表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それでも、止める? ~終わり続ける世界で、たった一人がすべてを壊し始めた~  作者: Studio No.13
第1章 例外との出会い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/44

第9話「干渉」

 “それ”は、そこにあるだけだった。

 だが。

 確実に、こちらを認識している。

 静かに脈打つ。

 そのたびに。

 空間がわずかに揺れた。

(見られている)

 視線なんてない。

 目もない。

 それでも分かる。

 これは。

 こちらを“観ている”。

「……近づくなって言ったでしょ」

 ミナが、小さく言う。

 さっきよりも。

 はっきりと緊張した声だった。

「分かってる」

 短く返す。

 だが。

 視線は逸らさない。

(ここで止まっても、意味はない)

 ここまで来た。

 初めて。

 ここまで来られた。

「……やる」

 一歩、前へ出る。

 ミナが息を呑む。

「クロノ――」

 止める声。

 それでも。

 止まらない。

 手を伸ばす。

 “それ”へ。

 触れた。

 その瞬間。

 世界が反転した。

 音が消える。

 視界が裂ける。

 意識が引き剥がされる。

 ――違う。

 引き込まれている。

 景色が変わる。

 崩壊の瞬間。

 何度も見た終わり。

 街が裂ける。

 人が消える。

 そのすべての。

 ほんの直前。

 何かが。

 “ここ”から広がっていた。

(やっぱり……)

 ここが。

 始まり。

 だが。

 それだけじゃない。

 さらに奥。

 もっと深い場所。

 そこにも。

 何かがある。

「……っ」

 頭が追いつかない。

 それでも。

 見えてしまう。

 一つじゃない。

 奥がある。

 その瞬間。

「クロノ!!」

 強く腕を引かれる。

 世界が戻る。

 ミナだった。

 必死に腕を掴んでいる。

「だめって言ったでしょ!」

 怒っている。

 違う。

 怖がっている。

「……見えた」

 息を整えながら呟く。

「これ、一つじゃない」

「え?」

「奥がある」

 もう一度、“それ”を見る。

 変わらない。

 静かに。

 そこにある。

 だが。

 さっきまでとは違って見えた。

「……じゃあ、これ壊しても意味ないの?」

 ミナが聞く。

「いや」

 首を振る。

「意味はある」

 少しだけ考える。

「でも」

「これだけじゃ終わらない」

 ミナも黙って、“それ”を見つめる。

「じゃあ、どうするの?」

 その問いに。

 一瞬だけ言葉が止まる。

 今までなら。

 答えは決まっていた。

 無理だ。

 そう言って終わっていた。

 でも。

 今は違う。

「……試す」

 自然と口にしていた。

「何を?」

 脈打つ“それ”を見る。

「干渉できるか」

 ただ見るだけじゃない。

 ただ触れるだけでもない。

 変えられるか。

 確かめる。

「さっき、お前は押し返した」

 あの境界で。

 ミナは通った。

 そして。

 俺も通れた。

 何かは変えられる。

 その可能性がある。

「……やるの?」

「やる」

 迷いはなかった。

 手を伸ばす。

 今度は。

 触れるためじゃない。

 変えるために。

 空間が、ざわめく。

 “それ”が。

 わずかに脈打つ。

 応えたのか。

 拒んだのか。

 まだ分からない。

 それでも。

 クロノは、その一歩を踏み出した。

読んでいただきありがとうございます。

少しでも続きが気になったら、フォローや評価いただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