12 eスポーツ部の日常
☆12 eスポーツ部の日常 ☆
放課後、部活の時間がやってくる。
「こにゃにゃちは」
すっかり、部活の挨拶として定着した挨拶をする。
「こにゃにゃちは」
「こにゃにゃちは」
「こにゃにゃちは」
挨拶を返される。
みんな揃っているようだ。
RPGの続きを遊ぶ前に、昨日見たテレビの
話で盛り上がる。
「みんな聞いてくれよ。
昨日見たテレビアニメの内容が酷くってさあ、
ゲームが元になったアニメらしいんだけど、
知能のあるモンスターを捕まえて
遊びのためにモンスター同士を強制的に
戦わせるんだけど、
主人公やその世界では何の悪気もなく
その遊びをやっちゃって
放し飼いにしても主人公に付き従って
同じモンスターを捕まえたり退治する
裏切り電気ねずみが人気のアニメが
やってたんだけど、
無意識に悪党を意識させずに主役において
子供達や大人を欺いて商売するなんて
後で何かやらかしそう。
例えば、子供のためを全く思って作ってないから
赤と青の強力な光をエフェクトにして
視覚から脳にダメージを与えてテンカンの
症状を全国の子供達に起こさせて病院送りに
したりとかしそう。
でも、こんな事を前もって注意したら
こっちが精神異常者にみられちゃうかもしれない」
「はいはい、見てきたような事を言わないでね。
空也君! この乾燥梅干あげるから! はい、アーン!」
「確かにゲーマーとしては、意味もなく強い光の
エフェクトは腹立つわね」
「あーん」
僕は、乾燥梅干を食べつつ、詩羽先輩に注意する。
「詩羽先輩! 乾燥梅干には発ガン性物質である
サッカリンなどが入っているため、
あまり食べない方がいいですよ」
「えっそうなの? あといくつか残っているんだけど、
食べ物を捨てるのも、もったいないし、
みんなで食べましょう。 ここに置いておくから好きなだけ
食べてね!」
「詩羽先輩が言うなら、一つだけ」
「私も一つだけ」
発ガン性物質が入っていると知って食べたいと
思う人はあまりいない。
「さあ、昨日の続きを始めるでござる!」
僕達は、それぞれの席についてゲームを始める。
「こんにちは!」
「こんにちは!」
「こんにちは!」
ゲームを始めようとしてところへ見慣れない女子達が
部室へ入ってきた。
「みんなー、どうしたの?」
「法子がどんな部活をしているのか気になって見にきたの」
「御統さんは、部活楽しんでるー?」
「あー、乾燥梅干がある!」
ピキーン!
何かを思いついた詩羽先輩は、目を輝かせながらも
顔には暗いエフェクトがかかってわずかに不敵な笑みを浮かべる。
「あなた達も、乾燥梅干をよかったらどうぞ、いくつでも食べてって!」
「それじゃ、遠慮なく、2つほど」
「わたしも1つ」
「それじゃ、わたしも」
乾燥梅干は、ちょうど全部無くなった。
やっかいばらいができて詩羽先輩は嬉しそうだ。
「どんなゲームで遊んでいるの?」
「RPGっていうファンタジーをロールプレイという演技をして
遊んでます」
「へー」
「このルホルホって誰?」
「あっ、それは私です。ミルマルホウコのルとホをとって、
ルホルホと先輩がつけてくれました」
「それで、ルホルホ!」
「ルホルホ!」
「るほるほ!」
「長居しても悪いので帰りまーす。 じゃあね、ルホルホ!」
「じゃあね。 ルホルホ!」
「じゃね。 るほるほ!」
手を振って友達を見送るルホルホ。
「私のあだ名は、ルホルホでクラス中に広まりそうです……」
「え、あ、まあ、そんなに悪いあだ名じゃないわよ」
「そうよ。 ルホっちならそんなに呼びにくくもないし」
「そうだよ、ルホルホ!」
そんな感じで今日も部活が始まる。
つづく。




