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チートでもらった【アクセサリ制作】はおまけでした。本命は装備枠無制限だけど、カードに載らないし関係ないよね?   作者: めざし


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第二十五話 足りない力と足りない経験。

それから、俺たちの日々は、二十階を中心に回りはじめた。

朝、ダンジョンに潜る。二十階の階層主部屋で鬼面オーガを倒す。地上に戻る。

素材を売って、装備を整えてまた潜る。


倒しても、鬼面オーガは、すぐには現れない。

次にあの巨躯が部屋に満ちるまで、しばらく間が空くので俺たちは、その合間に二十階までの魔物を狩りながら、じっくりと経験を積み上げていった。

地道な繰り返し。

でも、それを誰も嫌がらなかった。

そしてしばらくすると...


「今日の鬼面、手応えなかったわね」


ある日、ミレイさんが拍子抜けしたように言った。

最初は、あれほど苦戦した相手でバルトさんが城塞で必死に耐えて全員がかりでようやく倒せた。

それが今では...


「バルトが受けてる間に、あたしの魔法で半分削れちゃうんだもの。……あたしたち、強くなったのね!」


ミレイさんの魔法は、確かに桁違いに重くなっていた。魔法耐性が高い鬼面オーガの分厚い皮を、まるで紙みたいに焼き抜いていく。

バルトさんの城塞も危なげない。

鬼面オーガの一撃を微動だにせず受け止める。最近では押し込まれることすら、なくなっていた。

そして──


季節が、巡った。

気づけば、半年以上が過ぎていた。

その間に、俺たちは確かに変わった。


「フィーネさん、レベル、いくつになりました?」


ある日、俺が聞くと、フィーネさんは、自分のカードを見て少し驚いたように笑った。


「……七十....ですね。いつの間にか」


弓聖のフィーネさんは、もともと俺たちの中で一番レベルが高かった。それが、さらに伸びて、Aランクの上のほうまで来ていた。

ミレイさん、バルトさん、ティアさんも、みんな六十を越えた。上位職の力が、レベルとともにどんどん研ぎ澄まされていく。

そして、俺は──


「……俺、六十になってました」


カードを見て、俺は、思わず呟いた。

レベル六十。

冒険者職の俺が。

「……レイ君。それ」

フィーネさんが、俺のカードを覗き込んで、目を丸くした。


「もう人にはみせれないですね...私の知る限りでは受付をやっていた時代にリンドールに訪れたSランク冒険者のステータスに近いですね...」


Sランク。


「レイ君。……たぶん、あなたはいつか私達の誰よりも強くなります」

「え?」

「あなたの特典スキルはつよすぎます。だから私たち以外には絶対に秘密ですよ?」


フィーネさんが人差し指をたて俺にそういった。

俺は、自分のカードをもう一度見た。

名前の横に、Aの文字。職業の欄には、変わらず「冒険者」そして、スキルの欄には──いつも通りの、Fが二つ。

外れ職の外れスキル持ち。

なのに、ステータスが高い....


「……ふふっ」


ミレイさんが、俺のカードを覗いて、噴き出した。


「なにそれ、ほんとわけわかんないわね!魔力なんかあたしとほとんど同じじゃない!……あんた、ほんっとに、わけわかんない男ね」

「あはは……」

「まぁレイはレイだからな!気にすんな!!」


ミレイさんにからかわれバルトさんがフォローしてくれる。不思議と悪い気はしなかった。誰も歩いたことのない道を俺は俺なりのやり方で歩いていく。なんだか、少しだけ誇らしかった。


強くなったのは、レベルだけじゃない。

この半年で、俺は、アクセサリをとにかく作りまくった。

製造が解禁されてから、俺の手には、無限の工房があるようなものだった。素材さえボックスにあれば、いつでも、どこでも、アクセを生み出せる。狩りで貯めた素材で自作し、白金級の稼ぎで、市場の掘り出し物も買い漁った。

力の腕輪。敏捷の指輪。頑丈の首飾り。技量の耳飾り。

ひとつひとつは、地味な、+数個の代物。

でも、それを、ボックスに放り込むたびに、俺の数字は、静かに膨れ上がっていく。

気づけば、俺のアクセの数は、それくらいまで、増えていた。


「……レイ。あんた、また買い込んでるの?」


装備屋で、ミレイさんが、呆れたように言った。


「はい。安いのをまとめて」

「そのステータス、もう意味わかんないわよ。……あんた一人で、軍隊でも作る気?」


俺は、笑ってごまかした。

装備枠無制限。この仕組みを知っているのは、仲間だけだ。だから、外では、絶対に見せない。ミレイさんに、きつく言われた通りに。


そして──もうひとつ。


俺は、この半年で、ずっと手をつけられずにいた"穴"を、埋めはじめていた。


「……よし。これで、少しはマシになったかな」


夜、ホームの自室で、俺は、新しく作ったアクセを、ボックスに収めた。

魔力の指輪。MPの護符。魔法に関わる数字を、底上げするアクセ。

俺の魔力は、ずっと、平民並みの穴だった....属性魔法のスキルリングを積んでも魔法がつかえてもそもそもの魔力が低いから、ちいさな火の玉ひとつまともに撃てなかった。

でも、製造で魔力アクセを作れるようになった今なら.....

まだ、途中だけどミレイさんみたいな大魔導士の火力には遠く及ばなくても...でも──いつか。この穴を、完全に埋めきったとき。

魔力を乗せればどうなるか...

