第二章幕間 ある作業員が残した手記1
3月7日
今日、ようやく、本当によーやく念願であった手帳を買うことが出来た。しがない作業員の俺が、手帳を買えるなんて嬉しすぎる。
これを買うために去年は働きまくったからなぁ。大変だったなぁ。何回死にかけたことか・・・・
時には魔物に殺されそうになったこともあったよなぁ・・・・ 腕を1本失いかけた時は本気で焦ってたぜ。
おっと、そんな苦労話は置いておいて、今日から念願だった日記という物を書いていきたいと思います。俺の生活を綴った日記でーす。
ずっと、ずーっとやってみたかったから嬉しくて嬉しくて仕方ない!
ということで明日から日記を本格スタートしようと思います!!
3月8日
いざ、日記って書こうとすると何を書けばいいか思いつかないもんなんだなぁ。確かに俺あんまり文書を書く経験無いもんなぁ。
あんだけ高かった紙とペンを買ったのに、こんなに筆がのらないとは思わなかったぁ・・
まぁ、頑張って書いてみます。
えーっと、まず今日の出来事を綴ってみると・・・・ 今日はいつも通り王国付近のガス洞窟の道の整備をしました。本当にいつも通り、ツルハシで邪魔な岩を破壊して、道を整える仕事です。本当に必要かどうか分からない仕事です。
まぁ、それでも、いつも通り死ぬほど疲れました。実際、死にそうになった場面が何度かありましたが・・・・・
兎に角体は、もうバキバキです。いつ体が動かなくなるかドキドキですよ。それでいて、明日も仕事だと思うと少し憂鬱だぁ。でも、これもお金のためなので頑張ります。(案外日記書けてるじゃん俺)
3月9日
今日はいつも行っている飯屋のお姉ちゃんに話しかけられた。いつもここで食べていかれますね って話しかけられましたよ。
もしかして、これって︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎脈あり︎︎"︎︎ってやつなのかな?
普通、お客さんの顔なんて一々覚えないよね。
これもしやワンチャンあるのかな?
結構、あのお姉ちゃん美人だったからなぁ。
もしそうなら、ぐへへへ・・・・
ゴホン、それは置いておいて、とりあえず明日もあの飯屋に行こうと思います!!!
3月10日
今日はあの飯屋に行こうと思ったら、まさかの臨時休業だった。めっちゃ残念。
その上、ほかの店も昼時ということて混んでいて、昼ごはんも食べずに仕事をすることになった。バチくそ腹減って仕事なんて集中出来なかった。まじで最悪!!
3月11日
今日は仕事中に魔物を見た。そこまで大きい魔物では無かったけど、現場は大慌てだった。上司に関しては焦りすぎて、少しちびってた。
それを思い出すとめちゃくちゃ笑える。俺は冒険者に憧れていた時期もあったから、全然焦らなかったけどね。だって、あの魔物、ゴブリン程度の強さなんだぜ。確かに見た目は少し厳つい感じだが、あの大きさでビビるなんて、俺以外の奴らはお馬鹿だなぁと思った。結局、その魔物は俺たちに構うことなく、どこかに行ったけどな。
あっちが戦いを挑んで来れば、俺の隠し技、生活系統魔法、︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎ ︎︎念力"︎︎で倒してやったのに残念だ。
3月12日
今日はあの飯屋に行った。行ってみると、あの姉ちゃんがいつものようにいた。だから、俺は勇気をだして話しかけてみた。
勇気を出したって言っても、女に話しかける本当はなんておちゃのこさいさいなんだけどな。まぁ、冗談は置いておいて、その姉ちゃんに話しかけた結果なんだが・・・・・
なんと・・・・・・
大成功!! めっちゃ話せたよ。流石俺。少し歳を取ったが、まだまだ顔はかっこいいからな。このまま、恋人とかになれたらいいなぁ・・・・
なんちゃって(テヘペロ)
3月18日
今日は診療所からようやく帰ってくることが出来た。これもあのクソ上司のせいだ。ふざけんな!!! 最悪すぎる。それのせいで、日記も1週間ぐらいで止まってしまったじゃないか!! これじゃあ、俺が飽き性のカスみたいになるだろ!!
なんで俺の日記が止まったかって?
これを読んだ全員、俺に同情するね。
それぐらいあの糞野郎は腹が立つ。
今でもイライラする!
