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それでも、止める? ~終わり続ける世界で、たった一人がすべてを壊し始めた~  作者: Studio No.13
第1章 例外との出会い

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第6話「接触」

空間が、歪んでいる。

足を踏み出すたびに、感覚がズレる。

地面はあるはずなのに、踏みしめた感覚がない。

「……ここ」

ミナが小さく呟く。

その声が、わずかに遅れて届いた。

音すら、まともに機能していない。

「離れるな」

短く言う。

自分の声も、どこか遠い。

一歩、踏み込む。

視界が揺れた。

同じ場所に立っているはずなのに、景色が違う。

崩れたビルが、元の形に戻りかける。

そして、また崩れる。

人影が、同じ動きを何度も繰り返している。

(記録が、混ざってる)

時間じゃない。

“結果”だけが、ここに残っている。

「……気持ち悪い」

ミナが顔をしかめる。

それでも。

足は止めない。

「戻るか?」

「やだ」

即答だった。

「ここ、なんかある」

前を指さす。

そこだけ。

空間が深い。

沈み込むように、歪みが集まっている。

黒が、そこに集まっていた。

「……あそこだ」

確信する。

だが。

同時に――

(知ってる)

この場所を。

この感覚を。

何度も、ここに来た。

何度も、ここで終わった。

記憶が滲む。

手を伸ばす。

届かない。

崩れる。

飲み込まれる。

繰り返し。

繰り返し。

「……やめろ」

思考を切る。

今は違う。

ミナがいる。

それだけが。

今までと違う。

「クロノ?」

「……行くぞ」

前へ進む。

一歩。

二歩。

距離が縮まる。

その瞬間。

“見られた”。

「――っ!」

頭の奥に、何かが入り込む。

視界が黒に染まる。

音が消える。

代わりに――

理解できないものが流れ込んでくる。

言葉じゃない。

意味でもない。

ただ。

“そうであるもの”。

「……ぁ……っ」

膝が崩れる。

立っていられない。

(やられる)

これは防げない。

今までと同じだ。

ここで終わる。

――違う。

「……クロノ!」

声。

手を引かれる。

現実に引き戻される。

ミナ。

その手が震えている。

「だめ」

彼女は黒を見ていた。

「それ、触っちゃだめ」

直感。

でも。

正しい。

黒が形を持ち始める。

輪郭のない輪郭。

こちらへ伸びる。

逃げ場はない。

「ミナ、下がれ――」

「いや」

遮る。

そのまま一歩、前に出る。

「止める」

その言葉に迷いはない。

だが。

体は限界だった。

呼吸が浅い。

手が震えている。

「やめろ、それは――」

「でも、やる」

ミナが手を伸ばす。

黒へ向かって。

空間が震えた。

歪みが押し返される。

黒の動きが止まる。

「っ……!」

ミナが息を詰める。

顔が歪む。

苦しそうに。

それでも――

止めている。

さっきより長く。

(……維持してる?)

違う。

止めているんじゃない。

“押し留めている”。

「……これ」

無意識に呟く。

「止めてるんじゃない」

黒が揺れる。

抵抗するように。

「書き換えてる……?」

違う。

もっと正確に。

(“結果”を、上書きしてる)

黒が歪む。

ミナの膝が崩れかける。

「……っ、は……っ」

「……あれ」

ミナが苦しそうに呟く。

「なんで……こんな……」

限界だ。

「もういい!」

腕を掴む。

「離れろ!」

その瞬間。

黒が、一気に弾けた。

衝撃。

視界が白に染まる。

次に見えたのは――

“奥”。

歪みの向こう。

さらに深い場所。

そこに。

“何か”があった。

巨大な。

静かな。

終わりのようで。

始まりのようなもの。

「……あれ」

ミナが呟く。

「まだ……ある」

当然だ。

これは終わりじゃない。

ここは――

「起点の、“入口”だ」

言葉にする。

理解してしまった。

今まで。

ここで終わっていた理由。

その先へ進めなかった理由。

でも。

今回は違う。

ミナがいる。

「……行けるか?」

「うん」

少しだけ膝を震わせながら。

それでも。

笑った。

終わりの奥へ。

初めて。

踏み込もうとしていた。

読んでいただきありがとうございます。

少しでも続きが気になったら、フォローや評価いただけると嬉しいです。

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