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第十一章 銅鏡

彼はすぐにはその場を離れなかった。博物館のミュージアムショップを一通り歩き、小さな冊子を一冊買った。会計のとき、レジの女性が「ありがとうございます」と言い、彼は「ありがとう」と返した。


角に立って冊子を開く。銅鏡のページを探す。拡大写真には、背面の文様がはっきり写っていた。それは離卦ではなかった。坎卦――水、北方。


沈帰塵の指が止まった。珠の背面は離卦だった。火、南方。銅鏡は坎卦。水、北方。完全に反対だった。


同じ時代、同じ場所に関わる痕跡。一方は離卦を刻み、もう一方は坎卦を刻んだ。


彼は師匠の言葉を思い出した。「世の中は白か黒かではない。火は人を焼くが、同時に暖める。水は人を沈めるが、同時に生かす。お前がどう見るかで、それは変わる」そのときは分からなかった。「いずれ分かる」と師匠は言った。


彼は冊子を閉じた。これは「もう一つの証拠」ではない。矛盾だった。珠が示したものを、銅鏡が一部だけ否定している。つまり、珠の意味は完全ではない。その人が残した痕跡も、一つの方向だけではない。


彼は冊子を棚に戻し、博物館を出た。


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