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晴れ間

 雨は止まないどころか、夜中にさらに強くなり、朝になっても土砂降り状態だった。蒲生殿から今日は中止にしようと連絡があった。


「この雨では城攻めはきびしいですね。昨日の今日で兵たちも疲れていますし」


家臣がぼやくように言った。この雨では仕方ないが……早く光秀を討たないと秀吉が到着してしまう。一日も無駄にしたくないってのに。晴れないかなぁ。天は俺に味方しないのか。明日は晴れますように。


 ところが次の日も雨だった。今は六月、梅雨前線来てるか、そりゃ降るわ。困ったな。

 うーん、常に天気の様子を観察して、ほんの少しの晴れ間にでも速攻で損害を与える作戦はどうだ? この雨で明智勢も油断しているだろうし。よし、そうしよう。蒲生殿に雨が上がったらすぐに兵を出せるように準備しといてもらおう。もちろん、俺の配下の兵たちもいつだって出られるようにしておく。


 昼前、雨が弱くなり、やがて日の光がうっすらとさした。よし!今だ! 

 日野の方から喊声が聞こえてきた。作戦通り突撃してくれるのだろう。俺も後ろから援護できるように、兵たちを連れて今から出よう。

 家臣にそう命じて床几から立ち上がった時、知らせが入ってきた。


「蜂起した伊賀衆が、伊賀国中の城を占拠したそうです!」


あ、家臣ズが城を捨てて逃げてきた伊賀か。どうしよう、配下の武将を伊賀に向かわせて制圧すべきか? でも、そうすると明智攻めのための持ち駒が減ってしまう。何より晴れている今のうちにやっちまいたいんだよ。


「伊賀にかまうな!」


伊賀は……捨てる! 信雄は伊賀を平定するのに苦労しただろうが、本能寺後に転生(と憑依)した俺はそんなの知ったこっちゃない。伊賀に対する執着心など持ち合わせていないのだ。俺が目指しているのは伊賀一国よりもっとでかいもの──「天下」だ。信雄はバカだったから天下人になれなかったが、俺は違う。それを証明してみせる!


「安土に向かうぞ!」

「応!」


俺と配下の兵たちは雨上がりの蒸せるような湿気の中、土山を出た。目指すは安土城、光秀の首はすぐそこだ。

 光秀を討って、俺が安土城の主になる。あ、燃やさないように気をつけよう、うん。



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