表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それでも、止める? ~終わり続ける世界で、たった一人がすべてを壊し始めた~  作者: Studio No.13
第4章 拾われた願い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
36/44

第36話「拾う」

 白が揺れていた。

 静かに。

 何かを肯定するように。

『そうだ』

 人影の声が落ちる。

『だからお前はここにいる』

 クロノは動けない。

 胸の奥が重い。

 呼吸が浅くなる。

 違う。

 違うはずだ。

「俺は……」

 言葉が続かない。

 否定したいのに。

 否定できない。

 視界の奥で。

 あの笑顔がまだ残っている。

『楽しいな』

『次は上手くいく』


『諦める理由にはならない』

 その声が。

 頭の奥で反響する。

「やめろ……」

 思わず漏れる。

 人影は止めない。

『やめるのはお前だ』

『ずっとそうしてきた』

 白が揺れる。

 まるで記録の海が呼吸しているように。

「俺は……捨てたんじゃない」

 クロノの声が震える。

「必要なかっただけだ」

 沈黙。

 人影は少しだけ黙る。

 そして。

『そう思うことで』

『楽になりたかったのか 』

 クロノの肩が跳ねる。

 心臓が痛い。

 言い返せない。

「違う……」

 それだけ。

 弱い否定。

 そのとき。

「違うよ」

 ミナの声。

 はっきりと。

 白の中で響く。

 クロノが振り向く。

「何がだ」

「捨てたとかじゃない」

 ミナは白を見上げる。

「置いただけでしょ」

 沈黙。

 人影が一瞬止まる。

 クロノも止まる。

「……置いた?」

「うん」

 ミナは続ける。

「だってさ」

「本当にいらないなら」

「こんなとこ残らないじゃん」

 白が。

 ほんの少しだけ揺れた。

『……』

 人影の声が消える。

 代わりに。

 静けさだけが残る。

 クロノの中で何かが引っかかる。

 “捨てた”じゃない。

 “残っている”。

 その違い。

「じゃあ……」

 クロノが呟く。

「俺は何をした?」

 ミナは少しだけ笑う。

「選んだんじゃない?」

 その瞬間。

 白が一斉に揺れた。

 音のない揺れだった。

 拒絶ではない。

 否定でもない。

 むしろ――

 理解しているような揺れ だった。

『……そうか』

 人影の声が低くなる。

『ようやく』

『入口だ』

 クロノの視界が揺れる。

「入口……?」

『思い出すための』

『最初の場所だ』

 白がひとつだけ強く光る。

 クロノの足元が消える。

「っ──」

 ミナが手を伸ばす。

「クロノ!」

 しかし。

 白が飲み込む。

 視界が崩れる。

 落ちる。

 どこかへ。

読んでいただきありがとうございます。

少しでも続きが気になったら、フォローや評価いただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