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好きだった幼馴染に消えちゃえと言われた俺は〜〜いまさら好きと言われてももう、あの頃には戻れない  作者: 野良うさぎ(うさこ)


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七話

 帰還者組織WEB板下級転移者専用コメント欄


 ・すげえ、本当にこんな掲示板あったんだ。


 ・まあな、ここだと気兼ねなく話せるからな。ていうか、下っ端だしな。


 ・俺、異世界で一瞬で殺されたんだ。


 ・俺も。


 ・俺も! でも、魔力もってるもんね!


 ・なあ、神楽坂支部の班長が動いてるんだって。


 ・うっそ、マジで? あの鉄の女が?


 ・聖女も。


 ・うわぁ、どんあ案件なんだよ。その二人はやべえな。


 ・……今朝、俺の教室に班長が転入してきた。


 ・ちょ、笑えるんだけど。


 ・笑えねえよ!? ていうか、やべえやつがいた。【牧島蓮也】だ。


 ・知らねえな。


 ・白髪のイケメン。


 ・それはちょっとムカつくな。


 ・……班長と聖女が一瞬で瞬殺(催眠)された。


 ・はっ?


 ・マジで? 絶対嘘だろ!!


 ・いやいや、本当だって! 二人の頭持ち上げてさ、こう、なんか変なスキル使って……。ていうか、あいつも帰還者か……。


 ・ちょいまち……、帰還者名簿には検索かかんねえな。


 ・……それ、あり得ないぞ。


 ・帰還者で名簿に載ってない奴なんていない。


 ・じゃあ、あいつは何なんだ?


 ・観測ログ見たやついるか? ていうか、載ってるかな?


 ・……いま、おっ、いたぞ。えっと……危険度SSって出てるぞ。


 ・マジか! 聖女Sランクだぞ!!


 ・それを瞬殺した奴がSS?


 ・帰還者じゃない説。


 ・じゃあ何だよ。


 ・新しい転移者か? 明らかに現地人だけどな。


 ・いや、この世界で覚醒したタイプじゃね?


 ・……おい、また観測ログ更新された。


 ・対象名【牧島蓮也】分類不明、スキル不明、魔力量ゼロ


 ・ゼロ???


 ・魔力ゼロでSS??


 ・そんなことありえるのかよ


 ・……やばいな。ははっ。


 ・いや笑えねえよ。


 ・俺、同じクラスだぞ……。


 ・生きて帰れるかな


 ・がんばれ


 ・でもさ


 ・何?


 ・その白髪の奴


 ・魔王守るとか言ったんだ。


 ・……あの魔王どもを?


 ・マジで言ってたのか? 魔王なんて害悪じゃねえかよ。



 ***



「おはよう」


 挨拶は大事だ。異世界でも挨拶から入れば大抵のことはうまくいった。しかし、返事は誰からも返ってこない。


 仕方ないことだ。俺にとって七年前だとしても、彼らにとっては数日前だ。俺はこの教室でいじめられていた。


 薫子と一緒にいるときはいじめられない。俺が一人と時を狙っていた。男子も女子も関係ない。

 ただ、いじめられている俺を見て笑っていた。


 胸に手を当てる。……異世界での生活の方が辛かった。

 魔力がなく、魔法が使えない俺は、自分の身体を鍛えることにした。

 いまでも思い出す。あの厳しい訓練を……。


『おう、てめえが魔力ゼロの落ちこぼれか。ん? 俺から体術と剣術を学びたい? 土産の肉……? ふん、良い心がけだ。今日からてめえは俺の弟子だ! 厳しいから覚悟しろよ!』


『成長したな……。そろそろお前も独り立ちしてもいいだろう。ほら、これ持ってけ、獣人族で代々伝わる伝説の剣だ』


『おい、何があったんだ? お前……その傷……、そうか、くそ、待ってろ、いま治療する』


『……命令が来たぞ。お前を……殺せってさ。……さあどうしたもんか。……ちっ、もう転移者どもが来やがったか。はぁ……、ガキがいない俺にとって、お前は息子みたいなものだった。俺のおっぱいばっかり見てたけどな。はっ、最後にハグしてやるよ。思う存分吸い付け! ……お、おい、長えよ!? いいか、ここから南の帝国に迎え』


