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チートでもらった【アクセサリ制作】はおまけでした。本命は装備枠無制限だけど、カードに載らないし関係ないよね?   作者: めざし


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第二十二話 スキルリングの秘密

バルトさんが、盾騎士になった。


その報せだけで、銀の羽根の空気はすっかり明るくなっていた。

あの夜、男四人でシルバーバードに挑んで盾だけで殴り倒すという無謀な冒険をへて、バルトさんはとうとう上位職への道を開いた。最終的には呪いの指輪というオチはついたけれど、それでもバルトさんの顔には笑みが浮かんでいた。


「というわけで、今日はカードの更新だ」


ギルドの一室で、いつもになく上機嫌のバルトさんが声を張った。

上位職になれたことで職業欄が書き換わる。レベルも能力値もこの機会に一度きちんと確かめておく。対鬼面オーガ戦に向け全員のステータスを確認しておこうというのだ。


「だったら、わたしも見てもらおうかしら」


錫杖を肩に預けたティアさんが、おっとりと笑う。


「わたしも聖者になれてから、まだ更新してませんものね」

「じゃぁ、あたしも大魔導士になったこと、ちゃんと刻んでおかないと」


ミレイさんが、腕を組んで得意げに言った。

順番に、俺たちはカードを更新してもらった。


「はい、レイ君。これで終わりだよ」


フィーネさんが、俺のぶんを受け取ってこちらに渡してくれた。

俺は、自分のカードをまじまじと眺める。

アクセサリを買い足したのでステータスが馬鹿みたいに上がっている。ランクもBになり、数字の上ではあのガロさんも越えてきた。

でも、俺は冒険者であり、銀の羽根のメンバーとは違い上位職がない。


そう、ステータスは高くても今一歩ぱっとしないのだ。


装備枠無制限……このスキルが今の俺を支えているといっても過言ではない。

(……ほんと、変な話だよな)

自分のカードを眺めて、俺は小さく苦笑した。

ステータスカードを隅々まで見ていると、スキル欄の「アクセサリ製造」の文字に、ふと目が留まる。

(……あれ)

製造不可って文字が、きえてる……?

このスキルは、ずっと使えなかったはずだ。神様がくれた、もうひとつのスキル。いままでは何を作ろうとしても、うんともすんとも言わなかった。飾りみたいなものだと半ば忘れかけていた。

なのに今、作れるという実感がある。


試しに、意識を集めてみる。そうすると頭の中に必要な材料が浮かんでくる……幸いアイテムボックスの中に素材がそろっていたので、実行、と小声でつぶやくと、指先がぼうっと淡く光った。

