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異世界召喚の傭兵操者《マーシナリー・ランナー》  作者: RABE
第二章 流星《メテオール》
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迷宮都市ストラスフォード

「此処が迷宮都市ストラスフォードか……」


「大きな防壁ね。王国の首都もだけど、この世界の都市って全部防壁に囲まれてるのかしら?」


国境を越えエクレニウス皇国に入ってから二日、目的地であった迷宮都市ストラスフォードに辿り着いた俺達は防壁の外から巨大な街を眺めていた


トレーラーで来たのだが、やはり物珍しげに眺めている商人の姿などがある、この辺りになると既に交通量が多くてトレーラーでは街道から逸れて走るしかない


「周囲にダンジョンが多いから、その暴走対策らしいぞ。それと、街の中心にも巨大ダンジョンがあるらしい。そこも防壁で囲まれてるから上から見ると二つの防壁に挟まれる形で街が存在してるようだ」


アーカイブの情報によればそもそもは中心にある巨大ダンジョンの攻略の為の拠点が拡大してこれだけの街に発展したらしい


周囲にダンジョンが多い事もそれに拍車をかけ、いまでは迷宮都市と呼ばれるまでになった、という事らしい


「ダンジョンの暴走って、いわゆる中の魔物が溢れ出すっていうお約束のヤツよね?」


「ああ、スタンピードと呼ばれるらしい。そもそもダンジョンは戦女神マルヴィナが創ったとされ、中は別空間になっているらしい。当時の聖女の受けた神託によれば、人間達の鍛練の場として創ったんだとさ。それで鍛練をサボるようならお仕置きとしてスタンピードが発生する。だから発見されていなかったダンジョンがスタンピードを起こしてしまう事もあるらしい」


「女神様が創ったのよね?」


「かなり適当な女神らしくてな、創ったら神託を下すんだが忘れる事があるらしいんだ」


「ええ……」


「ただダンジョンに発生する魔物は倒すと魔核と魔物に応じた素材、それと金貨を落としていくらしいぞ」


「まんまゲームみたいな世界ね。金貨まで落とすなんて」


「ダンジョン金貨と呼ばれてるらしい。とはいえ金メッキが施されただけで純金とは似たような重さなだけだから貨幣価値となれば全くないがな。とはいえダンジョンによって絵柄が違うらしいから、記念品として持って帰ったり、コレクターが居るらしいぞ」


