↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新藤真悠は殺さない  作者: さいこ
悪夢を運ぶ白い猫
PR
16/18

エピローグ

 数十分後、僕は夕焼けに照らされた路地を、新藤さんと二人で歩いていた。立ち並ぶ家々から、夕餉の匂いが漏れてきて、茜色の空気を彩る。二人の影が長く伸びて、僕たちの前を歩く。


 新藤さんによって真相が明らかにされた後、僕たちはそれぞれの帰路につくために立ち上がった。新藤さんは駅に向かうというので、僕はここでお別れしようと口を開きかけた。


「じゃあ、僕たちはあっちだから……」

「あーっ! あたしたちも駅の方寄って買い物してきなさいって言われてるから一緒について行きます! 行くよね?」


 僕の言葉にかぶせるように畳みかけた千紘の言葉に疑問符を投げようとしたところ、こちらを向いた千紘の怖い顔に思わず口をつぐんでしまった。


「お、おう……」

「あたしは薬局寄ってから駅に向かうから、お兄ちゃんは新藤さんと駅に歩き始めててね!」

「え? いや、あの」

「新藤さん、今日は相談に乗ってくださってありがとうございました! 兄の言ってた通り、本当に何でも知っている感じでかっこよかったです」

「ありがとう。また遊びに行こうね」

「はい! 楽しみにしていますっ!」


 千紘がそういって人懐っこく笑うと、新藤さんも応えるように微笑んだ。


「では、お先に失礼します!」


 そう言って、千紘は軽やかに去ってしまい、僕はまんまと千紘の思惑通り、二人きりでお見送りをすることになったのだった。まったく、我が妹ながら、こういう時だけよく頭の回る小娘である。


 そのせいか妙に緊張してしまい、なんとなく途切れがちな会話の続きを探すのにも時間がかかってしまう。


「それにしても、悪夢の原因が花粉症の薬だったなんて予想だにしなかったよ」

「……それなんだけどね」

 僕が何の気なしに話し出した言葉に、新藤さんが妙な反応を見せた。


「花粉症の薬が原因で悪夢を見るのは、極めて稀なケースなんだ。私にも、千紘ちゃんの悪夢の原因が薬のせいなのかはわからない」

「えっ、そうだったの?」

 新藤さんは神妙な面持ちのまま続けた。


「今日実際に会ってみて、千紘ちゃんは悪夢やあの白猫のことで、案外滅入っているように感じたんだ。だから、私が自信満々に悪夢の原因や白猫の正体を目の前で明かすことで、不安を取り除き、安心感を与えようと思ったの」

「じゃあ、あの種明かしは演出だったってこと?」

「そういうこと。もしかしたら、本当に花粉症の薬のせいかもしれないし、そうでなくても安心感が得られたことで悪夢を見なくなるかもしれないし」


 新藤さんはそこまで言うとこちらを向いて笑いかけた。


「だから、千紘ちゃんが今晩以降も調子悪いみたいだったらまた教えてね」

「うん、ありがとう」


 僕は本心からの感謝を率直に言葉にした。満足そうに笑う新藤さんは、知識量や機転はもちろん、気配りや優しさまで持ち合わせた心強い味方に思えた。やはり、新藤さんに相談して良かったと、僕は心から思った。


 次の一言を聞くまでは。


「じゃあ、その報告会も兼ねて、お礼は今度の土曜日に昼ごはんの形で受け取るってことで♪」


 僕の財布があげた声なき悲鳴が、夕方の空にこだました。

この回で第2章は終了致しまして、同時に私の書き溜めも尽きました_:(´ `」 ∠):_

一応続編も考えてはいるので、書き上げたらまた少しずつ更新します(*ˊ˘ˋ*)♪

とりあえずここまでご愛読いただきましてありがとうございました!

これからもよろしくお願い致しますっ!


……おひねり感覚で感想や評価、レビューを頂けますと幸甚です_( _´ω`)_

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。