12 混乱いっぱい
……黙り込む私にイベリアは言葉を続ける。
「私は借りをきちんと返す女なのよ」
「ふふん」と胸を張って、聞いてもいないのに自分の主義を語る。
「えーと、一応突っ込んで起きますが、借りとは?」
「あ、あんたに借りを受けた訳じゃないからね。私が借りを返した相手は、あんたの所のルビィよ。
…ほら、倒すべき相手に借りを受けとたままじゃイベリア家の名前が廃るじゃない?」
……取り敢えず、今言っていた借りとはルビィが私の魔法を止めたことなのだろう。それは、わかった。でも、また新しい疑問が生まれる。
「まず、口調!どうしたの!?私、今は魔法使って無いよ!?
……何で、ルビィを敵視するの?それに魔法をかけた私のことは恨んでないの?」
「あんたが今魔法を使って無いこと位わかるわよ。」
イベリアは私にじと目をする。そして、溜息を吐いた。
「本当よね…私、今までずっとイベリア家の娘らしくしっかりお嬢様をしてたのに、あんたのせいで、人様の前で大泣きしながら叫ぶなんて恥ずかしい失態をしてしまったわ……本当なら今すぐあんたにもっと恥ずかしいことしてやるんだけど、今は我慢してあげるわ。」
……なんか偉そうでムカつく。
「あんなに大声出したのは久しぶりだわ。あと、自分の気持ちを暴露するのも……前世ぶりね。」
前世なんて、また大袈裟な…
「まぁ、幸い?あんたの魔法のせいで可笑しな事口走ってるだけだと思われてるし?……あれ、“真実の部屋”と同じ様な効果の魔法を使ったんでしょ。」
「……魔法が成功して良かった、といえば良いのでしょうか?正直、イベリアさんの様子を見て失敗したと思いました。
成功したということは、あれは本心ですか?ルビィを倒そうとするのも心から思っているってことですよね?」
「そうよ」と、もはや隠す気さえない彼女の様子に余計に混乱する。
「あんたの魔法のせいで…おかげで、私は私の中にまだ残る西野彩音の気持ちを表立って出すことが出来た。
…西野彩音の、私の気持ちを聞かれちゃったからには、あんたをそのまま放置する訳にはいかないわ。人に言われると大変だからね。……あんたの生徒会への加入を認めてあげる。」
暴露しちゃったと心配している彼女には悪いのだが、昨日は彼女があまりの変容に気を取られていて、あまり何を言ってたのかを整理することが出来なかったのだ。断片的な言葉はしっかり覚えているが、あまりにも支離滅裂すぎてよくわかっていない。
「…西野彩音って?いや、それより私はもう生徒会に入る気は無いですけど…」
言った瞬間、驚いた顔をした。またすぐに怒った様に…
「うるさい!あんたに拒否権なんて無いわ!」
「イベリア、私が生徒会に入るの反対してなかったっけ?」
何がいったいどうなってるのだ。
本当にシャーロット=イベリアという人間がわからない。
「イベリアですって?あんたになんて呼び捨てにされたく無いわ。シャーロット様と呼びなさい!」
「余計親密になってるし!」
つい、ツッコミを入れてしまう。とうとう本人の前で呼び捨てにしちゃったよ、と一瞬焦ったけれど…その後の言葉が衝撃的だった。
「イベリ…「シャーロット様!」……シャーロット、本当にどうしたの?誰かに変な魔法でもかけられたの?」
「あ、様を付け忘れてるわ!」
……もうついていけない。何故、いきなり態度を変えるのか。何故、私の生徒会入りを認めるのか。なによりも、何故ルビィを敵対視するのかも全然答えていないのだ。
「いいから、生徒会に入りなさい!あんたが生徒会にいたら、ルビィを倒しやすくなるから好都合なのよ!
良い?今日また生徒会室に来なさい!第一の方ね!」
第一生徒会室は、真実の部屋がある場所。……普段、イベリアは行かないんじゃなかったっけ?でも、もうなんでもいいや…とにかく、疲れ、た…
西野彩音は、シャーロット=イベリアの前世での名前です。