俺も気持ちは分かる、ダンジョンの攻略を始めたら行ったダンジョンの記録という意味でも俺も集めよう


「それとは別に定期的に宝箱が出て来て、中に色々なお宝が入ってるらしいぞ。魔法の品、貴重な素材、金銀財宝、女神様からのご褒美って訳だな」


「へえ、ますますゲームみたいね」


「そうだな、VRゲーマーとしていつか潜ろうと思う。それと、一定以上の大きさのダンジョンにはボスがいるらしい。一定の階層ごとにも中ボスがいるみたいだ」


「完全にゲームね。女神様は人間達がダンジョンに挑む様を見て楽しんでいるのかしら」


「質の悪い神様ならそんな事もあるんだが、どうも素でやってるらしいぞ。悪意のない分、余計に質が悪いとも言えるが」


何にせよ、人間から見ても魔物が必ず出る場所であり無限沸き、更にはお宝まで手に入るとなれば旨みはあるんだよな


だから探索者の需要もある、彼等がダンジョンに潜ればスタンピードは起きないのだから、周りに街を作れば住民は探索者との商売でその利益を得られる


それでストラスフォードが此処まで発展したというのだから、全体的に見れば人類にとってはプラスなのかもしれないな


「と、流石にこれ以上はトレーラーじゃ無理だな。降りて歩くぞ」


「かなり目立つわね。まあ、此処で名を上げるつもりだから目立つ事にはなるんでしょうけど」


「ダンジョンや危険地帯には入るのに一定のランクが必要になる物もあるらしいからな。ランクを上げれば名も知れ渡る、その予行演習だと思ってれば良いさ」


「流石は世界ランカーね。目立つ事には慣れてるみたいじゃない」


「まあな。それより急ぐぞ。並んでる奴が多すぎる」


トレーラーを降りた理由としては、防壁にある門の近くでは他にも外から来た大量の旅人で溢れかえっており、トレーラーだと邪魔になると判断したからだ


トレーラーが目立っていたから俺達も注目されるが、話し掛けてくるような人間がいない事が幸いだな


列は馬車で来た人間と徒歩の人間とで別れていた


前者は身なりを見れば商人の類いが多く、後者は武器を持っている人間が多い事から探索者なのかもしれない


俺達も徒歩の方に並んで順番を待つ、此処では戦闘は想定していないが剣とHK45Tは装備している、瑠璃も同じだが剣は持っていない


端から見れば俺達も探索者の類いに見えるだろう、列に紛れてしまえばトレーラーに乗っていたとは気付かれないし、適当に雑談でもして待っていよう


「ところで、やけにこっちの列は早くないかしら?」


「どうやら探索者の出入りが多いからみたいだな。多分だが、この街の探索者組合に登録してる人間が多くて衛兵も顔を知ってるんじゃないか?」


門の方に近付いてくると、それぞれがカードのような物を提示しているのが見えてきた


ステータスカードとは違うから何かの身分証明書だろうが、それを持っている人間は手早く処理が終わって門を通っていっている


それから俺達の番が来て、手続きを行った


「身分証の提示を」


「ステータスカードで良いのか?」


「この街へは初めてか?探索者組合のギルドカードを持ってないか?」


「いや、この街で登録しようと思ってんだ」


「なら別室に行って手続きしてくれ。そっちの部屋だ」


「分かった」


どうやら探索者組合で発行している身分証があれば簡単に通れるらしいが、俺達はまだこれから登録する予定だから別室に通された、それだけ徒歩で出入りする人間は探索者が多いという事なのだろう


通された部屋で待機していた衛兵が椅子を勧めて来たので座り、瑠璃と二人揃って審査を受ける


「えー、それでは審査をしますが、来訪の目的は探索者組合への登録であると?」


「ああ、王国の方から来たばかりなんだ。それで、折角ならこの街で登録しようと思ってな」


「成る程、王国から。確かに書類も本物ですね。ところで、危険物の持ち込みの欄に《鉄騎兵》とあるのですが……」


「能力で出し入れ出来るんだ。保有数は今は三機だ」


「そ、そうですか。《鉄騎兵》を扱う探索者も、極端に数は少ないですが居なくはないですからね。分かりました、最後にステータスカードを確認して審査は終わりです」


「分かった、これがステータスカードだ」


衛兵はカードを確認すると書類の名前が間違ってないか等を確認してからカードを返してきた


どうやら問題なく入れてくれるらしい、此処でも異世界人には突っ込まれなかったが、そういう認識なのだろうか?


「そうだ、この街の探索者組合の建物は何処にあるんだ?」


「それなら初めて登録する方は南門の近くです。この街では探索者が多く集まるのでランク毎にある程度別れてるんですよ。それで低ランクの探索者は南側、中堅は北側、高ランクは中央にそれぞれ組合の建物があります。あなた方は初めての登録という事なので南側、此処とは正反対ですので、かなり掛かりますよ」


