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弱くてキツイニューゲーム  作者: 竜崎 龍郎
第二章 異世界人との遭遇編
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第十七話 念願の魔力測定


賢也はその言葉を聞いて、心が舞い上がった。舞い上がった理由は、ラノベ及び小説家になろうを一度でも読んだ人なら分かるであろう。魔力測定と言えば、あのシーンである。


そう、異世界に来た主人公のステータスが周りの人々より圧倒的に高く、強く、賢いことが判明し、現地人から褒められ、畏怖されるあのシーンである。賢也の憧れのシチュエーションであった。


賢也は胸の高まりが止まらなかった。周りの人に聞こえているのではないか、と疑うぐらいワクワクしていたのだ。


それもそのはず、賢也は異世界に来たというもの、魔法は使えず、脱水症状で死にかけ、泥水を啜り、ドラゴンですらない魔物に追われ、やっと魔法が使えると思ったら、死にかけ、それを自分より身体が小さい女の子に助けられ、それをよく分からない老人に馬鹿にされてきたのだ。


これは異世界に来る前の賢也には全く経験のないことだった。いつも人々の羨望の眼差しを向けられていた賢也にとって屈辱的であったし、ストレスであったのだ。


でも、それが漸く終わることに賢也は安堵しながら、胸を高まらせていた。


そんな賢也を他所にレイチェルは


「勿論、この勝負受けるわよね。ジジイ!! 」


と自信満々に叫んでいる。賢也に魔力測定の許可など端から取る気はないようであった。


しかし、賢也はそのレイチェルの自信にさらに胸を高まらせ、期待を膨らませている。ガンテツは


「ふん、いいだろう」


と密かに闘志を燃やしながら静かに言った。レイチェルもかなりの負けず嫌いだが、ガンテツもだいぶ負けず嫌いであった。


「いいですね。それ。これから一緒に戦う仲間同士で能力を把握し合うのは大事ですからね。皆さんの魔力も測りましょう」


とニコラスはうんうんと頷きながら、提案していた。ニコラスはガンテツとレイチェルの勝負が冒険者たちの結束を高めるの役に立つと考える。そのため、彼はレイチェル達の勝負を大いに盛り上げた。


ニコラスの見立てが当たったのか、その提案に他の冒険者も盛り上がっていた。こういう賭け事は、冒険者達の大好物である。ただ、その提案に納得していない者がいたことに誰も気づかなかった。


そんな盛り上がりを更に白熱させるためなのか分からないがレイチェルは


「負けた方は勝った方に謝るのは勿論のこと、鼻でスパゲティを食べるのよ」


と罰ゲームまでも提案していた。その提案に一瞬固まるガンテツだったが、レイチェルのドヤ顔にイラついたのか


「いいだろう、負けたらスパゲティでも蕎麦でも食ってやろう」


と自信満々に言った。ガンテツにとっては賢也が強いということは万に一つもないらしい。


その提案に賢也は蕎麦とスパゲティがこの世界にあることに驚きながらも、なぜ罰ゲームが何でも道具を出してくれそうな青い猫型ロボットに出てくる罰ゲームなのか、と少し驚いていた。