光が収まると手のひらに、見覚えのない指輪が、ひとつ生まれていた。


「……あれ?」


思わず声が漏れた。


「どうしたの、レイ」


ミレイさんが、覗き込んでくる。


「いえ、あの……アクセサリ製造、使えるようになってるみたいで」


俺がそう言うと、一室の空気がぴたりと止まった。


「……は?」

「え、レイさん、それって……」


みんなの視線が、俺の手のひらの指輪に集まる。

大げさな音も、天から降ってくる声もなにもなかった。ただ、しれっと、まるで最初からそこにあったかのように、それはそこにあった。

理由はわからないが、いきなり使えるようになっていた。

鑑定でその指輪を覗いて、俺は思わず口元をゆるめた。

──敏捷+3

はじめて作ったその指輪には、確かにそう書かれていた。


「アクセサリ製造って、なにが作れるの?」


ミレイさんが、身を乗り出してきた。


「えっと……ちょっと待ってください」


俺は、頭の中に浮かぶ一覧を言葉にしてみる。


「ステータスアップ系が+3まで、あと……んー? あっ! スキルリングも作れるみたいですね」

「はぁっ!? スキルリング!?」


バルトさんが、素っ頓狂な声をあげた。


「ちょ……ちょっとまちなさい。レイ、ここでは詳しくは聞かないから、ちょっとホームまで戻りましょう」


ミレイさんとバルトさんが明らかにうろたえながら横を見ると、ティアさんとフィーネさんが少し青い顔をして天を仰いでいた。

パーティーホームへの道中で、俺はみんなにたずねた。


「えっと……アクセサリ製造って、みんなにばれるとおかしいんですか?」

「あーっと……あれだな、レイのはちょっとまずい」

「……?」

「あんた……自分がとんでもないってこと、自覚してないみたいね……」

「ええっとですね、レイ君。普通の製造系スキルって、実際に材料を集めて、製作の補助みたいな感じで専用の設備で作るんですよ」

「え? でも俺のスキル、その場で出来ちゃいましたけど??」

「レイさん、それがまず、ひとつ目のとんでもないことです。念のために確認しますけど、先ほど作られた指輪は、材料を使いましたか?」

「あ……はい。アイテムボックスの中にある材料で作ってみました」

そういって俺があっさり言うと、ミレイさんが目をつり上げて。

「もう! もうじきホームだから、そこで詳しく聞くわよ!!!」


そんなやり取りをしながら、ホームのリビングで全員でテーブルを囲み、俺のスキルについて詳しく確認しようと話し合いが始まった。

そして、ミレイさんが開口一番に俺に確認し始めた。


「まずレイ。あんたのそのスキルに関して、基本的な性能をあたしたちに説明しなさい」

「わかりました。まずですね、さっき言った通り、ステータスアップ系は+3まで。スキルアップ系は+2ランクアップまで作成できるみたいです」

「なるほどな。それだけでも、ぶっ壊れスキルだな」

「そしてですね。作成には材料を使いますが、アイテムボックスに入っていれば大丈夫みたいです。素材がなければ、作成リストにあるアクセサリは作れないみたいです」


そうやって説明すると、全員が「「「はぁー」」」とため息をつきながら、俺に注意をしてきた。


「まずレイ、あんたそれが普通だと思ってるだろうけど、製作系スキルは専用の工房で、材料を実際に使って製造補助ができるって寸法なのよ」

「えっ? でも俺の場合、頭の中で作るって思ったらできましたよ?」

「あーっ! フィーネ、後お願い……」

「……はい……」


ミレイさんが頭を押さえ、フィーネさんに説明を引き継いだ。


「レイ君……あのね、ミレイさんもさっき言った通り、製造系スキルは自分の手で作るのが前提なの。それで一般的には、ステータスアップ系の装備品しか作れなくて……レイ君みたいに、スキルリングって作れないの」

「えっ?!?!」

「製造系で確認されているSランクの人でも、+3のステータスアップ系装備が作れるだけで……」

「じゃ……じゃあスキルアップリングって……」

「そうです。金級以上のパーティーが高いお金を払って購入したり、ダンジョンから入手するしか方法がないんです。それも欲しいものが手に入るかどうかもわからないから、パーティー内でもめごとになる場合もあるんですよ……」


しん、と、テーブルが静まり返った。

俺は、まだいまいちピンときていなかった。

スキルリングが貴重なのは、知っている。市場でめったに出回らないのも、値が張るのも。でも、それが「作れてしまう」ことが、どれだけおかしいのか──たぶん、俺は本当の意味では、わかっていなかった。

ただ、頭の片隅で、あの声がよみがえる。

(値打ちは、自分で気づく、か)