とりあえず訳を説明するとまずだ、日記を最後に書いた次の日のことだ。その日も俺はいつも通り仕事をしていた。
いつも通り真面目に、つるはしで道の整備をしていた。
そうしたら、何を思ったのか上司の野郎が掘っちゃいけない床まで掘りやがったんだよ。
なんで掘るんだよ? あのカス!!
そのせいで、床が崩れて俺が地下深くに落ちたんだよ!!
くそ、クソすぎる。しかも、落とした張本人のくそ上司は落ちずに俺だけ落ちたんだぞ。ふざけんな!!
そのせいで、俺は3日ぐらい生死をさ迷ってたんだよ。最悪だ。
明日、絶対会社に文句言ってやる。
3月19日
今日は会社に文句を言ってやった。
死にかけたんだ。
当然の権利だよな。
そうすると、会社はやけによそよそしかった。
いつもなら怪我人が出ても、くびをチラつかせて黙らせるはずのに今回はやけに静かだった。
それどころか、俺に金をくれた。
なんでかは分からないが・・・・
その上、俺を今の危険な洞窟から安全な洞窟に移動させる話まで出てきていた。
勿論、給料は今より圧倒的に高くしてだ。
何か、きな臭かった。
とてつもなく怪しかった。
そんな怪しい申し出に俺がとる行動は1つだった。
「勿論、その仕事受けさせてもらいます」
と力強く申し出を受けた。
当たり前だよなぁ。
いくら上が腐っていようと、金が貰えるなら俺はついていく。金がたんまり貰えればな。
3月20日
今日は引っ越しをした。
社長達はすぐにでも俺をその︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎︎︎安全な洞窟"︎︎とやらに行かせたいらしい。
どうしてもそこに早く行って欲しいようだ。
だから、直ぐさま引っ越しの準備をさせられた。
まぁ、引っ越しって言っても、住んでいた家は社長が用意している寮だから、することはあんまりないんだけどな。
家具だって元々部屋についていた物だから持っていけないし、俺も元々そんなに私物がないから、引っ越しって言っても身一つあれば十分だった。
だから、引っ越しはそんなに時間は掛からなかった。それより驚きなのは、俺の引っ越し先はここからかなり離れた遠方の地だったんだ。
ポなんたら村(ポの次が思い出せない)が近くにあるらしいが、かなりの遠方だ。
歩いて行くなら何日かかるんだ?
大変そうだ。トホホ・・・・
それに、そんな遠くになると思ってなかったから、あの飯屋の娘と離れ離れになるのは1ミリも予想してなかった。
中々に辛いなぁ。
せっかくいい雰囲気になったのに・・・・・
でも、別に一生会えなくなる訳じゃないから、元気を出して頑張ろう!!!
(決して金に釣られた訳ではない)
3月21日
今日は新たな仕事先へ移動するために、ペガサスに乗った。
まさかペガサスに乗れるなんてびっくりしたぜ。
だって、あのペガサスだぞ。
王国騎士団が移動や戦闘時に使っているあのペガサスだぞ。
まじやばいぜぇ〜
男なら一度は憧れるペガサスに乗る、一足先に俺のやりたいことリスト一つ叶えちゃった。最高〜
しかも、独りであのペガサスに乗ったんだぜ。要は俺が操縦したってこと。凄いだろ!!
まぁ、ほとんど言う事聞かずに目的地に一直線だったけどな・・・・
それでも、凄い体験だから最高だぜ!
乗った人しか分からないんだが、あのペガサス本当に速いんだ。
時速にして多分200キロは出てたんじゃないかなぁ? 凄い速さだった。
外の景色が凄い速さで変わって行ったんだわ。
それでも、乗ってる時は全く振動とか感じずに気持ちよく移動できるんだぜ。
マジでペガサスの座り心地やばかった。寮にあったベットより気持ちよくて、普通に寝れるレベルだった。
実際寝たしな。10時間ぐらいあった移動時間をほとんど寝て過ごしたわ笑
そんぐらい気持ち良い移動時間だった。
でも、何でこんな最高の移動手段を、しがない作業員の俺が使っているのかは謎だけどな。ペガサス一匹で何百人の作業員の給料が吹き飛ぶんだろう?
