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チートでもらった【アクセサリ制作】はおまけでした。本命は装備枠無制限だけど、カードに載らないし関係ないよね?   作者: めざし


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第十七話 静かな…殺意

模擬戦から、数日が過ぎた、ある夜のこと。

リンドールの、場末の酒場。その、隅の席でガロは一人安酒をあおっていた。

王狼の牙を、追い出されてから数日...

あの模擬戦の後、拠点に戻ったガロは解散を切り出した。


「俺たちは、金級の器じゃなかった。あいつを...レイを...切るべきじゃなかった」


だが―

ケイル達は、聞かなかった。

それどころか。


「はぁ!?何言ってんだガロさんよぉ! お前が、あのクソ荷物持ちを庇ったせいで。俺たちは王狼の牙は街中の笑いもんだ!」

「はっ!リーダー面してんじゃねえよ! あいつを、引き入れたのもお前。切ったのもお前!全部お前の判断だろうが!」

「そんなに気に入らねぇなら、てめぇが出ていきな!!!!」


そうして、ガロは。自分が作った、パーティを。自分が、追い出された。


「……はっ」


グラスを、傾けながら。ガロは、自嘲した。


一人になってみてようやくわかった。

金級と持ち上げられていた自分。チヤホヤされて...俺は、いい気になっていたんだ。

俺が強いんだと。

俺がこいつらを引っ張ってるんだと。


「……とんだ、お山の大将だ」


回復役を入れろというザイドの言葉も。

搾取だと気づかずそれでも懸命に働いていた、レイの姿も。

何も...見えていなかった...


「いや...見ようとしなかったのか...」

「……よう。ずいぶん、辛気くさい顔で、飲んでるじゃねえか」


不意に、声をかけられた。

顔を、上げる。そこに、立っていたのはザイドだった。


「ザイド……てめえ、なんで...!!」

「王狼の牙を、追い出されたって聞いてな。……まあ、飲め」


ザイドは、勝手に向かいの席に座ると酒を二つ頼んだ。


しばらく二人は、黙って飲んだ。

やがて、ザイドがぽつりと、言った。


「ガロ……お前、顔つき変わったな」

「あ?」

「王狼にいた頃のお前は。もっと、こう……ふんぞり返って目が濁ってた。今は、少しマシな顔になってるぜ」


ガロは、ふっと、笑った。


「……そりゃ、そうだろ。全部失ったんだ。パーティも金級の看板も。……一人になって初めて気づいたよ。俺はただのお山の大将だった。誰かの上で威張ってなきゃ何もできねえクソヤローってだけさ。……なんとも情けねえ話さ」

「それが、わかれば。いいんじゃないか」


ザイドは、あっさりと言った。


「人間、失って初めて気づくもんだ。……お前は、遅かったが、気づけただけマシだ。気づかずに腐っていく奴の方が圧倒的に多い」


その、言葉に。ガロは、何も言えなかった。

ただグラスの酒を見つめていた。


「……で、一つ。忠告だ」


ザイドが、声を低くした。


「王狼の残党。ケイル達が、妙な動きをしてる。……お前を追い出した後恨みを募らせてるらしい。しかも、その矛先が―あいつら銀の羽根に向いてる」

「……何?」

「『ダンジョンの中でなら、事故に見せかけて始末できる』……そんな、物騒なことを口にしてたと裏の筋から聞いた。……ろくでもないことを企んでるぞ」


ガロの、手が止まった。

銀の羽根。レイの、いるパーティ。

レイを俺たちは二年間道具みたいに扱っておいて...

都合が悪くなったら、今度は...殺す...だと?


「……くそったれが」


ガロは、グラスを乱暴に置いた。

そして、立ち上がったその目にもう迷いはなかった。


「ザイド。……情報、感謝する」

「どこへ、行く気だ」

「借りを、返しに、行くのさ」


ガロは、大剣を担いだ。


「あいつには……レイには。二年ぶんの、借りがある。せめてその一部くらいは……返さねえと、俺は本当にただのクズで終わっちまう」


その背中をザイドは静かに見送った。

それから、ふっと笑って自分も腰を上げた。


「……やれやれ。俺もお節介な男になったもんだ」


―その頃。

俺たち、銀の羽根は十六階の探索を始めていた。

あの後ギルドから正式に金級に任命され初めての未知の階層。

空気が変わる...魔物も、これまでより一段手強い。

だが、五人の連携は盤石だった。


「この階層も、問題なさそうね」


先頭を、進みながらミレイさんが言う。フィーネさんが、周囲を警戒しバルトさんが前を固めティアさんが後ろを支える。

俺は中間の位置にいるいつもの形だ。

だが...


