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それでも、止める? ~終わり続ける世界で、たった一人がすべてを壊し始めた~  作者: Studio No.13
第1章 例外との出会い

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第5話「選択」

止まっていた世界が、軋み始めていた。

遠くで、ガラスが割れる音が遅れて響く。

崩れかけたビルの破片が、ゆっくりと落ちる。

時間が、戻りきっていない。

それでも確実に――動き出している。

「……行くぞ」

歩き出す。

ミナもすぐに後ろをついてくる。

「どこに?」

「中心だ」

短く答える。

「崩壊はいつも、あそこから広がる」

視線の先。

街の奥、高く突き出た塔。

何度も見てきた。

何度も、あそこで終わった。

(今回も同じなら――)

「そこに“起点”がある可能性が高い」

ミナは「ふーん」と小さく頷く。

納得しているわけではない顔だった。

しばらく進む。

ひび割れた道路。

傾いた信号。

止まったままの人影。

その一人の瞳が――一瞬だけ、動いた。

「……っ」

足を止める。

「え、どうしたの?」

「今……見たか?」

「え?」

ミナは振り返る。

さっきまでそこにいた男は、また静止していた。

何事もなかったかのように。

(ズレてる)

時間も、存在も。

完全には戻っていない。

――侵略が、混ざっている。

「急ぐぞ」

嫌な予感がする。

このままじゃ、間に合わない。

数分後。

「ねえ」

ミナが足を止める。

「こっちじゃない気がする」

「は?」

振り返る。

ミナは、来た道と反対の方向を見ていた。

「なんか……変」

「変なのは全部だ」

即答する。

「でも、こっちの方が……嫌な感じする」

「さっきと、同じ感じ」

直感。

根拠なし。

「却下だ」

歩き出す。

「中心が起点だ。それは変わらない」

何度も見てきた。

何度も、繰り返してきた。

例外なんて――

「でも」

ミナは動かない。

「さっきも、分かんなかったけど当たったでしょ?」

足が止まる。

(同じ感覚……?)

(偶然じゃないなら――条件がある)

事実だった。

否定できない。

「……それは」

言葉が続かない。

理屈が、追いつかない。

「……一回だけだ」

「でもゼロじゃないよ」

振り返る。

ミナは、真っ直ぐこっちを見ていた。

迷いはない。

「行ってみよ?」

軽い。

あまりにも軽い選択。

だが。

(今までの“正解”は全部外れた)

なら。

「……チッ」

舌打ちする。

「五分だけだ」

「やった」

ミナが笑う。

その方向へ進む。

空気が、変わる。

重い。

粘つくような違和感。

「……近いな」

黒の気配が濃い。

周囲の景色が、微妙に歪む。

直線だったはずの壁が、曲がって見える。

「ね、ほら」

ミナが指さす。

その先。

何もないはずの空間が、歪んでいた。

「……あれ?」

ミナが小さく首をかしげる。

「なんか……さっきより近く感じる」

(距離が……変わってる?)

空気が沈み込むように、そこだけ“深い”。

「……なんだ、これ」

一歩近づく。

瞬間。

耳鳴りがした。

――音が、ある。

ここだけ。

止まっているはずの世界の中で。

微かに、何かが“鳴っている”。

「聞こえる?」

「……ああ」

低い音。

脈のような。

鼓動のような。

(ここだ)

確信する。

理屈じゃない。

だが、分かる。

ここに――何かがある。

そのとき。

空間が、大きく歪んだ。

「っ――!」

黒が、集まる。

周囲から、流れ込むように。

この一点に。

(起点……!)

だが。

次の瞬間。

“それ”が、こちらを見た。

「――っ」

息が詰まる。

形はない。

輪郭もない。

ただ。

確実に、“認識”された。

「ミナ、下がれ」

反射的に腕を引く。

遅い。

黒が、溢れる。

空間が裂ける。

世界が、悲鳴を上げる。

「……ここ、嫌だ」

ミナが呟く。

その声。

震えていた。

その瞬間。

空間が、わずかに歪む。

初めてだった。

こいつが、“怖い”と言ったのは。

(まずい)

これは――今までの崩壊と、違う。

「……ここ、知ってる」

その言葉が、無意識に漏れた。

ありえないはずの記憶。

でも確かに――

“ここで、何度も終わっている”。

選択を、間違えたのか。

それとも――

ようやく辿り着いたのか。

読んでいただきありがとうございます。

少しでも続きが気になったら、フォローや評価いただけると嬉しいです。

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