と再会した。そう、それは私の父親“桜木(そう)”だった。

 で、その隣には妻だと言う女性……“聖上界の聖姫”……フェリシアさんが居る。

 ブロンドの三編みサイドアップ……、まぁとてもお美しい女神様みたいな人。ブロンドに蒼い眼なんて最早、ハリウッド女優ばり。しかも? 滑らかさ抜群そうなシルクっぽい? 布1枚のキトンなんて着てるモンだから、女神にしか見えん。

 お父さんも彼女と同じで白いキトン姿で、しかもダークブラウンの髪色がなんかブロンドになってて……、う〜ん、父親の金パツは初見なのでビックリだよね。まぁ、瞳はダークブラウンなんで良かったけども。

 (妻? と言うことは……私の義母になんの?? ん? え……と? 継母? あ〜解らんっ。つか、しかも聖上界のお姫様なんだよね? あ。転生先とか言ってたっけ。えと……フェリシアさんは、元は“猫”で、しかも私達の世界に居たんだよね。で、お父さん達の居る世界……アサイラムは転生先って言ってた。てことは?)

 私はお父さんに聴いた。

 「え……と? じゃあ、私達は死んで転生するとしたら、その……お父さんの世界に逝くの?」

 私が聞くと答えたのはブロンドの美しいぃ姫様、フェリシアさんだった。

 「いえ、転生先の1つ。そう捉えて下さい、貴女達の世界にも転生しますから。死後の“転生先”は1つでは無いのですよ。」

 ん? と、私は思ったので即座に聴いた。

 「どうゆうこと??」

 すると、お父さんが答えた。

 「蒼華、俺達の住む世界……つまり、“日本”には天国と地獄がある。それは解るな?」

 「うん、解る。閻魔様が居るんだよね?」

 私が聞くとお父さんは そう。と、頷いた。

 「死んだ者達の魂はそれぞれの世界の“あの世”に逝き着く。それは日本だけではなく、世界各国にあるあの世。中には死んだ魂は“転生”するとされていて、俺の居る世界“聖上界”はその転生先の1つなんだ。リアルな世界に転生する者も居れば、こうして“異世界”に転生する者も居る。解る? “死んだ魂”が転生する場所は1つではない。と、言うこと。」

 お父さんが言うとネフェルさんが言った。

 「ああ、なるほど。“聖上界”は転生先……、だから僕の使う“神導術”の発祥の地。生命を司る世界だから。」

 すると、お父さんの目が大きく見開いてネフェルさんを見た。

 「ネフェルくん……君とは話をしてみたかったんだ。」

え? と、ネフェルさんは少し驚いた顔をしていた。けど、お父さんは言った。 

 「そう、その通り。君の遣う“神導術”は元は聖上界に居る“伝道師”、それが発祥なんだ、でも、イシュタリアに伝わった時に……、わかり易く言うと……“生命を護る力”として伝わった。だから、“魔法、魔術”とは違うし、それが“神の力”と崇められて“神父”、“神の遣いの者”、そう呼ばれる様になった。そしていつしか……“神導者”と呼ばれる様になった。人間は何だか解らない力を“崇めるか恐れるか”だからね。」