それを考えると身震いがとまらない。
まぁ、最高だったからいいけどね
3月22日
今日から安心安全な洞窟、ポム洞窟での作業が始まった。
引っ越し早々、仕事が入ったからとんだブラック企業かと思ったのだが、実際は全く違った。
俺達がやる事はただ一つ、採掘場に行ってツルハシで壁を掘る。
それだけだった。
全く危険もなく、ノルマもなく、魔物もいない、簡単な作業だった。壁を掘る目的は分からないけどな。
それに加えて、この仕事疲れはするのだが、その疲れも丁度良いぐらいで、仕事終わりの風呂が天国に感じるぐらいのものであった。
勿論、その仕事場の寮には一人一人の風呂も付いていた。(しかも個室で広い部屋!! )
その上、そこで働いている人は皆優しく、俺みたいな下っ端にも丁寧に教えてくれる人ばっかりだ。俺が道が多くて洞窟内で迷っている時も懇切丁寧に道を教えてくれるようないい人だった。
しかし、その仕事には1つ気になることがあったのだ。
それはその洞窟に入る際、口を酸っぱくして言われた事なのだが、その洞窟に入った後、24時間の間は何があっても魔法及び魔力を使うことをするな!と何度も、何度も、キツく言われた事だ。
無論、洞窟内での魔法の使用などは言語道断だった。
今までそんな命令を受けたことが無かったから、流石の俺も意味が分からなかった。
それに、理由をこの仕事の上司に聞いたのだが、何だか歯切れの悪そうに誤魔化されただけであった。上司は何かを隠しているような、申し訳なさそうな、なんとも言えない顔をしていた。
その顔を見て、俺は何か嫌な予感を感じた・・・・・・・
3月29日
1週間ぐらい日記を書くのを忘れていた。
本当に申し訳ない。
いつも日記を楽しみにしている読者には本当に悪いと思っている。(読者って誰やねん!)
誠に申し訳ない。
ただ、理由を聞けば十中八九みんな納得すると思う。それぐらい深い理由があるんだ。俺が日記を書くのを忘れた理由は単純だ。
純粋に楽しかったからだ。
もう一度書く。
今の職場が純粋に楽しかったからだ。
全然深くない? ・・・・ いいや、深いね。
俺の今の職場は本当に天国だ。
仕事も前の仕事みたいに命を削ってやるような仕事ではないし、かと言って、単調すぎてつまらない仕事でもない、まさに理想の仕事だ。
その上、仕事が終われば、仕事仲間と毎日飲み会をしていた。後輩である俺が入っても、全然歓迎してくれる。
端的に言えば最高の職場だった。
そんな最高な仕事場に居たら、日記を書くのを1週間ぐらい忘れるのも仕方ないと思う。
だって、飲み会の後になんか文字かける訳ないだろ。
念力魔法だって、上司の命令で使うことが出来ないから無理に決まってんじゃん。
寧ろ、1週間後に再び描き始めている俺を褒めて欲しいぐらいだ。
まぁ、兎に角だ。
俺はこの仕事に就く事ができてとんでもなく嬉しい。
4月3日
今日も先輩達と仕事終わりに飲んでいた。
そんな時に、俺はふと気になったことを聞いてみた。
「なんで洞窟に入った後は魔力を使っては行けないんですか? 」
俺は本当に本当に何気なく聞いた。
そうすると、先輩は少し間を置いてから話し出した。
「あぁー、そうか。君入ったばかりだから知らないよね。まぁ、噂レベルの話なんだけど・・・・・
なんでも、この洞窟でとれる魔石がとても危険な物らしくて、その魔石に魔力を流すとドッカン!!!! とね・・・・」
と先輩は笑いながら言っていた。その反応に少し恐怖を俺は覚えた。当たり前だよな。そんな危険な物を掘っていたなんて、今まで聞いてないし、言われてもいない。俺は少し黙り込んだ。一瞬、この仕事辞めるべきでは? と脳裏に浮かんだ。そんな俺を見て、少しやりすぎたと思ったのか先輩はフォローするように話し出した。
「そんなビビらなくても大丈夫だって。今まで魔石を掘り出した人は数えるぐらいしか居ないし、その人達も今もあそこの席で酒をたらふく飲みながらピンピンしているからな」
と俺達から少し離れた席を指さした。そこには酔っ払いが腹踊りをしている姿がある。完全に元気なおっさんであった。そして、先輩は続ける。
「あいつ、魔石を見つけたんだけどな。見つけた後、いくら貰えたと思う? 」
「銀貨2枚ぐらいですかね・・・? 」
俺は妥当そうな金額を伝えた。先輩はその答えにニヤニヤしながら
「ブッブー。正解はな。金貨2枚だ」
と訂正する。俺は固まる。
金貨2枚──その価値は国よって変わるが、少なくとも、半年は遊んで暮らせる。
俺は金額の大きさに固まるしかできなかった。そして、そんなでかい金額を渡せるのはやはり危険だからでは? と思い恐怖した。
そんな再び固まっている俺に先輩は少し困ったような顔をした後、口を開いた。
「それにな、上司が口を酸っぱくして言っている洞窟に入った24時間は魔法を使うな!! っていう命令もな、上司に内緒だけど、実は守らなくても大丈夫なんだ」
先輩はそう言いながら、指を俺に見えるようにして、指から火を出した。
それはどう見たって魔法を使わなければ出来ない芸当だった。先輩のその行動に頭がこんがらがる俺。
だが、先輩はそんな目が点になっている俺を置いて、どんどんと話していた。
余りにどんどん話すもんだから、話のほとんどは聴き逃してしまった。
仕方ないだろ!
