表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それでも、止める? ~終わり続ける世界で、たった一人がすべてを壊し始めた~  作者: Studio No.13
第4章 拾われた願い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
34/44

第34話「忘れていたもの」

 眩しい。

 何も見えない。

 白。

 白。

 白。

 どこだ。

 そう思った瞬間。

 景色が切り替わる。

 空だった。

 青い。

 どこまでも青い。

 風が吹いている。

「ありえない」

 誰かの声。

 聞き取れない。

 だが。

 楽しそうだった。

 笑い声。

 知らない。

 知らないはずなのに。

 懐かしい。

「……なんだ」

 クロノが呟く。

 すると。

 景色の向こうで。

 誰かが振り返った。

 黒髪。

 自分と同じ。

「っ」

 息が止まる。

 顔は見えない。

 だが。

 分かった。

 あれは。

 自分だ。

 今より少し若い。

 少しだけ幼い。

 クロノだった。

 そのクロノが笑っている。

 楽しそうに。

 心の底から。

「……違う」

 思わず声が漏れる。

 知らない。

 こんな自分は知らない。

 こんな顔をする自分を。

 知らない。

 景色が変わる。

 次。

 誰かと話している。

 また笑っている。

 次。

 誰かを助けている。

 次。

 誰かに怒られている。

 次。

 失敗している。

 それでも。

 笑っている。

「なんでだよ……」

 クロノの声が震える。

 失敗している。

 なのに。

 絶望していない。

 立ち上がっている。

 何度も。

 何度も。

 何度も。

 景色が流れる。

 成功。

 失敗。

 成功。

 失敗。

 成功。

 失敗。

 それでも。

 前へ進む。

 前へ。

 ただ前へ。

 そこで。

 声が聞こえた。

『楽しいな』

 若いクロノの声。

『次は上手くいく』

 景色が止まる。

 クロノの思考も止まる。

『次は』

『もっと上手くできる』

 その言葉に。

 胸が痛んだ。

 なぜだ。

 なぜ。

 こんなにも。

 苦しい。

 失敗しているのに。

 悔しそうなのに。

 それでも。

 嬉しそうだから。

『諦める理由にはならない』

 若いクロノが笑う。

『だろ?』

 その瞬間。

 景色が砕けた。

 ガラスみたいに。

 音もなく。

 砕け散る。

「っ!」

 クロノが手を伸ばす。

 届かない。

 消えていく。

 若いクロノが。

 笑顔のまま。

 消えていく。

『だから』

 最後に。

 声だけが残る。

『なんで忘れたんだ?』

 ドクン。

 肩が脈打つ。

 目の前が暗転する。

 そして。

 再び。

 白の部屋。

 大きな白の前。

 人影が立っていた。

『見ただろう』

 静かな声。

『お前が捨てたものだ』

 クロノは答えられなかった。

 ただ。

 胸の奥だけが。

 ひどく痛かった。

読んでいただきありがとうございます。

少しでも続きが気になったら、フォローや評価いただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