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チートでもらった【アクセサリ制作】はおまけでした。本命は装備枠無制限だけど、カードに載らないし関係ないよね?   作者: めざし


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第二十八話 今放つ光の一射

ギルドから、ホームに帰った、その夜。

俺は、みんなをリビングに集めた。


「みなさんに……話があります」


全員の顔を見回す。

ミレイさん、バルトさん、ティアさん、フィーネさん。


「実は……最近、俺の製造スキルに新しいことができるようになったんです」


俺は、ボックスから二つのスキルリングを取り出した。

「スキルリングとスキルリングを──合成できるようになりました。合成するとひとつの指輪にふたつのスキルが乗って……しかも、それぞれの能力が保持します」


しん、と。リビングが、静まり返って──


「「「「はァァァァァァ!?」」」」


四人の声が綺麗に揃った。


「ちょっと待ちなさいよレイ! スキルリングを自作できるだけでも規格外なのに! それを合成できる!? あんたどこまでいくのよ!?」


ミレイさんが詰め寄ってくる。俺はたじろぎながらもまっすぐ言った。


「……俺、この力で...みんなと一緒に絶対に勝ちたいんです!」


その言葉にみんなが口をつぐんだ。


「ティアさんを傷つけたあいつに。フィーネさんとバルトさんを賭けなきゃいけないこの勝負に……絶対に勝ちたい!だから──みんなで強くなりましょう!」


俺は、拳を握りしめた。力が入りすぎて声が震える。


「あいつに...二度と……【替えが利く】なんて言わせないくらいに」


──ぽん、と。

肩に、大きな手が置かれた...バルトさんだった。


「…ハハッ…そんなに、力むなってレイ」


バルトさんがにっと笑う。


「大丈夫だ!俺たちは勝つ。……でもよぉ、万が一負けちまっても...」


バルトさんが、みんなを見回して。


「まっ!そんときゃ、全員、夜逃げだ。夜逃げ」

「……ぷっ」


ミレイさんが噴き出した。


「なによ、それ! 白金級が夜逃げって!」

「いいじゃねえか!ここじゃなくても俺たちは銀の羽だぜ?ティア連れてずらかっちまえばこっちのもんだ。あんな街こっちから願い下げだぜ!」

「ふふっ……バルトさんったら」


ティアさんも、久しぶりに声を出して笑った。

その笑顔を見て俺の中の力みがふっと抜けた。

そうだ。勝っても、負けても……俺にはこの仲間達がいる。


「……よし。渡しますね!合成リングを...」


俺は、一人ひとりに合成したリングを渡していった。

ミレイさんには、魔力増大と属性魔法を...

ティアさんには、治癒と付与魔法を...

そして、フィーネさんには──鷹の目と剛弓のリングを。

フィーネさんが、看破を走らせて息を...呑んだ。


「……レイ君。これ……本当に全員スキルが2つとも底上げされてます……あなた、本当に...」

「あ...バルトさんは手を出してください」

「……あん? 俺はアクセ枠死んでるだろ?」

「はい。だからこうやって...っと」


パァァッ


「はい終わりました。これでバルトさんの盾騎士の指輪に剛力+2を合成出来ました」

「へぇ?!」


フィーネさんが、ステータスを確認しバルトさんに頷いた。


「……まじかよ...呪いの指輪が活きたぞ!? ようやく俺もやっとレイの恩恵に預かれたぜ!!!」


豪快に笑うバルトさんとフィーネさんがみんなのステータスを看破して呆れたように俺を見た。


「……レイ君。この力、世界がひっくり返りますよ」

「あはは……俺も大分わかってきました..常識外れって....だから、皆さん以外には見せませんよ」


そして、俺は──自分のぶんも作っていた。

魔力増大と、詠唱短縮さらに集中力向上とコンセントレーション。どれも、Eランクの地味なスキルだけど...出来ることは全てやる。

やらずに後悔するよりかはやって後悔したほうがあとあと笑い話に出来る。

俺は仲間たちのために力を出し切る!!


「……準備は整いました。明日絶対!勝ちましょう。ティアさんの笑顔を取り戻すために」


そして決戦の当日。

ルールは、単純だった。二十五階の、フロアボスをどちらが早く倒すか。

両パーティが、別々に二十五階を目指して潜る。

ギルドの立会人がそれぞれに同行する。

セイたちは、二十四階を狩場にしているから二十四階から開始だ。しかし俺達は二十二階から...この時点ではビハインドがあるが、俺達は負けるつもりは....ない!!!