何はともあれ、賢也たちは魔力測定をすることになったのである。




※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※





魔力測定をすることになった賢也達は、先程まで居たポム村の広場を後にするだけでなく、ポム村からも外に出ていた。


その際、ニコラスが村の門に何か呪文を唱えているのを賢也は見逃さなかったのだ。瞬時に魔法の匂いを察知し、賢也は


「それは何をしているんですか? 」


と目を輝かせながら聞いてみた。魔法のこととなると賢也は幼い子供のようになる。普段からこのような感情を頂いていれば真の完璧人間だっただろう。


「これかい? これはね。結界魔法だよ」


と優しく教えた。それはまさに優しい隣のクラスの先生のようだ。そして、続けて


「これがあればゴブリンや魔物を弾いてくれて、魔物が入ってくることはないんだ」


と詳しい効果も説明してくれた。賢也はそれを聞いて、誰もが疑問に思うことを思いつく。そして、その疑問をニコラスに聞いてみた。


「それがあるならなんでさっきはゴブリンが入ってきたんですか? 」


その質問にニコラスは


「おそらくだけど結界魔法の弱くなっている所にゴブリン達が攻撃して入ってきたんだと思う。この魔法最後に更新されたのはかなり昔のようだったからね」


と説明した。その説明の後、賢也はまた破られるのはないのかと少し不安になる。再び破られたら、レイチェルが村を離れている今度こそ村が大変になることが目に見えていた。


「今、魔力測定なんてやる余裕はあるんですか」


と不安そうな顔をしながら言う。いくらクズな賢也でも流石に人の生き死により、魔力測定を優先するほど腐ってはなかった。そんな不安そうな賢也にレイチェルは横から


「もー、そんなこと気にしてたの? あのね、ニコラスさんの結界魔法はこの国でナンバーワンって言ってもいいのよ。そんな人が作った魔法なんだから、賢也くんは安心して魔力測定の準備してなさい」


とニコラスを褒めながら、賢也に教えていた。褒められると思ってなかったニコラスは少し顔を赤くしながら


「国一番では無いかもしれないが、村の人達が安心出来るぐらいの物にはなっているはずだ」


と誇らしげに言う。その言葉に賢也は安心しながら再び歩き出す。そして、魔力測定に再び心を踊らせていた。


そんな会話の後も、賢也達はかなりの距離を歩いた。賢也はすぐ近くで魔力を測ると思っていたが、結構な距離を歩いていたのだ。時間にして、2時間ぐらいである。


その間、冒険者は誰も文句を言わず歩いていた。あの文句ばかり言うガンテツさえ、なにも言わず歩いていた。賢也は流石に歩く距離が長いことを文句を言いたかったが、魔力測定のことを考えれば、そんなことはどうでも良くなっていた。


賢也が息切れをし始めた数分後、ある大きな建物に着く。目的地を知らない賢也ですら、ここが目当てで来たことが分かる。その建物は大きな建物であったが、その大きさと競うが如く屋根に大きな看板がついていた。


その看板は大きいだけでなく、何語か分からない言語が書いてあった。どこの言語とも一致しない文字である。賢也は言語石の故障を疑い、首から掛けていた言語石を手に持ちじっと見ていた。すると、


「言語石は文字が翻訳できない」


とアリスが無表情ながら教えてくれた。賢也はいきなり話しかけられたことに驚きながらも、言語石が文字を翻訳できないと知る。文字を勉強しないとなぁと少し面倒くさがっていた。


ただ、その店は看板が読めないため、賢也は何の店だか判断することは出来なかったが、賢也は薄々なんの店だか気づいていた。


なぜなら、何度も読んだラノベ達にその店と似た建物が登場していたからだ。そう、それは·····


「着いたわ、冒険者ギルドよ」


とレイチェルは声高々に言う。レイチェルが大きな声を出した上に、何十人もの冒険者が急に入ってきたため、中に居た数人の人達が稀有な視線を浴びさせていた。


ただ、その視線がどうでも良くなるほど目を見張るものがそこにはあったのだ。おそらく、その建物を見て一番最初に目に入るのはそれだろう、と賢也は確信する。


そこにあったのは大きな提示版である。その掲示板の大きさは賢也の身長をゆうに超えていた。賢也の身長が180センチメートル以上あるのに、それを簡単に超えていたのま。


そして、そこには何十枚、いやひょっとすると何百枚もの紙が貼ってあった。上の方にある紙は何が書いてあるのか分からないぐらい大きな提示版だ。下の方にある紙を見てみると、その紙には大抵、何語か分からない文字と共にモンスターの絵が書いてある。ドラゴンモドキのような生物が書いてある紙もあった。


その大きな看板の横にはカウンターが五個ほどついてあった。そのカウンターには受付と思われる女性が一つのカウンターに一人づつ座っている。


レイチェルはそのカウンターの方をキョロキョロ見た後、指さして言った。


「あの人だわ」


そこには受付と思われる女性が、冒険者と思われる人の対応をしていた。その冒険者は紙袋から何かのしっぽのようなものを出し、それを何かの紙と一緒に渡している。それに対して、受付の女性はお疲れ様です、と一言言ったあと、その紙に判子を押して、お金を渡していた。


冒険者の取引ということだけは賢也は分かった。その光景に賢也は本当に異世界に来たのだと強く実感する。ラノベみたいでワクワクしていた。


お金を渡された冒険者はのそのそと、カウンターを後にして、隣の酒場のような所に行き貰ったお金全てを使い、酒を買ってすぐさま飲んでいる。その飲みっぷりはまさにひと仕事終えた冒険者のようだった。