(……楽しみだな)

俺は、そっと笑った。


そして、この半年で増えたものがもうひとつ。

鬼面オーガが、ときおり落とすあの黒い装備。


「──また、出たわよ! 鬼哭シリーズ!」


ある日の周回。宝箱を開けたミレイさんが声を上げた。

鬼哭装備...フィーネさんの鬼哭弓と、同じ銘を持つ、鬼面オーガの装備群。そう簡単には、落ちない。何度も何度も鬼面オーガを倒して、たまに手に入る貴重なものだった。

だからこそ、この半年の周回で少しずつ集まったそれらは、俺たちの、確かな財産になっていた。


「これで、全員分装備もだいぶ揃ったわね」


ミレイさんが、集まった鬼哭シリーズを見て満足げに頷いた。

レベルが上がり、装備が揃い俺のアクセが増え。

俺たちは、半年前とはまるで別のパーティになっていた。


その日の鬼面オーガ戦。

いつものように、俺たちは階層主部屋に踏み込んだ。


グオオオオッ!


咆哮。半年前は、この一声で、部屋の空気が凍りついた。

でも、今は。


「はいはい、うるさいわね」


ミレイさんが、面倒くさそうに杖を振った。


「──フレイムストーム!」


アガァァァァァァァァァッ!!!


炎の嵐が、鬼面オーガを丸ごと呑み込む。たった一撃で、あの巨躯の半分が焼け爛れた。

バルトさんは、城塞すら使わなかった。普通に盾で受けて平然と押し返す。

俺は、鬼哭刀で鬼面オーガの脚を的確に断つ。

そして、フィーネさんの一射が、あっさりと、とどめを刺した。


──ものの、数分。


半年前、死力を尽くしてようやく倒したあの鬼面オーガを俺たちは今汗ひとつかかずに片付けていた。

しん、と、静まった部屋で。

ミレイさんが、ぽつりと言った。


「……あたしたち、ほんとに、強くなったのね」


その声に、感慨が滲んでいた。

十階の壁を、越えられなかった、あの頃。二十階の鬼面オーガに、手も足も出なかった、あの頃。

そこから、ここまで。


「……そろそろ、いいんじゃないか?」


バルトさんが、盾を担いで、みんなを見回した。


「鬼面オーガ、こんだけ楽に倒せりゃ、深層でも──今度は、やれるだろ」


その言葉に、みんなが、顔を見合わせた。

そして、フィーネさんが、静かに、頷いた。


「……ええ。もう、大丈夫だと思います。……準備は、整いました」


半年のレベリング。

それは、後退じゃなかった。前に進むための必要な時間だった。


「行きましょう」


フィーネさんが、深層へ続く階段のその先を見つめた。


「今度こそ──奈落回廊の、深層へ」


俺たちは、頷き合った。

かつて、俺たちを追い返した、あの未踏の場所へ。

もう一度!今度は、負けない!!


そう決意して俺達は深層へと向かっていった。






半年の研鑽を経た、銀の羽根の五枚。


   【冒険者カード】

   名前:レイ    ランク:A

   レベル:60    職業:冒険者

   所属:銀の羽根

  ──────────────

   HP 1128(+624)

   MP 400(+270)

   力  477(+336+15)

   頑丈 282(+156)

   敏捷 605(+479)

   技量 617(+476+15)

   魔力 400(+270)

  ──────────────

   スキル:アイテムボックス/アクセサリ製造

       属性魔法E/剛力E/治癒E/鷹の目E

   装備:ウィンドソード(敏捷+3)/鬼哭刀(力+15/技量+15)

      【破鬼】鬼系・物理装甲の敵にダメージ増

  ※力・技量の末尾(+15)は鬼哭刀分。ウィンドソードとボックスで同時装備。他はボックス内アクセの合算


   【冒険者カード】

   名前:ミレイ   ランク:A

   レベル:62    職業:大魔導士

   所属:銀の羽根

  ──────────────

   HP 382

   MP 673+135

   力  76

   頑丈 96

   敏捷 72

   技量 108

   魔力 404+20

  ──────────────

   スキル:属性魔法S/魔力増大A

   装備:属性魔法リング/鬼哭杖(魔力+20/MP+15%)

      【詠唱短縮】上位魔法の発動時間が短くなる


   【冒険者カード】

   名前:バルト   ランク:A

   レベル:62    職業:盾騎士

   所属:銀の羽根

  ──────────────

   HP 1580+316

   MP  64

   力  260

   頑丈 370+20

   敏捷 115

   技量 133

   魔力 45

  ──────────────

   スキル:剛力B/城塞

   装備:盾騎士の指輪(呪)/鬼哭大盾(頑丈+20/HP+15%)

      【不動】ノックバック無効


   【冒険者カード】

   名前:ティア   ランク:A

   レベル:62    職業:聖者

   所属:銀の羽根

  ──────────────

   HP  720

   MP  680

   力  94

   頑丈 152

   敏捷 114

   技量 184+15

   魔力 388+15

  ──────────────

   スキル:治癒S/付与魔法B

   装備:治癒のリング/鬼哭錫杖(魔力+15/技量+15)

      【広域治癒】回復が単体→範囲に広がる


   【冒険者カード】

   名前:フィーネ  ランク:A

   レベル:70    職業:弓聖

   所属:銀の羽根

  ──────────────

   HP  604

   MP  227

   力  162

   頑丈 159

   敏捷 403+10

   技量 446+15

   魔力 174

  ──────────────

   スキル:鷹の目SS+/剛弓A/看破

   装備:鷹の目のイヤリング/鬼哭弓(技量+15/敏捷+10)

      【魔矢生成】MP消費で属性の魔力矢を射出




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