マスク。
コロナ過に書いた昔の作品です。
こういう話は現代詩なんでしょうか、掌編小説なんでしょうか。
どなたか詳しい方教えていただけると助かります。
「安藤さんかわいいよねー」
まだ二、三回しか会ったことのない男性にそう言われた。
「……そんなことないよ」
私はうつむいて小さく答える。
「そんなことないよー! ねぇ、今度ランチ行かない?」
その言葉に、私は即座に答えた。
「行かない」
そして席を立ち、その場を去った。
トレイに駆け込み、息をつくと、私は鏡を見る。
そして誰もいないのを確認して、そっとマスクを外した。
そこに映ったのは、いわゆるマスク美人と呼ばれる、醜い私の顔だ。
「はぁ……」
私は再度、マスクをつけてため息をつく。
マスク生活が始まってどれくらい立つだろう。
最初はブサイクな顔が自分で言うのもなんだが、かわいく見えてよかったと思った。
だけど、次第に男性から……好意を持って声をかけられることが多くなり、最初は私も乗り気だったが、マスクを外した途端、相手の表情が曇ったり、えっ……と動揺している姿を見て、私の心はどんどん沈んで行った。
もうマスクを外したくない気持ちと、早くマスク生活が終わってほしい気持ち。
両方がごちゃごちゃに私の心の中を乱している。
モテることが、外見が、マスク一枚で変わるこの世界はなんなのだろう……。
おわり。