冒険者がどいた後、レイチェルがすぐさま受付の女性に話しかける。


「受け付けさん、魔力測定したいんだけど… 使える?」


受け付けさんは賢也たちの方をチラッと見たあと、


「魔力測定ですね。ゴブリン討伐一行様がご使用でよろしいでしょうか? 」


と丁寧に聞いてきていた。


「勿論よ。よろしくね」


とレイチェルは間髪入れずに言う。


「それではこれを使って…… 」


と何かを出そうとした所、レイチェルがそれを遮るように


「あっ!? 待って!! 初めて測定する人がいるの。だから待って」


と急いで言ったのだ。余りの焦りように受付の人は若干驚きながらも、それを聞いた受付は


「そうだったんですか。それは申し訳ありません。そのようでしたら、二階の方で測定をお願いします」


と深々と頭を下げ、2階に案内した。レイチェルは


「せーふ、せーふギリギリ見えなかったよねぇ」


とふぅと息を吐き出す。何か賢也に隠したいことでもあるような焦り方であった。賢也はそのことを少し疑問に思いながらも、言われた通り階段を登って行く。それに続いてレイチェルたちも歩き出す。少し冒険者達はソワソワしているようだった。


賢也が階段を登っていた後、受付の女性がマイクに向かって何か話しているのを賢也は気が付かなかった。


そんなこんなで、目的の部屋まで着く。その部屋にあったのは大きな机と机に置かれた何個もの道具、が乱雑に置かれているだけであった。


その道具の中には、笛、ギター、包丁、鍵、杖、剣、紙、水晶玉、何かの目玉、水の入った桶、何かの鉱石など様々な物が置いてある。沢山のものが置いてあったが、どれもが関連性がよく分からない物が多かった。


「これ全部使うのか? 」


賢也は疑問そうに呟く。こんなに大量の物を使って魔力測定をするラノベを今まで一度も読んだことがなかったからだ。


それに対して、レイチェルはニヤニヤしながら


「そうでもあるし、そうでもないよ」


と言った。少し自慢げだったのが鼻につく。賢也はなんのことだかさっぱりだったが、他の冒険者達もレイチェルと同様にニヤニヤしていた。


そして、部屋のドアからゴブリン討伐とは関係のない冒険者達もぞろぞろ入ってきた。彼らは


「冒険者の通過儀礼だぞー」


など色々言いながら入ってきたのだ。


賢也は大量の冒険者達が入ってきたことに驚きながらも、その冒険者達の言葉を聞き察した。


「もしかして、この道具の中から魔力測定が出来るものを探せってこと? 」


と驚きながら言った。賢也はこれから自分が試されることを瞬時に理解する。その理解の速さにレイチェルは驚きながらも話し始めた。


「正解だよ。よくわかったね」


とぐっと親指を立てて褒める。そして、テレビのバラエティ番組の話し方で続ける。


「そう、賢也くんの言う通り、この大量の物から正解の魔力測定器を見つけるんだよ!!! 」


とレイチェルはウザイ顔をして言う。とてつもないほどのドヤ顔であった。その顔に少しイラッとしながら


「こんなの時間の無駄じゃないのか? 」


と賢也は誰もが思ったことを言う。賢也はいくら魔力測定とは言え、無駄なことはあまりしたくなかった。


それに対して


「のーのー、違うんだよねー。これも魔力測定のひとつだから仕方ないんだよねー」


とレイチェルは指を振りながら否定する。


その答えを聞き、賢也は少し不審に思いながらも賢也は机の物の多さを見て驚いた。ざっと数えても三十個以上ある。これから一つ見つけるのはかなり大変だと目を見開いて考える。


そんなことを考えていると、レイチェルが賢也の心を呼んだかの如く


「あっ、それとね。この道具達一つだけで測れるとは限らないから気をつけてね」


とニヤニヤしながら煽るように説明する。他の冒険者達もそれを聞いてかなり盛り上がっていた。ザワザワと話していた。


賢也は自分が新人いびりのようなことをされていることに気がついた。そう、これから新人いびりが始まるのであった。






評価してくれると作品作りの励みになるので、評価の方よろしくお願いします!!

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