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チートでもらった【アクセサリ制作】はおまけでした。本命は装備枠無制限だけど、カードに載らないし関係ないよね?   作者: めざし


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第三十一話 勝利の余韻

三十階へ続く階段の前で俺たちは、立っていた。


終着点が眼前の階段の先にある。


「……行きましょう」


フィーネさんが、静かに言った。その声に、迷いはなかった。


「ダンジョンマスター。奈落回廊の主……それを倒せば、完全踏破です」


俺達は頷いた。


胸の奥で、心臓が静かに高鳴っている。

恐怖じゃない。

武者震いだ。仲間と一緒ならどこまでも行ける。そう信じられた。


「……全員、準備はいいな」


バルトさんが、黒龍大盾を構える。


「俺は……この五人でなら、負ける気がしねえ!」

「ふふ……そうね」


ミレイさんが、黒龍杖を握り直す。

ティアさんが、錫杖を。

フィーネさんが黒龍弓を。

俺は黒龍刀に手をかけた。


「──行きましょう!!」

俺たちは、最下層へ、足を踏み入れた。


そこは、広大な円形の大空洞だった。

天井は、はるか高く。壁には、淡く光る古い文様が刻まれている。中央に、ぽっかりと開けた空間の奥に──


「……いる」


フィーネさんが、看破を走らせて息を呑んだ。

闇の中から、ゆっくりとそれが姿を現す。


黒い龍。


だが、二十五階の、ブラックドラゴンとは体躯が、オーラがそのすべてが、ひと回り...いや二回りも大きい。漆黒の鱗は、鈍く光りその眼は、深い紅蓮の色。全身から、圧が滲み出している。


空気が...重い


『……ブラックドラゴンオルタ』


   ブラックドラゴンオルタ    

   モンスターランク:SS

  ──────────────

   HP  9000

   MP  9000

   力  1500

   頑丈 1500

   敏捷 1300

   技量 1600

   魔力 2000

  ──────────────

   スキル:ドラゴンブレスSS/魔法耐性S/自動回復A/物理耐性A/竜燐A

  

フィーネさんが、その名を読み上げた。


「あれが……ダンジョンマスター……気をつけてください。ステータスが……桁違いです」


ズゥゥン……と。

龍が、一歩踏み出すその振動で大空洞の空気が震えた。


グ、ル、ル……


ブラックドラゴンオルタの喉から低い唸りが漏れる。まるで、俺たちを値踏みするように。


「……来ます!」


戦いは、これまでのどの戦いよりも激しかった。


ゴォォォォッ!!


オルタのブレスが放たれる。二十五階のブラックドラゴンとは、比較にならない、極大の灼熱。


「──城塞! 不動!」


バルトさんが、前に出た。

黒龍大盾を構え、城塞を纏いそのブレスを正面から受け止める。


ズガアアアアッ!!


「ぐっ……あっちぃ!!……だが……!!!」


バルトさんの足がずざざと、削れる。

だが──耐えきった...その守りは、ブラックドラゴンオルタの極大ブレスすら受け切った。


「今よ! ──メテオ!」


ミレイさんの、極大魔法が空間を切り裂き降り注ぐ。黒龍杖で、跳ね上がったその魔力を隕石に変えオルタの巨躯を直撃する。


ドゴォォォンッ!!


「……効いてる! でも……浅いわ!」


メテオが直撃してもオルタは怯まなかった。分厚い鱗が、隕石の衝撃すら弾き返す。さすが、ダンジョンマスター。


「レイ君! 弱点を、探します! 一緒に!」

「はい!」


俺は、意識をブラックドラゴンに集めた。フィーネさんと、二人でオルタの動きを観る。ブレスの溜め、爪の振り、尻尾の薙ぎ、そのすべての癖を。

そして、俺は──地面を、蹴った。


「隙を見つけました!行きますっ!!」


敏捷はもはやカンスト近くなっていた。その人外の速さで俺は、オルタの領域へ飛び込んだ。


「──パワースラッシュ!」


ズバァッッ


力を乗せたその一撃が、オルタの前脚の鱗の隙間を斬り裂いた。


ギシャアアッ!!


