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チートでもらった【アクセサリ制作】はおまけでした。本命は装備枠無制限だけど、カードに載らないし関係ないよね?   作者: めざし


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第十八話 付きものが、落ちる

「レイ! 今のうちに、態勢を、立て直せ! ……こいつらは、俺が、食い止める!!」


ガロさんが、大群のに立ち向かい大剣を振るう。

たった一人で押し寄せる魔物の津波をその身で堰き止めながら。

俺は、我に返った。

そうだ、今はティアさんの回復が先だ!俺は、倒れたティアさんのもとへ駆け寄った。

ボックスから上級回復ポーションを取り出す。


「ティアさん! これを飲んでください!」

「……ぅ、レイ...さん……わたし...は...いいから……ミレ...イちゃんを……」

「喋らないで! 飲んでください!」


ポーションを無理やり流し込むと傷がみるみる塞がっていく。

深手だったがなんとか間に合った。

ティアさんの、顔に血の気が戻る。


「ティア……! よかった、ティア……!」


ミレイさんが、涙目でティアさんにすがりつく。だが、感傷に浸っている暇はなかった。


「フィーネさん! 態勢を!」

「はい! ……皆さん、聞いてください!」


ティアさんが、動けるようになったことでフィーネさんの指揮が蘇る。

「バルトさんは正面。ティアさんは回復に専念。そして...ミレイさん! あなたの、魔法で、この大群を一掃します! 詠唱の時間は私たちが稼ぎます!!!」

「わ、わかったわ!任せなさい!!!」


ミレイさんがいつもの調子を取り戻した。これで大丈夫だ。

ミレイさんが詠唱に入る。

最大範囲の殲滅魔法。これが、決まれば大群を一気に片付けられる...だが。


「……フィーネさん待ってください!大群の中心には...ガロさんが!」


そう。大群の真ん中で俺達を助けるためにガロさんが戦っている。

魔法を撃てば...巻き込んでしまう。

その時魔物の群れの中心あたりから声が響いた...


「俺にかまうな!!!チャンスがあったら 撃てぇっ!!」


ガロさんの、声が、飛んできた。


「自分たちが生き延びることだけを考えろ!!!レイ!おまえが守るべきはなんだ!!」

「そんなの……!」


俺は言葉に詰まる...このままミレイさんが大魔法を撃てばガロさん以外は助かる...


そう...『ガロさん』以外がだ。


後ろを見るとミレイさんの詠唱が乱れている。撃てば、ガロさんを巻き込む。

撃たなければ大群が押し寄せる。魔法待機したまま、ミレイさんは...撃てずにいた。


だめだ。このままじゃ。

このまま撃てば命は助かるが何か大切なものをなくしてしまう。

俺はウィンドソードを強く握りしめると覚悟がきまった。


「俺が、ガロさんを連れ戻します! それまでミレイさん待ってください!」

「まかせていいの?」

「はいっ!」

「レイ君!? だめです一人であの大群に突っ込むなんて許可できません!!!」

「フィーネさんあなたの援護があればいけます!お願いします!!!」

「……っ、わかりました! 道は、わたしが、開きます!」

「レイ!あとはあたしにまかせなさい!あんたがあいつを連れ帰ったらまとめて掃除してやるわっ!」


そう言ってミレイさんが自分の胸を叩いた。

そしてフィーネさんが涙目で...


「レイ君。信じてますからね!必ず戻ってきてください!!」


そういいながらフィーネさんがガロさんまでの道をつくる。


ヒュンッ、ヒュンッ!


フィーネさんの矢が、俺の進む先の魔物を次々と射抜いていく。俺のために最短の道を読み。俺のために、血路を開いてくれる。


俺は、その道を。風のように、駆け抜けた。


「ふっ!はっ!!」


立ちはだかる、魔物を斬り伏せながらガロさんのもとへ。

ボロボロに、なりながらも大群を抑え続けるその大きな背中へ。


「ガロさん!」


俺が、たどり着くと。ガロさんが振り返った。

その全身は傷だらけだった。血にまみれてそれでも、なお、立っている。


「……レイ。てめえ、なんで、来やがった」


怒気を、はらんだ声だった。


「馬鹿野郎!!危ねえだろうが! 俺のことなんざ、放っておけって言っただろうが!」

「……わかりません」


俺は、正直に答えた。


「自分でも、よくわかりません。でも...俺は放っておけませんでした!」


ボックスから、ポーションを取り出してガロさんに押し付ける。


「ガロさんは確かに俺にひどいことをしました。それでも……あなたは、俺を初めてこの街で拾ってくれた人だ。そんな人が、俺のためにこんなに傷だらけになって。……放って、おけるわけないでしょう!」


