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私の夢は私が決める ~婚約者に「夢を叶えるために支えて欲しい」とお願いされましたけれど、勝手だと思いませんか?~  作者: ほし


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 ポワミエ伯爵邸のコレットの自室。

 外の風が心地よく、換気も兼ねて窓が開けられている。


 ロデールに送るための手紙を書いているコレット。文面を考えたり、書く時間も含めて、楽しい時間を過ごしていた。


「良い風ね……」


 ロデールが謝罪に訪れてから、コレットは彼と手紙を送り合っていた。


 コレットは、幼いころにもロデールと手紙を送り合っていたことを思い出す。

 こんな遊びをした、あんなことが起こったなど、ささいなことばかり。それでも、彼は優しい内容の返信をくれた。


 しかし、ロデールが騎士になるための修行で実家を出て、コレットがジョイルと婚約してからは文通することは無くなっていった。

 修行の邪魔をしたくなかったし、当時コレット自身もジョイルと婚約していた。例え婚約者の兄であっても、個人の間で交流することを控えていたのだ。


 文通を再開し始めたころ、ロデールからの手紙に謝罪の文章が書かれていた。これには少し苦笑いしたが、嫌な感じはしない。手紙でも彼らしさが出ていた。

 今は無くなり、相手も純粋に楽しみながら手紙を書いていることが伝わってくる。

 内容は幼少期とほぼ同じ。相手を気遣ったり、他愛のない出来事だったり、時には愚痴を書き綴ることも。


 まだ数回ほどの、やりとり。

 それでも、ロデールとの文通でコレットは少しずつ、心の傷を癒していった。




 しばらくして、ロデールがポワミエ伯爵邸の訪問を希望する手紙が届く。




 この日、コレットは早朝から、そわそわしていた。

 ロデールが訪ねて来るからだ。


 使用人には事前に、茶葉や軽食について指示してある。

 コレットはドレスを選び、侍女に支度をお願いしていた。


「支度が終わりました。いかがでしょうか?」


「ありがとう。とっても素敵!」


 使用人が持ってきた姿見で確認し、出来栄えを褒める。

 支度の終わったコレットを待っていたのか、ちょうど良い時にノックする音が。


「どうぞ」


 コレットが返事をすると、すぐに使用人が入室する。


「失礼いたします、お嬢様。ロラ卿がお見えになりました」


「まあ! すぐに行くわ」


 使用人からの知らせを受け、すぐに玄関へと向かう。


 コレットは時間に少し余裕があると思っていた。

 接待の準備について色々と確認したかったが、その時間は無いようだ。



 足早に玄関に着くと、ロデールが使用人たちを労っている所だった。

 手にはバスケットを持っており、騎士の彼には不釣り合いだ。


「ようこそお越しくださいました、ロデール様。出迎えが遅れてしまい申し訳ありません」


 コレットが玄関の階段を降りていると、ロデールはそちらへ体を向ける。


「いや、こちらこそ早く来てしまって申し訳ない」


「いいえ、お気になさらないでください」


 お互いに、出迎えが遅れたことや早く来すぎたことを謝る。

 約束の時間は、かなり先。

 なぜ、彼がこんなにも早く来たのだろうと疑問に思ったコレット。少し意地悪のつもりでロデールに冗談を言う。


「ふふ、もしかして早くお越しになったのは、私に早く会いたかったからですか?」


 その言葉を聞いた途端、ロデールはみるみるうちに耳を赤くさせる。


 さすがに、コレットでも彼の変化に気付いた。

 まさか冗談のつもりだったのに本当なのではないかと、ドキドキする。


「あ、ごめんなさい! て、庭園にお茶や軽食の準備をしていますので、ご案内いたしますね!」 


「あ、ああ……」


 動揺したコレットがロデールを先導し、会場へと案内し始める。

 ロデールも少し、しどろもどろになりながらも彼女について行く。



 道すがら、コレットは自身の胸に両手を当てる。


 冷静になるよう、何度も言い聞かせるように。

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