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新藤真悠は殺さない  作者: さいこ
悪夢を運ぶ白い猫
13/18

かわいいものは愛でないと

「悪夢を運ぶ白い猫ってのは、最近噂されている都市伝説の一つです。夜道を一人で歩いていると、全身が白い猫が表れる。その猫は何とかっていう悪魔の遣いで、奇妙な眼を持っていて、その眼を見たものは悪夢にうなされるようになってしまうんです」

「そういえば、実際にそうなった人はいるの?」


 口を挟んだ僕の言葉に、千紘は首をかしげた。


「そういや、あたしの他には聞いたことないかも……」

「やっぱりただの都市伝説なのかなぁ」

「でもあたし、本当に変な白猫見たんだよ?」


 千紘はそう答えて、コーヒーを一口飲んだ。甘いものを好まない彼女のコーヒーは、ミルクもシロップも入っていない。


「千紘ちゃんが見たのは、どんな猫だった?」

「暗かったので細かくは分かんないんですけど、光を受けて右目だけがキラって光りました」

「ふむふむ……なるほどね」


 新藤さんはチェリーアイスの塊を口に入れてこちらを見た。

 口の端に少し白いクリームがついている。僕は自分の口角を指すことで、彼女にそれを知らせた。


「これ食べたら、明るいうちに猫を探しに行ってみよう。何か分かるかもしれない」


 そう言って彼女は舌でクリームを舐め取った。

 小さく声を漏らした千紘は、目をキラキラさせてその案に食いついた。相変わらず表情が忙しいやつだ。


「それはつまり、巷に蔓延る噂を検証する現場に立ち会えるってことですね?」

「もちろん、猫が見つかるとは限らないけどね」

「おおお……テンション上がってきた……! じゃあ、真悠さんが食べ終わる前にお手洗い行っておきますっ」


 ひとしきり盛り上がった千紘は、そう言うや否や、ピシッと敬礼して野ウサギのような足取りで席を立った。

 僕は去りゆく彼女の後ろ姿を眺めながら小さなため息をついた。


「忙しいやつでしょう……」

「いや、あれがいいんじゃないか!」

「ん?」


 同意を求めたはずなのに、新藤さんが思ってたより力強く反論してきたので、少し吃驚してしまった。見れば新藤さんは右手でスプーンを持ちながら左拳を握りしめている。


「いやあ、あんなにかわいい妹がいるなんて羨ましい! ああ、ギュッてしていいこいいこして甘やかしたい!」

「あの……新藤さん……?」

「ん? なんだい?」


 こちらを見た新藤さんの瞳は、メガネの奥で見たことないくらい輝いていて、まるで恋する少女のようだ。けれどもその言動は、例えるなら初孫とご対面したおじいちゃんか、居酒屋で語るアイドルオタクのおじさんさながらだ。

 先程までのクールで賢くて優しい新藤さんがまるで幻のように跡形もない。


「いやあ、やっぱりかわいい女の子は心の癒しだよ」

「は、はぁ……」

「ちょっと、そんなに引かないでよ」

「いや、引くというか……驚いたかな」


 僕がそういうと、彼女は両手のひらを上に向けて、やれやれと呆れてみせた。


「素直じゃないんだな、キミは。千紘ちゃんの前では建前上ちょっとはしゃぎにくいけど、私はかわいいものに目がなくてね。キミだってそうでしょ? かわいいものは愛でないと」

「……まあ、ご自由にどうぞ」


 千紘の方も新藤さんと仲良くしたいようだったし、本人たちが楽しそうなのでそれで良いのだろう。そう思ってトイレの方を見やると、向こうの方から千紘がこちらを覗いているのと目が合った。


 わざと戻りを遅らせていたらしい。無言のまま、戻ってこいと目で訴えると、千紘はお茶目にウィンクをして、軽やかに戻ってきた。


「お待たせしましたっ!」

「よし。それじゃ、猫探しに行こうか」

 第2章は明日で問題編が終了致します!

 そこで。ここまでお読み頂いている皆さん、勝負致しましょう! 第2章の謎を解き明かしてみてくださいっ!


 タイムリミットは明後日の20:00、解決編が更新されるまでです!

 分かったぞ、って方はメッセージにて教えてください。


 見事解決に導いた方には……景品はまだ決めてませんが、レビューなど書かせて頂こうかなと思っております。

 謎の正体は理系の方でなくとも聞き覚えのあるものになっております故、挑戦してみてください♪


 かかってこい!(「・ω・)「

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