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チートでもらった【アクセサリ制作】はおまけでした。本命は装備枠無制限だけど、カードに載らないし関係ないよね?   作者: めざし


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第三十話 最下層へ

セイとの決着から数日が過ぎた。

ティアさんの悪評は、ギルド公認で覆され今ではもう誰もあの噂を口にしない。あの、おっとりとした笑顔も、すっかり戻っていた。


「はぁ。平和って、いいわねぇ」


ホームで、お茶を飲みながら、ミレイさんがのんびりと言った。

でも、俺たちは知っていた。この平和が、次の挑戦への束の間の休息でしかないことを。


「……そろそろ、ですね」


フィーネさんが、奈落回廊の攻略図を広げた。

俺たちが書き足してきた深層の記録。その地図の二十五階から先が真っ白だった。


「二十六階から先。……ここからは、また未知の領域です」


俺たちは、ブラックドラゴンを倒して金剛級になった。二十五階を越えた。でもそれは、終わりじゃなく新たな始まりだった。


「フィーネさん。二十六階から先って、どのくらいきついんですか?」

「正直に言いうとわかりませんが文献や情報からみると桁が違いそうです」

「さらに二十六階以降は、どの街のダンジョンでも、最低Sランクの実力がないと太刀打ちできない……そう言われています」

「Sランク……」

「ええ。わたしたちは、まだAランク帯……本来なら、挑むのは無謀な領域なんです」


しん、と空気が重くなった。


Sランク...セイたちが、そうだった。圧倒的な格上で正直な話、俺たちが勝負に勝てたのは合成の力があったから。もともとの能力値では、まだ届いていない。そのSランクが"最低ライン"の世界。


「でも、行くしかねえだろ」


バルトさんが腕を組んだ。


「最下層まで!俺たちは、そう決めたんだからな」

「最下層……三十階と言われてますね」


フィーネさんが呟いた。


「リンドールダンジョンは、三十階が最下層と言われています。……そこにはきっと──ダンジョンマスターがいます」


ダンジョンマスター


「なによ、それ。初めて聞くわね」

「ダンジョンの最下層にいる、その迷宮を統べる主です。階層主とは比べ物にならない化け物。到達した者がほとんどいないから、正体もわかっていません」

「その、マスターを倒せば?」

「リンドールダンジョンを、完全踏破。……この街の冒険者として、頂点に立つことになります」


頂点


俺は、自分の手を見た。

誰にも期待されなかったこの俺が、仲間と出会ってここまで来た。

俺たち銀の羽根がその頂点に、手が届くかもしれない。


「……行きましょう。三十階まで。俺たち、銀の羽根で」


その言葉に、みんなが頷いた。


「ただし──今のままでは無理です」


フィーネさんが釘を刺した。


「レベルを上げないと!そして装備も、まだまだ鍛える必要があります」

「つまり、また修行ってわけね」


ミレイさんが肩をすくめた。だが、その目は笑っていた。


「いいわ。やってやろうじゃない。あの鬼面オーガを片手で捻れるようになったんだもの。今度はSランクの領域を、あたしたちの庭にしてやるわ」


その日から、俺たちはまた深層へ潜り始めた。

二十六階...

