光秀、安土城に入る
昼さがり──。
雨が降る中、敵の総大将、明智光秀が安土城に入ったという知らせが入った。自分の兵が制圧した信長の城に、光秀はきっと悠々と我が物顔で──。
悔しい。安土城を明智勢にとられたことはすごく悔しい。俺の読みが甘かった。冷や汗かいたし、先行きが不安になった。
だが、ここは一度ポジティブに考えてみよう。
光秀──つまり敵の総大将の首がすぐそこにあるということ。現時点で天下人になるチャンスを掴める一番近いところに俺はいる。秀吉よりも、信孝よりも、近いんだ……ん、そういえば、秀吉信孝は今どこにいるんだ?
「なあ、秀吉と信孝は今どこにいるか知ってる?」
そばにひかえていた家臣に尋ねてみる。
「信孝様は大坂にいるようです。同じく大坂にいる津田信澄様が明智と共謀していると噂があります。信孝様は信澄様を討つために備えておられるでしょう」
そういえば、元いた世界の歴史では明智光秀の娘婿の信澄は疑われて信孝に討たれたんだったな。この世界でも今日明日中にそうなりそう。
「秀吉は?」
「秀吉様は備中高松で毛利を攻めている最中です。毛利攻めを終わらせて戻ってきて我らと合流できるのはいつになるやら……」
秀吉はたしか毛利と急いで講和してすごいスピードで帰ってきたんだっけ? 有名な中国大返しだ。帰ってすぐに山崎合戦で勝利したはず。ん? 山崎合戦って何日だっけ?十二日?十三日? そのへんだよな。
「今日って何日?」
「六月五日でございます」
うーん、タイムリミットはあと七、八日くらいか。俺が誰もが認める天下人になるためには、その間に安土城にいる光秀を討たきゃな。
でも、もし討てなかった場合……、俺も山崎まで行って秀吉と合流して一緒に戦おう。山崎はたしか京都だよな。京都府のどのへんだったかうろ覚えだが、行こうと思えばすぐに行ける距離にある、はず。なんとかして光秀を討ったというポジションが欲しい。
それにしても雨が止まないなぁ。昼前から小雨が降っていたが、夕方になって強くなってきた。明日になっても降り続けるんだろうか。
雨が降っている中、安土城を攻めるの難しそう……。鉄砲使えるのかな。
まあ、大丈夫だろう。ちょっとくらいの雨だったら平気平気。小雨の場合、雨天決行ということで! 蒲生殿にもそう連絡しよう。あ、今度の先陣はどうしようかなぁ。また蒲生殿の軍に任せようか。