いつだったか、神様がやたら楽しそうに言ってたなぁと思い出しながら考え込んだ。

あのときは、全く意味がわからなかったけど今になって少しだけわかった気がする。


「……まあ、とにかく」

「レイのスキルは、外じゃ絶対に見せちゃだめ。それだけは、覚えておきなさい」

「は、はい」


そこまで言って、ミレイさんは、ふと何かに気づいたように顔を上げた。


「…そういえば…ね...ねえ?それって、あたしたちのスキルも強くできるってこと?」

「あ、はい。素材があればスキルリングは作れますね」


俺はそうやって頷いて頭の中の作成リストを、もう一度たどってみる。

「材料は……拾ったドロップ品とか使ってもいいですか?」

「もちろんいいわよ。ねぇみんな?」


そう、ボックスの中には銀の羽で拾ったり素材を回収したものがあった。

クエストや討伐証明以外の素材はいつか使うかも?と考え置いておいたのだが今になってみんなのための材料に変わる。


「それだったら今ある素材で結構作れますね」

「じゃあ、決まりね」


ミレイさんが、ぱんと手を打った。


「みんなのぶん、レイに作ってもらうわよ!それを着けて...あの鬼面オーガに挑戦よ!!」


その声に、みんなが顔を見合わせて、頷いた。


さっそく、俺は一人ずつ、スキルリングを作っていった。

まずは、ミレイさん。


「あたしは属性魔法のスキルリングをお願い」


ミレイさんは、そう言って、自分の指から魔力増大の指輪を外した。


俺は、頷いてボックスから素材を選び属性魔法のスキルリングを作成しそれを受け取って、ミレイさんが指に嵌めフィーネさんが看破で確認すると属性魔法のスキルがSまで跳ね上がった。


「……ふふ。いい感じじゃない」


指先を、うれしそうに見つめながらツンとした顔がほんの少しだけゆるんでいた。外した魔力増大の指輪は、大事そうにポーチへしまっていた。


次は、ティアさん。


「わたしは、治癒でお願いします」

「わかりました」


ティアさんの治癒が、BからSになる。回復の要がさらに厚くなった。


「これで、どんな状況でもみなさんをささえられますね」

「Sランクの治癒術が使える聖者なんてそうそういないわよ!」

「そうですね。ところでティアさん...何故...薬指に付けてるのでしょう.....?」

「ふふっ。レイさんから頂いた指輪ですからこの指に嵌めるのが礼儀かと」

「えっ?そうなの??あたしも付けなおさないといけない??」

「おいミレイ、ややこしくなるから話に混ざるな....あとレイどうにかしろ...」

「あ...あはは...」


最近フィーネさんとティアさんがことあるごとにもめるんだけどどうしたんだろう?

俺も気を付けて、二人の仲を取り持つようにしなきゃ...

そう頭で考えていた時フィーネさんの順番がやってきた。


「それではレイ君、わたしは鷹の目をお願いしますね」

「わかりました」


そう言いながらリングを作るとフィーネさんが何故か俺に左手を差し出してくる。


「レイ君お願いします。付けてもらえますか?」

「?...別にいいですよ??」

「なっ!!それは反則では?!?!」


よくわからないが、フィーネさんに指輪をはめるとフィーネさんの顔が真っ赤になり俺に上目遣いで目線をあわせてくる表情をみていると顔が熱くなりドキドキした。

何故かティアさんがぶつぶつ言っていたが俺はそれどころではなかった。

そしてフィーネさんの鷹の目が、Sから──SSの、さらに上へ。


「……うん。よく、見える。ありがとうございますレイ君」


フィーネさんが、赤い顔のまま目を細めて静かに笑った。

最後に、バルトさんの番になった。


「よっしゃぁ!きたきた!!! 俺にも作ってくれレイ!!!! 」


バルトさんが、意気込んで手を差し出す。

俺は、剛力のスキルリングを作った。

作ったのはいい。

しかし、そこで俺の手が止まった。


「…あ…あの、バルトさん」

「ん? どうした」

「バルトさん…盾騎士の指輪って外せるんですか....?」

「…………あ」


しん、と、バルトさんの動きが止まった。

そうだった...バルトさんのアクセサリ枠には、あの呪いの指輪が嵌まっている。効果+0の、外せない呪いの指輪。あれがある限り、バルトさんは他のアクセサリを、ひとつも装備できない。

その為スキルリングも当然着けられない。


「…な…なんでだよ」


バルトさんが、がっくりと肩を落とした。


「なんで俺だけ、装備できねえんだよ! せっかく上位職になれたってのによぉ!」

「ぷっ……」


ミレイさんが、噴き出した。


「災難ねえ?盾騎士どの。呪い指輪付きの上位職なんて」

「笑うな! ちっくしょう!!!ミレイ! 笑うんじゃねえ!」


真っ赤になって吠えるバルトさんを、みんなが笑う。

あたたかい笑いだった。

バルトさんも口では怒りながらもその顔はどこか嬉しそうだった。

 

