表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】空気の読める聖女は今日でサービス終了です  作者: 秋色mai @ノラ令嬢発売中!


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/21

8. そこに直れ!!


 ルートを変えて、翌日、翌々日も馬を走らせ、開けた場所に出ます。


 ────海。


 見渡す限り青くて、広い。日の光を浴びてキラキラ光っていて、癒しの魔法を使った時に似ています。思わず馬を止めてしまいました。


「どうした?」

「海、初めて見ました」

「そうか。入江もあるから、夏になれば泳げる」


 ライアン様の手を借りて降りて、海を眺めます。海風は生ぬるくて、潮の匂いがして、改めて自由を感じました。


「エステルの瞳の色は海に似てるな」

「青いとは思ってましたが、似てますか?」

「ああ、似ている」


 金髪も碧眼も、この国で珍しくはありませんが、孤児出身なのに茶色っけがなく、どちらも澄んだ色味だったのは、聖女として持ち上げられる要因でもありました。いいとも悪いとも思ったことはありませんでしたが、こんなに綺麗な海に似ているのなら、この容姿でよかったかもしれません。もう一度眺めて、そう思いました。


「よし、満足です。先を急ぎましょう」

「領内に着いたから、もう少しゆっくりしていてもいいが。まあ満足したなら行くか」

「え?」


 思わずライアン様を見ます。そんなことは聞いてません。

 ここが、ヴェクサン辺境伯領……?


「早く仰ってくれませんか!?」

「ちょうどここが領境なんだ。便が悪いから、関所はもう少し先だが」


 崖と海、山。本当に自然が豊かで、空気がおいしいところでした。遠いのも納得です。


「想定外なほど早く着いたな。馬がもう少し疲労するかと思っていたが」

「私が手綱を持っていたからかもしれません」

「なるほど。癒しの力は凄いな」


 そんな会話をしつつ、また馬を走らせ、関所を顔でパスし、活気のある栄えた街を抜け、小高い丘の上のお屋敷に着きます。


「わぁ……」


 まさに荘厳でした。邸宅と言うよりは要塞のような形ですが、庭は綺麗に整えられ、玄関に置かれた調度品は良い物ばかり。使用人さんたちが出迎えてくれ、ライアン様はコートを預けます。


「お帰りなさいませ」

「ああ、ただいま。エステル、執事長だ。執事長、隣にいるのが……」


「ラァァァァイアン・ヴェクサン!! そこに直れ!!」


 鼓膜が破れそうなほどに大きく張りのある声で響いた怒号。即、床に座っているライアン様。いつの間にか去っている使用人さんたち。

 正面の階段の上から叫んでいる壮年の女性は、ライアン様によく似ていますが、ライアン様よりも強そうです。地ならしのように階段を下りてきて、ガッとライアン様の頭を持ちます。分厚く荒れた手に血管が浮かんでいて、ライアン様の頭がミシミシ鳴っています。


「母様に何か言うことがあるんじゃないか」

「ご報告が遅れてしまい、大変申し訳ございませんでした」

「あ゛ぁ゛?」

「次から早馬を走らせます」


 パワーイズパワーです。これは、一連の流れを報告していなかったということでしょうか。謝罪と反省、対策までとは、手慣れています。


「フン」


 どうやら許されたようで、ライアン様は呑気に首を鳴らしています。

 ……あの、絶対私の立場ってよくないですよね? この状況になるまでわかっていませんでしたが、辺境伯ってこんなに簡単に妻を決められないですよね?

 さっきまで怒り狂っていた女性がこちらを向きます。絶体絶命です。


「お見苦しいところを見せて悪かったね。私は前当主の妻でこのバカ息子の母、アデライド・ヴェクサンだ。あんた令嬢たちを殴ったんだって? 最高だね」

「お、恐れ入ります。エステルと申します。これからよろしくお願いいたします」


 ……案外好意的でした。え、本当にただ報告、連絡、相談が遅れたことを怒っていたのですか?

 アデライド様がパンパンと手を叩くと、階段の上からわらわらと女性陣がやってきます。

 

「なにその子がエステルちゃん? ライアン、あんた面食いだったのねぇ」

「姉さん、帰ってきてたのか」

「「お兄、王都のお土産は?」」

「従者に預けてある。馬車が到着するのはもう少し後だ」

「兄様、私の選んだ正装はいかがでしたか?」

「やっぱりお前のせいか……」


 どことなくライアン様に似た女性陣が勢揃い。情報量が過多です。ライアン様の肩身の狭さが伺えます。


「ええと、これは、一体……」


 面を食らうとは、このような状態のことを言うのでしょうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
女傑家族wwwエステルちゃん馴染めそうね((´∀`*))ヶラヶラ 作者様、子鹿のようになってるとの事(´・ω・`) 無理せず楽しく投稿お待ちしてますꉂꉂ(ˊᗜˋ*)ʬ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