「……レイ君。少し...待ってください」


不意に、フィーネさんが足を止めた。その表情が険しい。


「妙です。……後ろから。魔物の気配が異常な数近づいてきています。それも――こんな、群れ方...自然じゃない?」

「群れ方が、自然じゃない?」

「はい。まるで何かに引き寄せられているみたいに。一箇所に固まって……こちらへ...まっすぐ...」


そのとき回廊の奥から地鳴りのような足音が響いてきた。

無数の魔物の咆哮!うねるような大群が、俺たちの背後から押し寄せてきた。


「「「GARYUUUUUUUUUUU!!!!!!」」」


「なっ......! なんで、こんな数の魔物が一斉に!?」


ミレイさんが叫ぶ。

そして、俺はその大群のさらに後ろに人影を見た牙の徽章。

にやにやと、笑う見覚えのある顔...


「よう、銀の羽根さんよ! 楽しいダンジョン探索のお邪魔をして悪いなあ!」


ケイルさん。それに、バズさんにダグさん!!!王狼の牙だった...その手には煙を上げる香炉のようなものが...


「……誘魔香!!?」


フィーネさんが、呻いた。


「魔物を、無差別に引き寄せる……ギルド禁制の...違法アイテム。あんなもの使えば周りの魔物が全部……!」

「はっはっは! 気づくのが遅えよ! せいぜいその魔物どもに食い殺されなぁ! ……なあに、ダンジョンでの事故だ。誰もきづきゃしねえ!」


魔物の大群。

しかも、大群を、背中から受ける

―最悪の、バックアタックだ。


「~~~!!!囲まれる! 皆さん陣形を立て直します!」


フィーネさんが、指示を飛ばす。

だが、間に合わない。


大群の先頭がもう目前まで迫っていた。

その、一体が巨大な爪を振りかぶった。

その一撃は、詠唱に集中していたミレイさんへ。


「ミレェェェェイ!!」


バルトさんが、庇おうと動く。

だが、遠い。

バルトさんは、前面にいた為後衛のミレイさんまでは...

――届かない。

俺も、走った。

でも、間に...合わない。


「~~~~~~!?!?!」


その、瞬間。


「――ミレイちゃん!!」


割って入ったのは。ティアさんだった。

自分の体を盾にして。

ミレイさんを、突き飛ばしその爪の一撃をまともに受けた。


ぐしゃっ


鈍い音がした。


「ティア……!?」


ティアさんが、血を噴いて崩れ落ちる。

ミレイさんを、庇ってティアさんが負傷した。


「ティア!? ティアッ! いや……なんで、どうして、あんたが……!」


ミレイさんが、取り乱す。倒れたティアさんにすがりつく。

パーティの命綱。

その、回復役が倒れた。しかも、大群はまだ押し寄せてくる。


「―皆さん、下がってください! ……くっ、この数、捌ききれない……!」


フィーネさんが、矢を放ちながら、必死に叫ぶ。

だが、いかに弓聖でもこの大群を一人で止めるのは無理だ。

回復役を、失い陣形は崩れ、さらに押し寄せる魔物の津波。


まずい!!!!このままじゃ....全員やられる!?

俺が、覚悟を決めて前に出ようとしたその時だった。


「――どけぇぇぇっ!!」


ドォォォォン!!!


轟音が、大群の後方から響いた。

魔物の群れが。

まるで、巨大な何かに突き飛ばされたように。

左右に、吹き飛ぶ。

そして、その割れた道を血相を変えて駆けてくる大男がいた。

大剣を担いだ見覚えのある背中。


「ガロ……さん!?」

信じられなかった…なぜあの人が。ここに?

ガロさんは大群のど真ん中にたった一人で突っ込むと、その巨体で俺たちと魔物の間に立ちはだかった。


「―借りを返しに来たぜ! 銀の羽根!!」


大剣を、振るい押し寄せる魔物をなぎ払う。

たった一人で。

大群をその身で受け止めながら。


「レイ! 俺が食い止めてる間に体勢をたてなおせぇ!!」


そう言ってガロさんが魔物の大群に相対した。


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