一通り作り終えて、俺は自分の手のひらを見た。

ミレイさんに渡した属性魔法。

ティアさんの治癒。

フィーネさんの鷹の目。

バルトさんの剛力。

同じスキルリングを、俺は自分のぶんも作っていた。

みんなと違って、俺には枠の上限がない。だから、四つとも全部装備できた。


指に嵌めるまでもない。ボックスに放り込んだ瞬間、それは「装備中」になる。

ヒュンッ、と手の中から四つの指輪が消えて。

鑑定するとスキル欄に、静かに文字が増えた。

(属性魔法……剛力……治癒……鷹の目)

どれも、Eどまり。


俺が持っていなかったスキルだから、スキルランクE相当で頭打ちになる。

ミレイさんの本職の属性魔法にも

ティアさんの治癒にも

まるで届かない。

器用貧乏の寄せ集めだ....

俺は思う。質じゃ、みんなに勝てない。でも、俺には積み上げたステータスがある。

そこに冒険者ではなかったいろいろな攻撃スキルや防御スキルなどが使用できるようになった。前でも後ろでもないその隙間を動き回るのが俺の戦い方だ。


「……よし」


俺は顔を上げた。

大魔導士のミレイさん。

聖者のティアさん。

弓聖のフィーネさん。

盾騎士のバルトさん。

そして、器用貧乏な冒険者の俺。

全員準備は整った。


「さぁ!行きましょう」


俺がそう言うと、四人が、頷いた。

あの鬼面オーガが待つ二十階層のボス部屋へ。


「準備できたわねっ!鬼面オーガを倒して白金級になるわよっ!!」

「「「おおぉーっ」」」


──更新を終えた、銀の羽根の五枚。

  

 【冒険者カード】

   名前:レイ    ランク:B

   レベル:48    職業:冒険者

   所属:銀の羽根

  ──────────────

   HP  720(+312)

   MP  180(+74)

   力  270(+168)

   頑丈 180(+78)

   敏捷 343(+238+3)

   技量 340(+238)

   魔力 180(+74)

  ──────────────

   スキル:アイテムボックス/アクセサリ製造

       属性魔法E/剛力E/治癒E/鷹の目E

   装備:ウィンドソード(敏捷+3)

  ※敏捷の(+3)はウィンドソード分。他はすべてボックス内アクセの合算

  

 【冒険者カード】

   名前:ミレイ   ランク:B

   レベル:50    職業:大魔導士

   所属:銀の羽根

  ──────────────

   HP  310

   MP  505

   力  64

   頑丈 72

   敏捷 54

   技量 84

   魔力 320

  ──────────────

   スキル:属性魔法S/魔力増大A

   装備:属性魔法リング

   

【冒険者カード】

   名前:バルト   ランク:B

   レベル:52    職業:盾騎士

   所属:銀の羽根

  ──────────────

   HP  1280

   MP  54

   力  220

   頑丈 310

   敏捷 95

   技量 108

   魔力 40

  ──────────────

   スキル:剛力B/城塞

   装備:盾騎士の指輪(呪)

  

 【冒険者カード】

   名前:ティア   ランク:B

   レベル:54    職業:聖者

   所属:銀の羽根

  ──────────────

   HP  640

   MP  576

   力  82

   頑丈 128

   敏捷 98

   技量 160

   魔力 340

  ──────────────

   スキル:治癒S/付与魔法B

 

  【冒険者カード】

   名前:フィーネ  ランク:A

   レベル:62    職業:弓聖

   所属:銀の羽根

  ──────────────

   HP  540

   MP  195

   力  138

   頑丈 135

   敏捷 355

   技量 398

   魔力 150

  ──────────────

   スキル:鷹の目SS+/剛弓A/看破



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