急に今まで律儀に守ってきた上司の命令を守らなくても良いと言われたら、誰だって頭がこんがらがるだろ? そうだろ? だろ?
だから、俺は悪くない。
・・・・という言い訳は後にして、そんな頭がこんがらがっている俺でも先輩の言っていたことの最後の部分だけは聞き取れた。
「だからよ。そんなに肩に力を入れて仕事しなくても大丈夫だからな」
やっぱり、この職場は最高だ!!!
4月5日
今日は馬車馬のように働いた。いつもより仕事量が多くて大変だった。だから、もう念力魔法もげんかい
4月6日
今日は上司に凄い褒められた。俺の壁の掘り方が丁寧で、素晴らしいと褒められた。やっぱりこの職場いいな。
ちゃんと作業員一人一人のことを人間として扱ってくれる。
この職場と比べると今までの職場はまさにゴミだね。
この職場で一生働きたい!!
4月8日
今日は魔石をついに発見した。本当に偶然見つけたんだ。
いつものように洞窟の壁を掘り進んでいると、何か煌めく物が目に入った。
大きさは人の歯よりも小さいのだが、とにかく赤く輝き続けている。
一瞬、眩しくて目を覆いたくなるような光。
とても強かった。
ただ、それより凄かったのはその後の現場だった。
赤い光が現場に漏れだした瞬間、上司が光の速さで飛んで来た。
とんでもない速さでだ。
それだけでも凄いことなのだが、もっと凄いのは上司の格好だった。
全身武装と言った方がいいのか? わからないが、兎に角身体中を鎧で覆っていた。
それはまるで何かの菌から身を守るようにだ。その姿に度肝を抜かれていると、上司は魔石を鉄の塊のような頑丈そうな箱に入れて、すぐさま洞窟の外へと走り出した。猿奪いと現すのが正解なほどすぐに奪い、外へと駆け出していた。
余りに突然のことに唖然としている俺。しばらく時間が経ったあと、そんな俺に先輩が
「おー、遂に魔石を見つけたのか!? 君もやるねぇ〜 」
と俺の元にやって来た。ただ、俺は唖然。
それもそのはず、俺の頭の中は、上司のあの格好は? 魔石って何だ? 俺、死ぬのか? など大混乱にハマっていたからだ。
先輩はそれを見破ってか、優しく教える。
「おいおい、そんないっぱい、いっぱいになるなよ。お前は凄いことをしたんだからな。自信を持てよ」
「凄いこと? 」
俺は首を傾げる。
「あぁ、そうだ。凄いことだ。魔石なんて一年に一回取れれば良い方だからな。凄いラッキーだぞ。お前」
「ラッキーなんですか? 自分? 」
再び首を傾げる。
「そうだ。そうだ。ラッキーだとも。この大きさなら金貨3枚は貰えるなぁ。羨ましいな、こんにゃろー」
と言いながら、俺の頭をぐりぐりした。
金貨3枚・・・・・
その時の俺は固まった。金貨3枚って、今いるポム村なら半年以上遊んで暮らしてもお釣りがでるレベルじゃないか!? 俺は余りの金額の大きさに驚いた。そして、もの言わぬ怖さを覚えた。
そうしていると、先程洞窟を出て行った上司が俺の元に戻って
「よく魔石を見つけてくれた。本当に本当にありがとう」
と涙を流しながらハグをして来た。
とても強く強くだ。
それに呆然としている俺。
ただ、そんな俺を構うことなく、
「これは些細なお礼だよ。本当はもっとあげたいけど、これ以上あげると上に怒られるからね。ごめんね」
と金貨4枚が入った袋を渡してきた。突然の大金に喜ぶ気持ちも勿論あったが、それよりも恐怖が勝る。
なぜ、急にこんな大金を渡してくるのか分からなかった。
それが兎に角怖かったのだ。
そんな恐怖に溢れた俺を更に恐怖させることを上司が言う。
「あ、そうだ。今日は本当に魔法を絶対に使っちゃ、だめだよ!! 本当に駄目だよ。これは振りじゃなくて命に関わることだから!! 」
そして、洞窟にいる全員に聞こえる声で
「今日、魔石が見つかった為絶対に魔法及び魔力を使用しないように!! 普段から仕事の後に使っている者もいるようだが、今日だけは使うな!!!! これは上司命令だぞ!! 」