「ありがとう、観光しながら向かうよ」


「分かりました、では改めて。ようこそ迷宮都市へ。あなた方のこれからの活躍を祈っております」


衛兵に見送られ、入った時とは別の扉から外に出た


そこに広がっていたのはレンガや石で外壁を作った家々が並ぶ街だった


俺達が居るのは大通りであり、ここを真っ直ぐに行けばいずれは中央のダンジョンを囲む防壁に辿り着くのだろう


大通り沿いには民家らしき物は少なく、宿屋や雑貨屋といった商店が多く並んでいる印象がある


馬車用の道と歩道が分けられているらしく、広い道を馬車が通っている


時折、大きな鳥や蜥蜴みたいな生き物に牽かれた荷車もあり、この世界が地球とは違うと改めて実感させられた


「凄い活気ね、この街を見て回るだけで何日も過ごせるわ!」


「そうだな。とはいえこの通りにはあまり用はないな。少し横の通りから見てみようぜ。そっちは武具やポーション、素材を扱う店が多いらしいからな」


「一気にファンタジー感が出てきたわね。是非とも行ってみましょう」


多少はウルフの毛皮を換金してあるとはいえまだ資金は心許ない、せめてもう少し資金を稼ぐ為にも素材を扱ってる店で換金しておきたいのだ


「多分、この辺りだな。おっ、やっぱりだ。探索者が多く集まってるぞ」


あまり武具の良し悪しは分からないが、この辺りの店はそれなりに質の良い物を取り扱ってる気がする


見れば道行く探索者達も腕に覚えがあるのか自信に満ちた表情をしている者が多いように見えた


「中堅は北側って言ってたからな。この辺りの探索者はより上を目指してるって事だな」


「私達も早く上に上がるわよ。それで、まずはどのお店に入るの?」


「素材屋だな。どうにも探索者が持ち込んだ物を買い取って必要とする店に卸してるらしい。まあ武具の店とか、素材持ち込まれて買い取ってくれなんて言われても迷惑だろうけどな」


素材屋で質を見極めて買い取りを行うなら職人達も楽だろうし、仲介料をとっていれば儲けは出る


その分、しっかりとした目利きが必要だと思うが、それが素材屋の腕の見せ所という事なのだろう


「う~ん、此処で良いか。取り敢えず持ち込んでみるぞ、ジェノサイドグリズリーの毛皮」


どれだけの値がつくか分からないが、ウルフが毛皮一枚で王国銀貨一枚だった、それよりは遥かに高値がつくだろう


貨幣は国ごとに別で、それぞれ含有量に違いがあり、価値も別々だが一律して銅貨、銀貨、金貨の三つを使っている


そして銅貨が百枚で銀貨一枚、銀貨が百枚で金貨一枚といった形で両替も出来る


なお王国の貨幣は皇国に比べると少し劣る、大体王国と皇国の価値は1:1.2といったところだ


だから王国銀貨は両替した方が良いだろう、少なくともこの国で直ぐに使えないからな


そんな訳で皇国の貨幣を稼ぐ意味でも素材の換金だ、取り敢えず近くにあった店に入ってみた


「いらっしゃい、今日は何の用だい?」


「買い取りをお願いしたい。ジェノサイドグリズリーの毛皮だ」


「ほう、珍しいね。じゃあこっちのテーブルに出してくれ。鑑定させて貰うよ」


店内は広いがテーブル幾つか並んでいるだけで、どうやらテーブルに素材を出して鑑定していくらしい


他にも買い取りを行っているのか別の探索者のグループが幾つか店員と交渉をしていた


俺達の対応をしている店員は他よりも歳が上に見えるが、鑑定はどうなるかな


「これがこの間の毛皮ね。村では高値がつくからって売れなかったわ」


「これは!?頭を含めて全身の毛皮が綺麗に剥がれている……傷も全くと言って良いほどに無い……野生の物をこれだけ鮮やかに仕留めるとは……」


「何だ?何で野生って分かったんだ?」


「知らないのかね?ダンジョン産の毛皮は一定の大きさまでしか落ちないようになってるんだよ。これは全身がそのまま揃っている。つまりダンジョン産の物ではない証拠だ」


「な、成る程、勉強になったよ」


「それに毛並みも良い。ジェノサイドグリズリーはレアな魔物だし、その毛皮は高級品のコートの材料になったりするんだけど、これなら貴族様の御屋敷の敷物としても十分過ぎる価値がある。長年この仕事をやってるが、こんな品はそうそうお目に掛かれないぞ」


「そ、そうなのか」


なんだかこのオッサンのテンションがどんどん高くなっている、口調も早口になってきているし、毛皮を見る目が変わっている


とはいえ高く売れるなら問題ない、今は少しでも資金が必要だからな


「そうだなあ、これならば金貨50枚は払えるね」


「き、金貨50枚か。まあそれで良いか」


確か、慎ましく暮らせば一月に金貨10枚で十分という感じだったから、優に五ヶ月分の資金を手に入れた事になる


それで取引を完了にしようとしたが、それに待ったを掛ける声があった


「カナ、別の店の方が良さそうよ。少なくとも、此処よりは高値で引き取ってくれる筈だわ」


「お前がそう言うなんて珍しいな、瑠璃」


基本的な会話は俺に任せて、鑑定の間に何かに集中していた様子の瑠璃だった

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