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それでも、止める? ~終わり続ける世界で、たった一人がすべてを壊し始めた~  作者: Studio No.13
第4章 拾われた願い

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33/44

第33話「待ち続けた者」

 人影が立っていた。

 白の中心。

 大きな光の前。

 輪郭だけが見える。

 顔は見えない。

 男なのか。

 女なのか。

 それすら曖昧だった。

 だが。

 分かる。

 ずっと。

 この場所にいた。

 そんな気配だけはあった。

「……誰だ」

 クロノが問う。

 人影は答えない。

 ただ。

 静かにこちらを見ている。

 ミナが一歩前へ出た。

「ねぇ、聞いてるんだけど」

 反応はない。

「無視?」

「やめろ」

 クロノが止める。

 なぜか。

 敵意を向けてはいけない気がした。

 すると。

 人影が初めて動く。

 ゆっくり。

 ゆっくりと。

 右手を上げる。

 そして。

『来たか』

 声。

 今まで何度も聞いた声。

 クロノの肩が脈打つ。

「お前が」

『そうだ』

「ずっと話しかけてきた奴か」

 人影は否定しない。

『少し違う』

「何?」

 ミナが首を傾げる。

『話しかけていたのは私だけではない』

 その瞬間。

 周囲の白が揺れた。

 ひとつ。

 またひとつ。

 まるで呼応するように。

『ここにいる全員だ』

 ゾワッ。

 空気が震える。

 クロノが周囲を見る。

 無数の白。

 今まで記憶だと思っていたもの。

 今まで感情だと思っていたもの。

 違う。

 それだけじゃない。

 見られている。

 そんな感覚。

「全員……?」

『お前を待っていた』

 ドクン。

 肩が脈打つ。

『長く』

『長く』

『長く』

 その言葉と共に。

 周囲の白が明滅する。

 まるで。

 同意するように。

「意味が分からない」

 クロノが言う。

「俺はお前達を知らない」

『そうだろうな』

「なら何故だ」

 少しの沈黙。

 人影が答える。

『忘れたからだ』

 クロノが固まる。

 ミナも目を見開く。

『お前は』

『何度もここへ来た』

『何度も私達と話した』

『何度も』

『決断した』

 頭痛。

 視界が揺れる。

「っ……」

 知らない。

 そんな記憶はない。

 あるはずがない。

 なのに。

 心の奥が。

 否定できない。

『だから』

 人影が一歩近づく。

『まず問おう』

 顔は見えない。

 それでも。

 笑った気がした。

『今のお前は』

『誰だ?』

 クロノの思考が止まる。

 名前ではない。

 そう感じた。

『世界を止める者か』

『誰かを救う者か』

『諦めた者か』

『それとも』

『まだ思い出していないだけか』

 沈黙。

 答えられない。

 答えを持っていない。

 すると。

 隣で。

「クロノだよ」

 ミナが言った。

「え?」

「クロノはクロノ」

 人影が黙る。

 ミナも続ける。

「まだ分かんないならそれでいいじゃん」

「ミナ……」

「だって今決めろって無理でしょ」

 人影はしばらく黙っていた。

 やがて。

『なるほど』

 小さく笑う。

 初めて。

 少しだけ。

 優しい声だった。

『確かに』

『昔のお前なら』

『そう答えなかった』

 クロノの目が揺れる。

『だが』

『悪くない』

 その瞬間。

 大きな白が輝く。

 部屋全体を包むほどに。

 そして。

 人影が言う。

『では』

 少しだけ。

 懐かしそうに。

『思い出せ』

 白い光が弾ける。

「っ――」

読んでいただきありがとうございます。

少しでも続きが気になったら、フォローや評価いただけると嬉しいです。

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