オルタが、初めて悲鳴を上げた。


「効いた……! みんな、俺が鱗を削ります! そこなら...通る!」


そこからは、総力戦だった。

バルトさんが、壁になる。ミレイさんが、極大魔法で、削る。ティアさんが、みんなを癒す。フィーネさんが指揮を執り矢を放つ。そして、俺が懐で掻き回す。

俺は動き回りながらかく乱し足で翻弄した。

俺とバルトさんは何度もブレスに焼かれかけた。何度も尻尾に吹き飛ばされかけたが、そのたびにティアさんの治癒が俺たちを繋ぎ止めた。


「──ソニックレイ!」


フィーネさんの矢がオルタの右眼を撃ち抜いた。


グオオオオオッ!!!


片眼を、失ったオルタが荒れ狂う。

それは大きな隙だった。


「今です! 全員!全力で!」


フィーネさんの、号令。

ミレイさんが、最大のメテオを。バルトさんがシールドチャージを、ティアさんが、支援魔法を。フィーネさんが、龍矢の散弾を....

そして、俺は──黒龍刀を、両手で握りしめた。

オルタの斬り裂いた傷口へ...渾身の一撃を叩き込んだ。


「うおおおおおっ!!」


ズガアアアアンッ!!!


漆黒の巨躯が、大きく、傾いた。


グ……ォ……ォォ……。


ブラックドラゴンオルタが、ゆっくりと崩れ落ちる。

大空洞を揺らして。

そして──動かなく...なっ...た。


しん、と。

大空洞が静まり返った。


「……やった、のか?」


バルトさんが、息を切らしながら呟いた。


「……ええ……討伐完了です!」


フィーネさんが、看破で確認して頷いた。

その瞬間.........


「……やった!……やったわ……!」


ミレイさんが、へなへなと、座り込んだ。


「あたしたち……ダンジョンマスターを……倒したのよ! リンドールダンジョンを……完全踏破したの!」

「……はは……マジかよ……やったんだなぁ俺たち....」


バルトさんが、盾を下ろして天を仰いだ。

ティアさんが、涙を浮かべ微笑む。

フィーネさんも、静かだけれど確かな喜びを顔に滲ませていた。


完全踏破。


リンドールダンジョンの頂点。

俺達はついに奈落回廊を完全制覇したのだ。


「……みんな」


俺は、こみ上げるものを堪えながら言った。


「……ありがとう、ございます。……俺、みんなと....ここまで...来られて……本当に……」

「よせよ、レイ」


バルトさんが、俺の肩を叩いて笑った。


「誰か一人かけても、ここまでこれなかった。俺達全員の功績だぜ!」


みんなが、頷く。あたたかい笑顔で。

ダンジョン踏破の達成感が、じんわりと俺の胸に広がっていく。


──奥にぽつんと帰還のオーブが淡く光っていた。あとは地上へもどって報告だ。

この達成感を街に持ち帰るのだ。


「…さぁドロップを確認して…帰りましょう。俺たちのホームへ」


俺は、そう言ってブラックドラゴンオルタの方を向いた。


──その時だった


ズ、……ク、……


ブラックドラゴンオルタから奇妙な音がした。

俺は足を止めた。

なんだ、今の……

ブラックドラゴンオルタの死骸...倒したはずのそれが──

消えて...いなかった。


「……あれ?」


俺は、首をかしげた。

魔物は、倒すと光の粒になって消える。それがこの世界の理だ。

今まで、倒してきたどんな魔物もそうだった。

鬼面オーガも。

ブラックドラゴンも。

なのに──オルタの死骸はそこに...在り続けていた。


「……フィーネさん。あれ、消えないんですけど……」

「……え?」


フィーネさんも、振り返る。看破を走らせて──その表情がこわばった。


「……おかしい。……討伐は、確かに、完了しているのに……なぜ、死骸が……」


ズ、ク、……ズクン。


死骸が...脈打つように、蠢いた。


「……!?」


全員が息を呑む。

倒したはずのオルタの死骸。その、内側から何かが這い出そうとしている...

黒い靄が死骸から噴き出し渦を巻いてゆっくりと人の形を成していく。


「……なに、あれ……」


ミレイさんの、声が、震えた。

俺の背筋を。冷たいものが走る。


これは……違う。

まだ、終わっていない!!!

倒したはずだ──なのに...あれはいったいなんだ!!?

帰還のオーブは光っている。確かに倒した証拠がここにある。

しかし俺たちは、動けなかった。

死骸の中から、這い出てくる、その黒い影から...目を離せなかった。

でも──本当の終わりは...いや...

本当の【絶望】は、これから、始まるのだった。



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