──二十二階


「レイ君、正面に鬼面オーガ! 三体!」

「はい!」


俺は、地面を蹴った。


「──ファイアボール、ファイアボール!」


火球で、動きを止めて。鬼哭刀で断つ。バルトさんが、壁になりミレイさんが焼き払う。フィーネさんの矢が急所を貫く。


二十三階...二十四階...


今の俺たちに合成の力が加わった今。深層の魔物はもう俺たちを止められなかった。

俺たちは、猛烈な速さで階層を駆け下りていった。


二十五階。

フロアボスの、部屋の扉を開けた瞬間。

俺たちは、その光景に息を呑んだ。

真っ赤な...血だまり。倒れ伏す人影...そして──


「ガアアアアッ!!」


黒い巨龍.......ブラックドラゴンだ。

その巨躯の前で、セイのパーティが壊滅していた。

ガロさんが倒れている。その右腕が──肩から引きちぎられて。

ザイドさんも血まみれで伏している。セイも、足をあらぬ方向に折ってうめいていた。

そして聖者と大魔導士の女性たちは顔が青く明らかに魔力切れを起こしていた。

そう....先着したセイたちは、ブラックドラゴンに返り討ちに遭っていたのだ。


「くそぉ...なんでこんなことに.....」


セイがうつろな目でぶつぶつ呟きギルドの立会人は必死にガロさんの止血を行っていたが周りが見えていない!?そこにブラックドラゴンが攻撃をおこなう寸前だった。


「...!?...まずいっ──ティアさんは負傷者の回復を! バルトさんは、ブラックドラゴンを引きつけて!」


その瞬間。

フィーネさんの号令が飛んだ。

一瞬で状況を把握し、迷いなく下された指示。

そこに、勝負がどうとか相手が敵だとかそんな、迷いは微塵もなかった。


「はい!」


ティアさんが、駆け出す。

倒れたセイたちのもとへ。


「おうよ!」


バルトさんが、鬼哭大盾を構えブラックドラゴンの前に立ちはだかった。



「挑発!──城塞!!──シールドチャージ!!!」


バルトさんが大盾ごとブラックドラゴンに突っ込む。城塞を纏いヘイトを一身に集め大楯でブラックドラゴンを吹き飛ばす。


「こっちだ、トカゲ野郎! 相手は俺だぁ!」


ブラックドラゴンの憎悪がバルトさんへ向いた。

その隙に、ティアさんが倒れたガロさんの傍らに膝をついた。

引きちぎられた、右腕...

普通なら──もう...戻らない。

しかし....


「──エクストラヒール」


ティアさんの手からまばゆい聖なる光が溢れた。

その光が、ガロさんの失われた右腕を包み込む。

裂けた肉が盛り上がり断たれた骨が繋がり失われたはずの右腕が──元通りに再生していく。


「……なっ……」


セイが目を剥いた。


「腕が……戻っただと?!……欠損の....完全治癒だと......! そんなもの、聖者でも限られた者しか……!」


ティアさんは答えない。ただ、淡々とザイドさんの傷をセイの足を癒していく。自分を、捨てた男の傷まで一切の迷いもなく。

やがて、セイたちの傷は、跡形もなく消えた。


「……ティア」


命を拾ったセイが、呆然とティアさんを見上げる。

その目に、じわりと欲が混じっていた。


「お前、そんな力を……なあ、やはり、お前はいい──」


セイが、手を伸ばす。

だが、ティアさんはその手を見向きもしなかった。

くるりと背を向けて。


「……回復は、終わりました。わたしは、仲間のところへ戻ります」


冷たく、言い捨てて...ティアさんは、俺たちのもとへ走り出した。

その背中は、もう、二度と振り返らなかった。


「ティアさん、こっちです!」


俺は、ティアさんを迎えながらブラックドラゴンに向き直った。


「バルトさんが、抑えてる間に!! 行きます!」


俺は、地面を蹴った。

バルトさんが、正面でブラックドラゴンを釘付けにしてくれている。その横合いから俺が、飛び込む。

俺は、ブラックドラゴンの懐を駆け抜けた。

鬼哭刀が、黒い鱗の隙間を斬り裂く。


ザシュウゥッ!!


ブラックドラゴンが身をよじる。

だが、俺は、もうそこにいない。反対側へ回り込んでまたブラックドラゴンを斬る。


ザシュ!ズバッ!!


前へ...後ろへ...そして左右へ...