『馬鹿……、なんで、戻ってきたんだ……。俺のこと、なんて……ぐふっ……』



 自分の胸を掻きむしった。悲しみだけは確実に俺の心を貫く。獣人族の師匠は俺を逃がすために転移者と戦って殺された。


 本当の親よりも、親だと思えた。

 家族の愛情、親愛というものを初めて理解できたんだ。


 俺はいま、自分の心がおかしい。でも、ゼロじゃない。完璧に壊れているわけじゃない。きっと、師匠がいてくれたから心が残っているんだ。


「おい、なんでてめえは泣いてるんだ?」


「ぎゃははっ、超笑えるじゃねえかよ。鮫島君、やっぱりトイレに連れてこうぜ。いまなら薫子も委員長いねえし」


「……な、なあ、ちょっとやめておこうぜ。ほ、ほら、先生も仲良くしろっていってたし」


「昨日、鮫島君のこと脅したんだろ? 俺、正義感つええから許せねえんだ」


 師匠にもよく言われた。喧嘩は弱いものとするものじゃない。自分よりも強いものと戦うんだ。


 俺はペコリと頭を下げた。


「悪いけど、人間関係のごちゃごちゃは嫌なんだ。これがいじめだとしても、物理で解決したとしても、心苦しくなる」


 心苦しくなる心なんてない、と思うけど。俺には目的がある。真央さんを守るために、この世界の情勢を調べなきゃいけない。


 魔王は一人だけじゃない。きっと他にも魔王がいるはずだ。


 俺を取り囲んでいる奴らが、恫喝してきたけど、俺はカバンの中から書類を出して、三人に手渡した。


「こ、これは……」「おい、待てよ! なんでてめえは知ってるんだ!!」「……え? ちょ、なんで??」


 鮫島君には熟女の奥様とママ活をしている写真を、他の二人には、女子の盗撮をしている姿やらなにやら。


「ど、どこでこんな……写真を……」


 これは催眠スキルを利用しただけで、自分で俺に渡してくれたんだ。絶対に悪用しちゃ駄目って師匠に言われた技だ。でも、師匠はよく自分に催眠をかけろって言ってたな……。


 まあ、いいや、とにかく、今ある写真はこいつらが自撮りをした写真だ。


「くっ、覚えていやがれ!! 絶対にどうにかしてやるからな!」「待てよ! 牧島、俺は真剣に恋愛してんだよ! そんなの痛くも痒くもねえよ!」「……」


 いじめっ子たちは、悔しそうな顔をして去っていった。……だが、自分にとってどうでもいい。


 自席に座ると、視線を感じた。

 御剣と白ギャルだ。クラスの男子の半分の視線は白ギャルへと向かっている。


 確かに、白ギャル(聖女)は可愛らしいと思う。が、にじみ出る悪意が収まりきれていない。


 監視しているだけ、というのはあながち間違っていないようで、真央さんになにかしようとする気配はなかった。真央さんの匂いは昨日で完全に理解した。三キロ離れたところにいても、匂いの状態で状況が判別できる。


「おはよう〜」


 と、その時、薫子が登校してきた。昨日の涙のせいで目が腫れていたが、表面上は元気そうに見えた。俺と目が合って、一瞬だけ動きが止まった。


「あっ、蓮也、き、今日は一緒に帰れる?」そういって、薫子は小声になる。


「……あ、あのさ、クラスの子たちには本当は付き合っていないって説明しておいたから。……でもさ、友達だったら一緒に帰っていいでしょ?」


 多分、薫子は同世代で一般的な精神性を持つ女子生徒だ。昨日の涙も健全だと言っていいただろう。


 薫子から学べることもある。

 現に、いま、薫子は自分のために、俺を友達と言ったわけではない。自分がいないところで俺がいじめられているのを知っているからの発言である。


 ……きっといい子なのだろう。


「……真央さんに確認を取る」


「あ、黒瀬先輩、わ、私、お邪魔じゃない?」


「特に気にしないと思う。一般人の感覚は大事だ」


「はい?」







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