 お父さんの言葉を聞いてネフェルさんは、何だか考え込む様だったけど、グリードさんが言ったんだ。

 「あ〜……と? “嬢様の父”、何だか難しいけど……よーは、俺らとお前らってこの先どーなんの? 嬢様、飛翠、ネフェルと繋がってる認識でいーんだよな?」

 グリードさんは大きな両刃の斧を担いでいる。お父さんよりも体格デカいし、蒼い狼犬なのでちょっと威嚇チックな言い方だと荒くれ者にしか見えない。

 お父さんはそれを聴いてとても気難しい顔をしたけど、我等がアイドル、紀州犬に似たシロくんが言った。

 「あの……すみません。」

 お父さんはその声にシロくんを見た。勿論、私も。彼は蒼いロッド握ってお父さんを見つめていた。

 「僕は、蒼華姉様に勝手に憑いて来た“犬獣人族(コボルト)”のシロです。」

 シロくんが言うとお父さんは笑った。

 「シロくん、知ってるよ、君のお陰でウチの破天荒ムスメは生きてる。本当に感謝しかない。」

 お父さんは言うと頭を下げた。いえ。と、シロくんは直ぐにはにかむけど、真面目な顔をした。

 「僕の方こそです、この度……色んな偶然や、色んな事が重なって……永年の夢……“魔法使い”になる事が叶いました。なので……、僕は“蒼華姉様”が大切です。」

 シロくんは蒼いロッドをフェリシアさんに向けた。そして、彼は言う。

 「気になります。貴女は……蒼華姉様を“利用”しようとしてますか? それとも……、蒼華姉様のお父様を“生贄”にしようとしてますか?」

 シロくんはロッドを両手で握り叫んだ。

 「ゼクセン様の時の様にっ!!」

 それを聴いたお父さんが直ぐに言った。

 「違うっ! すまない! シロくん、違うんだよ!」

お父さんが必死に言うとシロくんは は? と、目を丸くした。けれども、お父さんは言った。

 「シロくん、俺は生贄でも何でもないし、ゼクセン殿が亡くなったのを知ってココに居る。正直……“書店月読の店主黒崎”さんと言うご老人は知らない。話は蒼華から聴いていたが、俺は会った事はない。」 

 お父さんはフェリシアさんの前に立った。それを見たシロくんは、ロッドを降ろし父を見ていた。

 「フェリシアの言う……“大丈夫”は、バカ娘が“闇堕ち”しない。そう言う意味だ、イシュタリアは蒼華、飛翠、俺にとって“別世界”であり恐ろしい世界なんだよ。“力”が使えるからね。」

 お父さんはシロくんに言うと、柔らかく笑った。

 「君も……仲間の為に“力”を求めて力を使い、その所為で酷く苦しく辛い……生き方を虐げられてきた。けれども、君は諦めなかった。そしてそれは“今”に至る。」

 シロくんはお父さんを見ていた。つぶらなその黒い瞳で。お父さんは、笑って言った。

 「君は……前から思ってたけど……“実家のチョビ”に似てる。」

 「は??」

シロくんは目を丸くした。でも、お父さんは笑って言った。

 「チョビは蒼華にしか懐かなかった“野良犬”なんだ。この娘は、野良犬に噛まれて追いかけ回されてボロボロになって……、でも、空腹で倒れたその野良犬を連れて帰って来たんだよ。」

 え? と、シロくんが目を丸くすると、飛翠が言った。

 「あー……あのクソ犬な。俺が蒼華に近寄ると吠えまくってうぜぇ奴だった。」

 「は?? むっちゃ可愛いコだったけど!?」

 私が言うとお父さんが はははっ。と、笑った。

 「飛翠はダメだったな、蒼華にしか懐かなかった。チョビは。婆様には、エサくれるから大人しかったけども。」

 それな。と、飛翠は軽く溜息ついた。お父さんは、シロくんを見て言った。

 「君はそんな彼と同じ目をしている。そして、最も感謝している、ありがとう。蒼華の傍に居てくれて。」

 お父さんはシロくんに深々と頭を下げた。シロくんはそれを見て、あ。と、直ぐに頭を下げた。

 「す……すみませんっ! 僕は蒼華姉様のことしか考えてないので!」

 お父さんはそれを聴いて頭を上げると言った。

 「シロくん、ありがとう。本当に。」

 シロくんは頭を上げるとお父さんと向き合っていた。その顔は何だか少しだけ、笑顔になってた。

 けれども、そんな和やかな雰囲気を壊すように言葉を発したのは、シーラさんだった。

 「あのさぁ、涙の父娘再会はいーんだけど、この状況どーすんの? 聖王ネフェリティア。まだ、“反逆者”の手下は残ってるけど?」

 シーラさんの声にお父さんは言った。とても真剣な眼をして。

 「風の精霊(シルフ)の王シーラ、これ以上は関われない。」

 シーラさんはそんなお父さんを強く見据えていた。

 

  

  

 

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