フィーネさんの言った通りだった。そこにいる魔物は、今までとは格が違った。

そして──俺は、ある光景に、目を疑った。


「フィーネさん、あれ……ブラックドラゴンじゃ」

「……ええ。二十六階では、あれが"雑魚"として、徘徊しているみたいですね」


ブラックドラゴン。俺たちが、死力を尽くして倒した二十五階のフロアボス。

金剛級の壁だったあの黒竜がここではそこらをうろつく雑魚でしかない。

深層は、そういう場所だった。


「──でも、好都合です」


フィーネさんが、看破を走らせて、目を細めた。


「あの個体が落とす装備……『黒龍シリーズ』というみたいです。どうやら鬼哭よりも、さらに上等な代物です」


黒龍。

俺たちは、そのブラックドラゴンの群れを狩り始めた。かつて全力で挑んだ相手を、今は、経験値と装備のために。

そして、少しずつ黒龍シリーズが集まっていった。


黒龍弓。黒龍大盾。黒龍杖。黒龍錫杖。そして、黒龍刀。

一通り揃った夜俺たちはホームでそれを分け合った。


「……すごいわ。魔力が、鬼哭杖の比じゃない」


黒龍杖を握ったミレイさんが、目を輝かせる。フィーネさんの黒龍弓も、バルトさんの黒龍大盾も、ティアさんの黒龍錫杖もみんな鬼哭シリーズをはるかに上回る性能だった。


みんなが、黒龍装備に持ち替える。

──と...そこで外した鬼哭シリーズがテーブルの上に残された。


「……これ、どうする? 売るには、もったいないけど」


ミレイさんが、鬼哭杖をもち上げる。かつての、パーティの主力装備。だが、黒龍に持ち替えた今みんなにとってはもう型落ちだ。

そのとき俺は、思いついた。


「……あの。それ、俺がもらってもいいですか?」

「え?」


みんなが、俺を見る。俺は、鬼哭シリーズを一つずつ手に取りそのままアイテムボックスへと放り込んだ。

ヒュンッ、と。

鬼哭弓が。

鬼哭大盾が。

鬼哭杖が。

錫杖が。

刀が。

次々と、消えていく。

そして、消えた瞬間。俺のステータスが跳ね上がるのを感じた。


「……あ」


ミレイさんが、口を開けた。


「そっか……! レイのボックスに入れれば、装備枠無制限で……全部、装備中扱いになるのね!」

「はい。鬼哭のステ補正がぜんぶ俺に乗りました。……装備の固有効果までは使えませんけど数字だけはもらえるので」

みんなが、顔を見合わせて──それから噴き出した。


「あっはっは! なんだそりゃ! 俺たちのお下がりで、レイが、また化け物になってやがる!」

「もう、意味わかんないわよ、あんたのスキル!」


そう言いながら、みんな笑っていた。

装備が、一つも、無駄にならない。みんなが使い込んだ武器が、そのまま、俺の力になる。……なんだか、それが、嬉しかった。俺は、一人で戦ってるんじゃない。みんなの積み重ねを背負って戦っている....そんな気がした。


黒龍装備を得た俺たちは、深層を着実に攻略していった。


二十七階。

二十八階。


何度も死にかけ何度も撤退しそのたびに強くなった。レベルが上がり、アクセサリを集め、俺のステータスはもう誰にも見せられないほどに膨れ上がっていた。

そして季節が、また巡っていった。

気づけば、俺たちは、二十九階まで到達していた。

最下層まであと一階...

三十階は、もう目の前だった。

その日の夜...ホームで、ステータスカードを確認し合った。


「フィーネさんが、レベル九十か」


バルトさんが、感慨深げに言った。

相変わらず、フィーネさんが俺たちの中で一番高い。

続いてティアさんが八十九、バルトさんが八十八、ミレイさんが八十七。

みんな、Sランクの領域だ。かつて、見上げるしかなかったあの高み。


「レイ君は?」

「……俺は、八十五です」


冒険者、レベル八十五。

この職業でここまで来た者は歴史上いない。


「……ふふ。冒険者でレベル八十五。……本当に、あなたって、規格外ですね」


フィーネさんが微笑んだ。

俺たちは、顔を見合わせて、笑い合った。


「明日、三十階に挑みましょう。……ダンジョンマスターに」


その言葉に、誰も異を唱えなかった。

長い、長い旅のひとつの終着点がもうすぐそこにあった。

──でも...俺たちは、知らなかった。

その最下層で待っているものが、俺たちの想像を絶する絶望だということを。

そして、その絶望の引き金が──俺自身だということを。

まだこの時の俺たちは、何も、知らなかった。



 ◇

──最下層を前にした、銀の羽根の五枚。

   【冒険者カード】

   名前:レイ    ランク:S

   レベル:85    職業:冒険者

   所属:銀の羽根

  ──────────────

   HP  2052(+1348)

   MP  620(+440)

   力  725(+504+45)

   頑丈 446(+250+20)

   敏捷 937(+718+43)

   技量 965(+714+75)

   魔力 620(+405+35)

  ──────────────

   スキル:アイテムボックス/アクセサリ製造

       属性魔法E/剛力E/治癒E/鷹の目E/魔力増大E/剛弓E/付与魔法E

        詠唱短縮E/剣術E/ファイナルストライクE

   装備:黒龍刀/ウィンドソード/鬼哭シリーズ全種(ボックス内・全て装備中)

  ※末尾の内訳は黒龍刀+鬼哭お下がり分+ボックス内アクセの合算。固有効果は乗らず、ステ補正のみ加算

  ※ファイナルストライクは装備を一つ犠牲にし魔力と力のステータス合計値で攻撃を行う。使用された装備は必ず破壊され修復は不可能


   【冒険者カード】

   名前:ミレイ   ランク:S

   レベル:87    職業:大魔導士

   所属:銀の羽根

  ──────────────

   HP  532

   MP  935+280

   力  101

   頑丈 146

   敏捷 110

   技量 158

   魔力 559+30

  ──────────────

   スキル:属性魔法S/魔力増大SS

   装備:属性魔法リング/黒龍杖(魔力+30/MP+30%)

      【詠唱短縮】【魔法装填】


   【冒険者カード】

   名前:バルト   ランク:S

   レベル:88    職業:盾騎士

   所属:銀の羽根

  ──────────────

   HP  2154+646

   MP  90

   力  364

   頑丈 506+50

   敏捷 167

   技量 198

   魔力 58

  ──────────────

   スキル:剛力S/城塞

   装備:盾騎士の指輪(呪)/黒龍大盾(頑丈+50/HP+30%)

      【不動】


   【冒険者カード】

   名前:ティア   ランク:S

   レベル:89    職業:聖者

   所属:銀の羽根

  ──────────────

   HP  990

   MP  1031

   力  134

   頑丈 233

   敏捷 168

   技量 250

   魔力 535+30

  ──────────────

   スキル:治癒S/付与魔法S

   装備:治癒のリング/黒龍錫杖(魔力+30)

      【詠唱短縮】【MP消費半減】【広域治癒】


   【冒険者カード】

   名前:フィーネ  ランク:S

   レベル:90    職業:弓聖

   所属:銀の羽根

  ──────────────

   HP  764

   MP  307

   力  222

   頑丈 219

   敏捷 513+30

   技量 551+30

   魔力 234

  ──────────────

   スキル:鷹の目SS+/剛弓SS/看破

   装備:鷹の目のイヤリング/黒龍弓(技量+30/敏捷+30)

      【龍矢生成】




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