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私の夢は私が決める ~婚約者に「夢を叶えるために支えて欲しい」とお願いされましたけれど、勝手だと思いませんか?~  作者: ほし


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41 お茶会に招待されました (9)

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「あの、何故クレイトロワ公爵令嬢は、私に良くしてくださるのですか?」


 オフェーヌとの面識は無いに等しい。

 普段から素行の悪い息女とは違い、あるていど信頼されていると知っていたが、想定よりも自分に肩入れしてくれているように見える。好意的に捉えていたと、オフェーヌ自身も言っていた。


 コレットは、なぜ自分を優遇するのか気になったのだ。


「ポワミエ伯爵令嬢は、ロラ卿がどちらで修行なさったかご存じ?」


「いいえ、詳細までは……ただ、最初は公爵家にとしか――あ」


 コレットの様子で察したオフェーヌは、優しい笑みを浮かべながら教える。


「ええ、ロラ卿は元々、私の実家であるクレイトロワ公爵家の騎士団に所属していたの。早くに武功をお立てになったから王家の打診もあって、そちらの騎士団に移られたけれどね」


 ロデールと会話した時のことを思い出しているのだろう、懐かしそうにしながら話を続ける。


「その折に、ポワミエ伯爵令嬢のことも聞いていたのよ。今回、悪評が立ったのは何か事情があるのではと思ってね。お茶会に招待したのは、貴女とロラ卿の噂で社交界が乱れていたから、事情を聴きながら人となりを知る良い機会だと思ったの。最初から嫌な方だと聞いていたら、お呼びしていないわ」


「そうでしたか」


 コレットはオフェーヌに挨拶した時のことを思い出す。



『ポワミエ伯爵令嬢とは、たくさんお話したいと思っていたの』



 あの時は断罪を予告していたのではと身構えていたが、本当は純粋にコレットとの会話を楽しみにしていたのだ。


「私、ロラ卿に助けていただいてばかりですわ……」


 今まで、ロデールに助けてもらってばかり。

 手紙で悩みや愚痴に付き合ってもらっていたし、弟への贈り物に助言ももらった。連れられた外食先で自身の努力が実っていることを知り、どれほど嬉しかったか。

 今回だって、彼のお陰でオフェーヌに目をかけてもらえたので、危機を脱することができるだろう。


 不甲斐ないと落ち込むコレットに、オフェーヌは語りかけるような言葉をかける。


「あら、そうとも限らないのではなくて?」


「どういう意味でしょうか?」


 疑問を浮かべるコレットに、オフェーヌは意味ありげな笑みを浮かべた。


「それは、ロラ卿から直接お聞きになるべきね」


 それにしても――と、オフェーヌは言葉を続ける。


「ロラ卿は何を考えていらっしゃるのかしら。婚約破棄が成立して、すぐのご令嬢に文通の再開をお願いするなんて……」


「あの……実は、文通の再開を申し出たのは私の方からでして……」


 おずおずといった様子で、コレットは自分から文通の再開をお願いしたことを伝える。

 先ほど、軽率な行動について叱責を受けたばかり。さらに叱責されることを恐れているのだ。当然、厳しい言葉をぶつけられると思っていた。


 しかし、オフェーヌの反応は予想外なものだった。


「まあ! あらあら、そうなの!?」


 可愛らしい少女のように、嬉しそうな声を上げた。

 そして、独り言のように呟く。


「あの方の春も近そうね……」


 頭の中が疑問でいっぱいのコレットに、オフェーヌは誤魔化すように可愛らしく笑う。


「ふふ、何でもないわ」


 そう言った後、次は招待客たちへ向く。


「皆様、ポワミエ伯爵令嬢とロラ卿、ベルワーテ侯爵の醜聞はデマだとご納得いただけました?」


 その問いかけに、息女達はそれぞれ声を上げる。


「ええ」


「微力ながら、悪評の訂正に協力させていただきますわ」


 息女たちが笑顔で次々に了承した。


「コレット様のためですもの! 全力で噂を訂正いたしますわ!」


 息女たちに混じって、ベライスも同調する。


「皆様……ありがとうございます」


 コレットは薄っすらと涙を滲ませながら、感謝を述べた。


「オフェーヌ様はあのように仰いましたけれど、私はポワミエ伯爵令嬢の侍女の証言を最初から信用しておりましたのよ」


「必要になりましたら、ポワミエ伯爵令嬢が外食先で召し上がったものもお伝えしなければなりませんわね」


「み、皆様ったら!」


 息女たちは軽い冗談を言うように揶揄(からか)う。

 コレットは侍女が証言した時のことを思い出し、恥ずかしくなった。


「本筋から逸れますけれど、梨のタルトが気になりますわ。どちらで、いただけますの?」


「今話題になっている、軽食を出すお店ですわ。市場で仕入れていらしたので私も存じ上げなかったのですが、ポワミエ伯爵領の梨を使用してくださっています」


「あら、そうなの? では、領地に戻る前にいただこうかしら」


 招待客の息女に梨のタルトについて質問され、顔を少し赤らめたコレットは宣伝も兼ねて店を教えた。

 ポワミエ伯爵領のものだと知らないとはいえ、梨のタルトに興味を持ってくれたことが嬉しかったのだ。



 始めは緊張しながらお茶会に出席していたが、今はとても穏やかな時間を過ごしている。


 異国を思わせる植物や紅茶を楽しむ余裕もでき、少し辛味がありながらも、ほのかに甘い焼き菓子に舌鼓を打った。

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