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ターフのカノジョ外伝 =チャリティーアイドルホース ベコ=  作者: 中原牧人


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第6話 玄武との激戦

挿絵(By みてみん)



『ターフのカノジョ外伝 = チャリティーアイドルホースベコ =』は北陸復興支援と地方競馬(金沢競馬含む)の繁栄を目的に「お座敷ちゃんねる」が展開している北陸復興支援プロジェクト(タフカノベコプロジェクト)から出てきた2.5次元[3次元ベース]の『ターフのカノジョ外伝 = 北陸復興姫ベコ =』と2次元ライトノベル『ターフのカノジョ』を実際の競走馬ベコを介して世界を繋ぐ2.5次元ノベル。

ベコを現実へ引き出しリアルな陣営の想いとベコのブログ部分とターフのカノジョとクロスオーバーさせた物語です。


工場の中へ突入した私とさなさんを待ち受けていたのは張り詰めた緊迫感だった。


錆びついた鉄骨がむき出しになった工場の中央。

薄暗い空間の中で体格のいい男がももやあきらたちと対峙していた。


男の背後には三人の女性。


そのうち二人は盾を構え、残る一人はシルバーの小手を装着した腕で銃を構えている。


そして男の銃口はあきらに向けられていた。


「マナカ、マイカ、シミズ! 無事?」


さなさんが声を張り上げる。


すぐにシルバーの小手を装着した女性が応答した。


「チームD無事です! 現在、獅子戸組幹部の玄武捕獲任務を遂行中です!」


その言葉を聞いた男は腹の底から響くような笑い声を上げた。


「ワシを捕まえるじゃと? お前たちにそんなことができるわけなかろう! 諦めい!」


工場中に男の声が響き渡る。


獅子戸組幹部―玄武。


目の前にいる男が今回の任務の標的だった。


屈強な体つきに隙なく着こなしたスーツ。

頭はきれいに丸められ目元には黒いサングラスが光っている。

その風貌からはただならぬ威圧感が漂っていた。


しかし玄武の態度には追い詰められた者の焦りなど微塵もない。

それどころか自分を包囲している私たちを見て面白がっているようにすら見えた。


そのときあきらが口を開いた。


「ももと総帥は下がって。工場から出て…」


落ち着いた声だった。


だがその声には有無を言わせない強さがあった。


状況を理解しきれず私は思わずあきらの顔を見つめた。


「早く!」


鋭い一喝に私は我に返った。


さなさんやももとともに私は入口へ向かって後退する。


その間もあきらは玄武から目を離さなかった。


「ほう…」


玄武が感心したように声を漏らした。


「帽子の小娘、何者じゃ? よく状況を理解しておるではないか。この中でワシと張り合えるのはお前ということか」


玄武はそう言いながらスーツの左ポケットへ手を入れた。


その動きを見逃さずチームDの二人が盾を並べて身構える。


後方ではシルバーの小手を装着した女性が銃口を玄武に向けたままいつでも撃てるように照準を合わせていた。


「お前、名前は何という?」


玄武があきらに問いかける。


あきらは一瞬だけ間を置いた。


「通りすがりの女子高生」


その返答に玄武は再び笑った。


「面白いじゃないか! じゃが、勝負はお預けじゃ!」


直後、私のイヤホンから切迫した声が飛び込んできた。


『玄武は左ポケットに爆弾らしき物を所持! 取り出して使用する恐れあり!』


報告してきたのはチームDのマナカだった。


透視能力で玄武の隠し持つ危険物を見抜いたのだ。


「さなさん、とりあえず工場から出ましょう!」


私はさなさんに声をかけ、入口へと急いだ。


その瞬間だった。


―ドォォォンッ!!


