スキルの名前はガチャ
この物語は辺境の地にある侯爵家の三男の話である。
ロドス・フラジリアン侯爵の三男でアシュトン・フラジリアン子息である。
この地では15歳になると教会でスキルを授かる儀式があって、フラジリアン侯爵家は戦闘魔法が得意な家系で、この3世代前から火魔法を駆使して国に貢献した事により侯爵の爵位と領地を与えられていた。長男ローレンス・フラジリアンは水魔法の使い手で次男ゼファー・フラジリアンは火魔法の使い手であった。
アシュトンは歴代の当主の中では初代と同じくらいの魔力量を持っていた。なので、現当主ロドスや重臣からは次期当主はアシュトンという声が上がっていた。
ロドスと共に15歳になったアシュトンが儀式の為に教会に訪れていた。儀式は下々の者から始まり最後に領主の子息であるアシュトンが儀式を執り行うのであった。次々と儀式が行われて、アシュトンに順番が回って来た。
教会の祭主の前にアシュトンが行き、水晶に手が触れた時に目を覆いたくなるくらいに眩しい光が出た。と思ったら、スキル名がアシュトンの頭に流れ込んで来た。祭主は水晶に浮かび上がる文字を読み上げた。
スキルは「ガチャ」その場にいた者全てが意味不明のスキル名に教会内でどよめきが起きた。ロドスはこのスキルガチャは役に立たないクズスキルだと思い、何も言わずにアシュトンを連れて領主邸に戻った。戻る馬車の中では終始ロドスは無言でいた。
ロドスは領主邸に着くと、家族全員を執務室に呼び出した。
ロドスは「今日、教会でアシュトンのスキルを賜ったがガチャという意味不明のハズレスキルを頂いたので、このフラジリアン侯爵家から破門する。今すぐ何処へでもいいから出て行け。」ゼファーは「この役立たずは早く出て行くんだな。」というと、ロドスが「今後次期当主はゼファーだ。」と宣言した。
ローレンスが「当主、アシュトンには辺境の地にある村の領主にしてはどうですか。」と助言をすると、ロドスが「あの何も無い国境付近の村か。アシュトンその地の領主を命ずる。直ちに向かうが良い。」と今すぐにでも出発しろと言わんばかりの態度で言った。
執務室を出て、アシュトンは最低限の荷物を持って外に用意されたボロボロの馬車に乗り込もうとした時に、ローレンスが「アシュトン、すまない。これ以上何も出来ず許してくれ。」アシュトンが「兄様、かばってくれてありがとう。それでは行って来ます。」と言って馬車に乗り込んで出発して行った。
アシュトンは馬車の中で獲得したスキル『ガチャ』の説明文を見ていたが、この説明文はアシュトンだけしか見れなかった。
説明文には「1日に2枚のガチャチケットが貰えます。ガチャチケットの数だけ引く事が出来ます。ガチャは1日に何回でも引ける。引かずに10回分のチケットまで待って10回分を引くと1回余分にガチャが引ける様になります。ガチャの中身のランクはSSSからCまでの6段階でガチャ(神・神獣・精霊・魔獣・魔物・武器防具・魔法・ポーション等)を引くことが出来ます。ガチャで上のランクの出る確率はSSSは100万分の1です。頑張って下さいね。と書かれていた。
初回特典があります。10回分のガチャチケットが付いていますので使って下さい。
アシュトンは説明文を最後まで読んでいた。ガチャチケットが何枚あるか、スキルガチャを起動させると、目の前にガチャガチャが現れたが、このガチャガチャも誰も見えていなかった。ガチャガチャの上部にチケット枚数がカウントされていた。今あるガチャチケットは12枚であった。
アシュトンはどういったものか知らなかったので1枚だけガチャチケットを使ってみようとしたが、どう扱うかも分からなかった。何もせずに迷っていると、チケット枚数がカウントされている横に1枚・10枚と書かれたボタンがあったので、1枚の方のボタンを押した。次に何をするとガチャが引けるんだろう。と迷っていると、下の方に回すものがあった。矢印が書いてある方に回すと、中にある丸いカプセルが1個だけ出てきた。それと同時に上のガチャチケットの枚数が11枚になっていた。
アシュトンはこの丸いカプセルがガチャという物だと理解出来た。カプセルを開けるとなかにはカードが入っていた。初級回復ポーションの画と名前が書かれていた。アシュトンは初級回復ポーションは知っていたので、ガチャにはこういった物があるというのは理解出来た。
アシュトンは馬車に揺られながら、食事を摂ろうと鞄を開けて干し肉と水を取り出して食べていた。この食事を毎食しながら国境付近の村まで何もせずに過ごしていた。
馬車で7日もかけて国境付近の村に着いて降りると、馬車は何も言わずに引き返して行った。村の入り口に立ったまま、呆然としていた。村と言っていたが、実際には廃村になっていたので、村人は誰も居なかった。廃村になって随分と経っている様で、住処となる家も住めるような物件が無さそうであった。しかし、その中で森の方に何やら建物があるのが見えたので歩いて行った。
森の中にあった建物は神殿だった。それも建てたばかりの神殿に見えたので、神殿の正面の扉を開いて中に入って行った。
そこにいたのは、猫だった。