ガロさんが、俺の顔をしばらく見つめていた。


それから――

ハッと鼻を鳴らした。


「……大馬鹿野郎め...」


ポーションを、ひったくって、飲み干す。


「そういうとこだぞ。レイお人よしもいい加減にしとけ...」


ガロさんがそう言いながら笑った。

まるで憑き物が、落ちたような笑みだった。


「…おっし…てめぇにそこまで言わせておいてはいそうですかってあきらめるわけにはいかねぇな!」


ガロさんが、俺を、片腕でぐいっと抱え上げた。


「レイ俺が突破口を切り開く!!!ちょっと手荒だからなぁ!舌ぁ噛むなよ! ……いくぜ!」


そして、大剣を地面に構えて全身の力を溜める。

ガロさんの大剣に光が帯びる...


「おらぁ!!!!――チャージスラストォォォッ!!」


ドォォォォン!!


ガロさんが俺を抱えたまま弾丸のように大群にむかって突進した。まっすぐに大群を突き破って...立ちふさがる魔物を次々と跳ね飛ばし血路をこじ開けながら。

俺たちは...一気に仲間のもとへと帰り着いた。


「どうだぁ...レイ見たかっ」


ガロさんが息も絶え絶えで全身血に濡れていたがどこか吹っ切れたような顔で俺に告げた


「はい!ガロさん見ました!!やっぱりガロさんはすごいです!!」


そう俺が言うとガロさんはその場に崩れ落ちた。


「レイ! ガロ!よくやったわ!!!後はまかせなさいっ!!!!!」

「今です、ミレイさん! !」

「――フレアァァァストームッ!!」


ミレイさんの最大魔法が炸裂した。


ゴォォォォォォッ!!


灼熱の嵐が大群を丸ごと飲み込む。無数の魔物が一瞬で焼き尽くされていく。

ミレイさんの渾身の一撃。

それは...大群のほとんどを薙ぎ払った。


炎が収まったとき。

そこには、もうほとんど魔物の姿はなかった。


「……ぐ...どれぐらい落ちてた...!?」


倒れていたガロさんが急に起き上がった。


「ガロさん!?」


ポーションで応急処置はしたが、それでもガロさんの傷はあまりに深かった。

たった一人で、あの大群を長い間抑え続けた...その代償はポーション程度ではとて、癒しきれないものだった。


「へ……俺ァまだ...いけるぜ...前に、立たせろ...まだ...敵が…のこって…」


そういって傷だらけの身体を無理やり起こそうとする。だが、体が言うことを聞かずふらついていたその肩を。

がしっ、とバルトさんが掴んだ。


「あんたすげぇぜ。あん時のことはあやまる。あんたの...根性は。しかと見たぜ!」


バルトさんがにっと笑った。


「あとは、俺たちに任せな。あんたはここで休んでろ。……ここからは、銀の羽根の仕事だ」


ティアさんが、ガロさんの傍らに膝をつく。



「……レイさんにした仕打ちまだ許していませんが。レイさんを、庇ってくれた方を見捨てる趣味はありません。じっとしていてください。今、治します」


ティアさんの回復の光がガロさんを包み込んだ。


そして...魔物が、片付づこうとしていたその頃。


「よぅ。探したぜ」


回廊の影から。三つの人影が引きずり出された。

ケイルさんとバズさんそれにダグさんだ。

誘魔香を、使って俺たちを襲った王狼の牙。三人とも、後ろ手に縛られ気絶していた。

それを、引きずってきたのはなんとザイドさんだった。


「ザイド……さん」

「別ルートで、こいつらを追っていた。……お前らが、大群と戦ってる間に裏でこそこそ、逃げようとしてたのをとっ捕まえといた」


ザイドは、気絶した三人を、俺たちの前に放り投げた。


「こいつらが、犯人だ。誘魔香なんていう禁制品を使ってパーティを襲った。……立派な重罪だ...殺すも、放置も、好きにしな。なぁにダンジョンの中だ。誰も咎めやしねえ」


その言葉に。


ミレイさんが、一歩前に出た。ティアさんを、傷つけられた怒り...その目には静かな憤りが燃えていた。


だが。


「――待ってくれ」


止めたのは回復を受けているガロさんだった。


「ガロ、さん?」


ガロさんが、ふらつきながら身を起こす。そしてミレイさんに頭を下げた。


「頼む。……こいつらを、殺さないで、やってくれ」

「……はぁ?」


ミレイさんの、目が、吊り上がる。


「何、言ってんの? こいつら、あんたを追い出した連中よ? しかも、あたしたちを殺そうとした! ティアを傷つけた! それを庇うっていうの!?」

「わかってる。……わかってる、けどよ」


ガロさんは、苦しそうに、言葉を、絞り出した。


「こんな、どうしようもない...奴らでも。俺を...追い出した奴らでも...……ついこの間まで...俺のパーティの仲間だったんだ...」


その目が潤んでいた。


「俺は、こいつらを道具みたいに使ってきた。レイを道具みたいに使ったのと同じように。……仲間を大事にするってことを。俺は知らなかった。ずっと、上から見下してた」


ガロさんが、俺を見た。

「それを...こいつに...レイに、教わったんだ。二年も、ひどい目に遭わせた俺を...それでも、放っておけないって助けに来たこいつに。……仲間ってのはこういうもんだって」

