第43話「足跡」
白は。
静かに。
続いていた。
一つ。
また一つ。
二人の歩く先へ。
灯る。
消えない。
クロノは黙って見つめる。
「……行こう」
今度は。
クロノから歩き出した。
ミナも何も言わず。
その隣へ並ぶ。
白い光は。
二人の歩幅に合わせるように。
少し先で。
静かに灯り続ける。
「不思議だね」
ミナが小さく笑う。
「こんなに静かなのに」
「うん」
「なんだか怖くない」
クロノは少しだけ考える。
「……怖い」
ミナが足を止める。
「え?」
「怖くないわけじゃない」
白を見つめる。
「何が起こるか分からない」
「危険かもしれない」
「……それでも」
一歩。
踏み出す。
「確かめたい」
その言葉に。
ミナは少しだけ首を傾げた。
「変わったね」
「……そうか?」
「前なら」
少し笑って。
「危ないからやめるだったじゃん」
クロノは答えない。
否定できなかった。
今までなら。
分からないものには近づかなかった。
それが正しいと思っていた。
でも。
今は。
分からないからこそ。
知りたいと思っている。
二人は歩く。
白は。
静かに続いていく。
やがて。
クロノの足が止まった。
「……どうしたの?」
ミナが隣へ来る。
クロノは足元を見つめていた。
「これ」
床に。
薄く。
何かが残っている。
白に照らされて。
ようやく見えるほどの。
かすかな跡。
「……足跡?」
ミナがしゃがみ込む。
小さく。
擦り切れている。
古い。
今ついたものじゃない。
「私たちのじゃないね」
「ああ」
足跡は。
一つだけじゃない。
いくつも。
同じ方向へ続いている。
まるで。
誰かが。
何度も。
この道を歩いたように。
クロノは静かに目を細める。
「……誰だ」
答える者はいない。
ただ。
白だけが。
静かに灯っていた。
二人は。
足跡を追う。
その先へ。
白は途切れることなく。
続いている。
そして。
足跡も。
また。
白の先へと続いていた。
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