背後から耳をつんざくような爆発音が響き渡った。


衝撃で地面が揺れる。


振り返ると工場の壁の一部が吹き飛びもうもうと白煙が立ち込めていた。


「っ……!」


思わず足を止めかけた私の耳に無線の声が届く。


『玄武が漁船で逃走! 塩屋漁港ポイントXへ向かっています!』


続けてさなさんの指示が響いた。


「深追いは禁止! 仲間の救助を最優先!」


その言葉を聞いた私はさなさんとともに再び工場へ駆け込んだ。


煙の漂う工場内ではあきらとももが負傷した仲間たちに寄り添っていた。


「マナカ、大丈夫?」


さなさんが駆け寄る。


「私は何とか…。さなさんこそ、大丈夫でしたでしょうか?」


シルバーの小手を装着したマナカが心配そうにさなさんへ手を伸ばした。


「あたしは大丈夫。それより、あなたたちが…。今、救助が来るからね。マイカとシミズも大丈夫なの?」


さなさんは二人の様子を確認する。


盾を持ったマイカは床に横たわっていたが意識はあるようだった。


「なんとか…。この盾、頑丈ですね…」


「もう、今そんな呑気なことを言ってる場合じゃないじゃん!」


さなさんが思わず声を上げる。


その少し離れた場所では青髪のシミズも倒れ込んでいた。


「全員、意識あり! 救護を急いで!」


さなさんの指示が飛ぶ。


ほどなくして看護兵たちが工場に到着した。


「負傷者三名を搬送します!」


看護兵たちが手際よく三人を担架へ乗せていく。


「はい、三人をお願いね!」


さなさんが送り出すと、小柄な看護兵が力強くうなずいた。


「大丈夫なのです! 傷は浅いのです!」


幼い少女のような外見とは裏腹にその声には確かな自信があった。


三人が救急車へと運ばれていく。


その姿を見送りながら私は先ほどの爆発を思い返していた。


マナカは玄武が爆弾を取り出すことを見抜いていた。


そして爆弾を撃ち抜いた。


あきらはウインドレジスタンスを使い、もものパイロキネシスと力を合わせて爆風を抑え込んだという。


それでもチームDの三人は負傷した。


一方、玄武は爆発の混乱に乗じて逃走してしまった。


「玄武のスキル…同じ…」


不意に、あきらが言葉を漏らした。


「あきら?」


私は思わず彼女の方を向いた。


あきらは何かを考え込むように、爆発の跡を見つめている。


「とりあえず、状況を説明して!」


さなさんは手帳を取り出し、ももの報告を書き留め始めた。


「玄武が左ポケットから爆弾を取り出した瞬間、マナカが銃で撃ち抜きました。その直後に爆発が発生。私のパイロキネシスとあきらのウインドレジスタンスを合わせて爆風を抑えましたが、チームDは盾で防ぐしかありませんでした…。爆発の最中、玄武がどうなったのかは確認できていません」


さなさんは真剣な表情でペンを走らせる。


「なるほど…。マナカが透視で爆弾を見つけてくれていたから対応できたんだね。ありがとう」


私は口を開いた。


「私が見た限りでは船で逃げる玄武に目立った傷はなさそうでした」


「そう…。やっぱり、まだ油断できないね」


さなさんは手帳を閉じ遠ざかっていく救急車の方へ視線を向けた。


玄武は逃げた。


そして、私たちは仲間を負傷させてしまった。


任務は終わっていない。


むしろ、ここからが本当の戦いなのかもしれない。


私は煙の残る工場を見渡した。


なぜ私は命の危険を冒してまでこの組織に身を置いているのだろう。


ふと、そんな疑問が頭をよぎった。


怖くないわけではない。


仲間が傷つく姿を見れば胸が締めつけられる。

目の前で爆発が起きれば足がすくみそうになる。


それでも私はここにいる。


理由は一つ。


変わりつつある競馬産業の闇をなくすため。


競走馬たちが競走生活を終えた後も安心して生きていける未来を守るため。


競走馬たちのセカンドライフを脅かす者たちがいる限り、私たちは戦い続ける。


それが、RISE女子のプライドなのだから。



■ 第6話 玄武との激戦 ■



玄武・・・ターフのカノジョ一角獣vs獅子戸組に登場する獅子戸組の幹部。


チームD(RISE所属)・・・マナカとマイカとシミズが登場。




■ お願いとご挨拶 ■


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【ターフのカノジョとは】



競馬が繁栄し、法改正によって人々の日常に深く根付いた世界。


競馬産業は大きな変革を遂げ馬の生産頭数は適切に管理されるようになった。

競走馬は単なる経済動物ではなく一頭一頭がかけがえのない命として尊重され、引退後の第二の人生まで見据えた新たな産業構造が確立されていた。


その変革の中で誕生した第三の競馬体系――「学園競馬」。



専門職に就く大人たちから直接指導を受け、騎乗技術や予想技術、馬の生産・育成・管理、さらには競馬産業の運営に至るまで競馬に関わるあらゆる分野を体系的に学ぶ教育制度。


人々は、それを「競馬道」と呼んだ。


競馬道学部に集う生徒たちはそれぞれの専門分野で知識と技術を磨き、互いに競い合いながら次世代の競馬界を担う存在へと成長していく。

夢と誇りを胸に仲間と切磋琢磨する日々。

その先には、誰もが目指す栄光の舞台が待っていた。



しかし繁栄する競馬産業に目を付けた者たちもいた。


競馬界の光の裏に潜む欲望と野望に満ちた悪の影。


その脅威から競馬界と人々を守るため暗躍する者たち。


そして特殊能力「スキル」を駆使し勝負を有利に導こうとする者たちの出現。


新たな力が競馬界の在り方を変え、さらなる激動の時代へと突入していく。


これは競馬の未来を切り拓こうとする者達の物語。


馬と人が紡ぐ新たな競馬の時代。


学園競馬を舞台に少女たちの熱き青春と競馬界の光と闇が交錯する。



『ターフのカノジョ制作委員会とは』


みんなで創り未来へ受け継ぐ参加型ノベルプロジェクト


ターフのカノジョは、作者だけで物語を完成させるのではなく参加者からアイデアや意見を募り、みんなで世界を創り上げていく参加型ノベルプロジェクトです。


発起人である中原牧人だけでなく、一人ひとりの参加者が持つ発想や想いを大切にしそれぞれの視点やアイデアを物語の可能性へとつなげていきます。


さまざまな意見やアイデアを持ち寄り、互いの個性を尊重しながら一人では生み出せない新たな物語を共に創造していく。

それが『ターフのカノジョ制作委員会』の目指す創作のかたちです。


そして、このプロジェクトが目指すものは物語を完成させることだけではありません。


参加者一人ひとりの想いとアイデア、そして共に創り上げた創作の軌跡を日本の書籍というかたちで次世代へ受け継いでいくこと。

時代を超えて読み継がれ後世の人々が当時の参加者の情熱や創造性に触れられるような文化的・歴史的価値を持つ作品と記録を残すことを目指します。


誰か一人の物語からみんなの物語へ。


その想いを未来へつないでいくプロジェクトです。





(C) 2006-2026 お座敷ちゃんねるfeat.さなの夢馬券 ターフのカノジョ製作委員会 All Rights Reserved.



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