「だから、頼む」


ガロさんが、地面に額を擦り付けるように頭を下げた。


「殺さないでくれ。生かして……ちゃんと罪を償わせてやってくれ。それが……俺に、できるせめてもの...あいつらへの...ケジメだ」


しん、と、した。


ミレイさんが、拳を握りしめて。それから...ふうっと息を吐いた。


「……あんた。ほんとにあのガロなの? あの、威張り散らしてた嫌な男と同じ人?」

「……はっ。自分でも、そう思うよ」


ミレイさんは、しばらくガロさんを見ていた。それから、俺の方を見た。


「……レイ。あんたはどうしたい? こいつらの処遇。……あんたが、決めていいわ。いちばんひどい目に遭ったのはあんたなんだから」


俺は、少し考えて。それから言った。


「……ギルドに、突き出しましょう。そしてちゃんと罪を償ってもらう。……殺すのは違うと、思います。俺たちは、そういうやり方はしない」


そう言って俺は、ガロさんに向き直った。


「ガロさん。……顔を、上げてください」


ガロさんが、ゆっくりと、顔を、上げる。


「一つだけ、お願いが、あります。聞いてくれますか?…」

「……あん?」

「冒険者をやめないでください。」


俺がそう告げるとガロさんは目を丸くしてこちらを見つめてきた。


「あなたは、強い人です。それは本物です。今日それを証明したじゃないですか。……道を間違えただけだ。だから辞めないでください!!もう一度やり直してください!!!!」


ガロさんが、ぽかんと、口を開けた。それから...くしゃっと顔を歪め...笑った。


「……はは。ばかやろう。……お前は、ほんとに、ばかだ」


その目から、一筋...涙が、こぼれた。


「……ああ!辞めねえよ!!これしか……俺にはねえしな」


「――だったら、ちょうどいい」


そこで。ザイドさんが、口を開いた。


「ガロ。……俺が、新しく組むパーティにこい。前衛が一枚足りなくてな」

「……なんだと?」

「言っただろう。この街で、いちばん伸びしろのあるパーティに入りたいと。……お前と俺で一から作りゃいい。今のお前になら...背中を預けられる」


ガロさんが、信じられないというようにザイドさんを見た。


「……いいのか。俺なんかで」

「今の...お前なら...な」

ザイドさんがふっと笑った。

ガロさんも...何かを考えるようにうつむいて。それから力強くうなずいた。


「……ああ。任せろ!!みてろよ銀の羽ぇ!すぐ追いついてやるからな!!!」


こうして追い出された豪傑と見限って去った暗殺者が二人新しい道を歩み始めることになった。


後日。

気絶していたケイルさんとバズさんとダグさんは、ギルドへ突き出された。

誘魔香の使用。

そして、パーティへの襲撃。冒険者にとって、最も重い罪だった。

三人を突き出したときにガロさんがギルドの職員に話しかけた。


「……俺も、だ」


そう言って、名乗り出た、ガロさんだったが。

ギルドの記録を確認した職員は首をかしげた。


「いえ……ガロさん。あなたの冒険者カード所属欄には【王狼の牙】の記載がありません。あなたは、事件より前にパーティを除名されていますね。……今回の、事件とは、無関係です」


追い出されたことが皮肉にもガロさんを救っていた。


ケイルさんと、バズさんとダグさんは。冒険者資格を剥奪され【王狼の牙】は強制解消となりギルドから、永久に追放された。【王狼の牙】の名はここに消滅した。

かつて、金級と謳われたパーティ。レイを搾取し、のし上がってきた牙は自らの、卑劣さで自らを滅ぼした。


「……結局、俺は」


すべてが、終わった後。ガロさんがぽつりと言った。


「金級だ、なんだとチヤホヤされて自分がすげえんだと勘違いして。……ただの、お山の大将だったんだなぁほんっとに情けねえ」


その顔はどこか、晴れやかだった。

全部、失って。

全部、間違えて。

それでも、最後に。

大事なものを一つだけ、拾い直した男の顔だった。

俺は、そんなガロさんを見て。少しだけ、嬉しかった。


二年間、俺を道具みたいに扱った人。でも......憧れた人でもあった。

その人が変われた。

人はやり直せる。

それが、なんだか自分のことみたいに、嬉しかったのだ。



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