ブラックドラゴンの、巨大な体の周りを俺は縦横無尽に駆け回った。

バルトさんが引き付けている間にその正面以外のあらゆる隙間を突いて。


「──な、なんだ、あの動きは!?」


セイの、声が裏返った。


「あの、ちょろちょろした男……! さっきの、下級職じゃないのか!? なぜだ!!!なぜ!?あんな……ブラックドラゴンの攻撃を掠りもせず……あんな動き、この俺でもできんぞ!?」


その後ろで、ガロさんと、ザイドさんが。

呆然と俺を見ていた。

「……ハハッやっぱりレイはとんでもねぇなぁ」

「……成長なんてものじゃない。……あいつは、もう俺たちのはるか先に……」


驚愕する、彼らをよそに。


ヒュォッ!!


俺の、後ろから矢が飛んでくる。

フィーネさんだ。

俺が揺さぶって生まれた隙をフィーネさんの矢が的確に撃ち抜いていく。

俺が掻き回し...フィーネさんが射抜く。

前でも、後ろでもない...その隙間を動き回る。それが、俺の戦い方だ。


「──レイ! そのまま、ブラックドラゴンを引きつけてなさい!」


後方から、ミレイさんの声がした。

見ると、ミレイさんが杖を掲げ長い...長い詠唱を始めていた。膨大な魔力が、渦を巻いている。


「あれは……まさか」


セイの、パーティの大魔術師の女──リーゼが...青ざめた。

「あの詠唱……極大魔法!? ちょっと、待って……! あんな場所で、撃ったら……!」


ミレイさんの、魔力が天を突いた。


「……喰らいなさい。あたしの、最大の一撃を!!!──メテオ!」


空間が割れた。

轟音とともに、燃え盛る巨大な隕石がブラックドラゴンをめがけて──いや、龍のいる、その一帯めがけて、落ちてくる。

バルトさんも、俺もその直撃範囲のど真ん中にいる。


「うそでしょ!?」


リーゼが、悲鳴を上げた。

「味方ごと!? あんな場所で撃ったら、前衛も、巻き込むわよ!? あの女...正気なの!?」


──でも。

俺たちは、慌てなかった。


「レイ!」

「はい!」


俺は、落ちてくる隕石の軌道を読み切って。その僅かな隙間を縫うようにブラックドラゴンの攻撃を避けながら、斬撃を加え続けた。味方の極大魔法の直撃範囲の中で掠りもせずに。

そして、バルトさんは。


ドゴォォォォォンッ!!!


隕石が、ブラックドラゴンを直撃した。

そして、その余波がバルトさんをも、呑み込む。


「……っ、いってぇなぁ、オイ!」


バルトさんは、城塞でそれを、受け切っていた。かすり傷ひとつ負っていない。


「ティア、頼むわ!」

「はい! ──ヒールッ!」


すかさず、ティアさんの光がバルトさんの僅かな傷を癒す。


味方ごと、極大魔法を撃つ。

それを、平然と受け切る前衛。

掠らずに動く遊撃。

即座に、回復する聖者。

すべてが、噛み合って初めてできる芸当。

俺たちには、当たり前のことだった。


「…な...なんなの…あれ…」


リーゼが、へたり込んだ。自分たちには、絶対にできないその光景に。

隕石に、砕かれ...灼かれ...それでもブラックドラゴンはまだ倒れなかった。さすがは、龍種。

でも────


「──とどめは、任せてください」


フィーネさんが、弓を構えた。

合成リングの力で頂へと至ったその弓のスキル。鬼哭弓に番えた矢に、まばゆい光の粒子が収束していく。


「なっ...あれは、フォトンレイ......! 弓聖の最終奥義……!!」


絶句するセイたちの前で。

フィーネさんの綺麗な目が、まっすぐ、ブラックドラゴンを射抜いた。


「……散りなさい」


つがえた光の矢が放たれた。


ヒュンッ──────ドォォォォンッ!!!


光の奔流が、ブラックドラゴンの脳天を貫いた。

隕石で砕かれ、光で貫かれたブラックドラゴンは──

ぐらり、と、傾いて。

地響きを立てて崩れ落ち、光の粒になって...やがて消えていった。


しん、と。部屋が、静まり返る。


「……やった」


ミレイさんが呟いた。


「やったわ……あたしたちの勝ちよ……!」

俺たちは勝った。

セイたちが五人がかりで返り討ちに遭った相手を俺たちは討ち取った。

立会人のギルド職員が震える手で記録を取っている。

そして──扉の脇で。

命を拾い、傷を癒されたセイが。

信じられないものを見る目で俺たちを見つめていた。


「……ばかな……あの程度のパーティが…!?…こんな...化け物じみた連携で……ブラックドラゴンを……」


その、呆然とした呟きは。

もう、誰の耳にも届いていなかった。



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