と叫んだ。少し緊張が洞窟内に走る。そんな緊張を感じ取ったのか、上司は続けて叫ぶ。
「それと、今日の業務はこれで終了とする。そして、1週間仕事を休みとする。勿論、給料は働いていないこの1週間の間もしっかりと出すから、今日はゆっくり休め!! 」
それを聞いた途端、歓声が上がる。労働者達の雄叫びが洞窟中から聞こえていた。勿論、先輩も例外ではなく喜んでいる。そして、俺のことを担ぎあげ、どこから集まったのか分からない労働者達と一緒に胴上げを始めていた。
「よくやったぞ!! 」
「今日は宴だ!!! 」
「俺たちの奢りだ!! 」
と叫んでいる。
テンションMAXの先輩達。俺もここで喜べるような性格の持ち主なら良かったのだが、その時ばかりは違っていた。
先程述べた理由の通り俺は恐怖を抱いていた。
その上、再三言われてきた魔法の禁止をこれでもかと再び言われ、他の労働者達の業務も今日所か1週間も休みにされたのだ。
それはまるでこの洞窟が危険になったから、早急にこの洞窟から出ていけと言わんばかりの待遇だった。
純粋に怖い。そう感じるほどに素早く事が進んでいた。そうすると、先輩たちは俺に向かって
「勿論、お前も宴に参加するよなぁぁぁ? 」
と上機嫌に誘う。その上機嫌さは酒に酔っ払っている時よりも酷い物だった。勿論、俺はそんな気分では無い。寧ろ、この仕事を辞めたいと思うほどに怖かったのだ。そんな時、上司が少し怒りながら話す。
「彼は今日は宴には行けない。君たちも分かっているだろ。魔石を見つけた人には︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎︎︎処置"︎︎をしなければならないことを」
処置・・・・? 一体なんなんだ、それは?
頭が混乱する。汗が流れ落ちる。ジメッとした嫌な汗。それが顔を舐めまわすように、ひたひたと落ちる。俺は助けを求めるように先輩の顔を見た。テンションMAXの先輩にだ。ただ、先輩は
「あー、そっすよね。魔石を見つけた人には︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎︎︎処置"︎︎をしないといけないですよね」
と上司に同意していた。俺は先輩を恨む。
何でこう言う時に助けてくれないんだ!?
俺はいつも飲みの時、先輩を介抱して部屋まで連れてっているのに!!
ただ、そんな思いも伝わることも無く、上司は俺の手を引く。
「そういうことだから、ちょっと私と一緒に来てくれるかな? 1週間ほど経てば家に帰すから」
上司はそう言い、俺を引っ張ってどこかに連れて行こうとする。凄い力だ。いくら踏ん張っても、耐えられないほどの力。俺は更に恐怖する。そして、恐怖を必死に抑えて
「す、少しお腹が、いっ、いたいから今日は帰ったほうがぃぃかもしれません。う、うつすと悪いんで」
と嘘をつく。これで帰らせてくれ、俺は祈るように上司の返答を待った。
そうすると、上司はすぐさま、俺を担ぎ上げた。軽い物を持つように簡単に持ち上げたのだ。
「それはなおさら︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎処置︎︎"︎︎が必要じゃないか!! 今すぐにでもあそこに行くぞ!!」
そして、すぐさま走り出した。とても速かった。体感の速さで言うと、ペガサスに負けていないようにも感じた。
しかし、それより凄かったのが力だった。
俺が何度も暴れて上司の腕から逃れようとしても、物凄い力で腰を掴まれて身動きが一切取れない。それほどまでに強い力で掴まれている。絶対に俺を連れていくという強い意志が感じ取れた。
そして、俺は︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎あそこ︎︎"︎︎に運ばれてしまった。
第一章から第二章の全文を推敲しました。
評価して頂けると嬉しいです。




