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それでも、止める? ~終わり続ける世界で、たった一人がすべてを壊し始めた~  作者: Studio No.13
第2章 過去の残響

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第11話「干渉の代償」

 黒が、再び動き出す。

 ゆっくりと。

 それでも確実に。

 こちらへ近づいてくる。

「……来る」

 クロノが小さく呟く。

 状況は理解している。

 だが。

 一つだけ。

 理解できないことがあった。

 さっき。

 黒が止まった理由。

「ミナ」

「うん」

「さっき、何をした」

 ミナは困ったように笑う。

「……分かんない」

 正直な答えだった。

「なんか」

「だめだって思って……」

 少し視線を落とす。

「そしたら、止まってさ」

 クロノは小さく息を吐く。

「理屈はない、か」

「……だめ?」

「いや」

 首を振る。

「その方が厄介だ」

 ドクン。

 黒が大きく脈打つ。

「っ……!」

 ミナが一歩前へ出る。

「待て」

「でも——」

「いいか」

 少しだけ声が強くなる。

「今のは偶然じゃない」

「お前は何かをした」

「……うん」

「なら」

「もう一度できる可能性がある」

 ミナは頷いた。

 ゆっくり。

 手を伸ばす。

「……止まって」

 小さな声。

 祈るようで。

 けれど。

 どこか真っ直ぐだった。

 その瞬間。

 空間が歪む。

 黒が。

 ぴたりと止まった。

「……やっぱり」

 クロノが目を細める。

 偶然じゃない。

 再現できた。

「やった……!」

 ミナが笑う。

 だが。

「……あれ?」

 その笑顔が止まる。

「どうした」

「なんか……変」

 胸元を押さえる。

「ちょっと……苦しい」

 クロノの表情が変わる。

「息が……しにくい、っていうか」

 その途中で。

 体が揺れた。

「おい!」

 慌てて支える。

 軽い。

 あまりにも。

「……大丈夫」

「ちょっとだけ……」

 笑おうとしている。

 それでも。

 顔色は明らかに悪かった。

 ドクン。

 再び。

 黒が脈打つ。

 今度は止まらない。

「……もう一回」

 ミナが体を起こそうとする。

「やめろ」

「でも——」

「やめろ」

 今度は。

 迷いのない声だった。

「……なんで」

 かすれた声。

 クロノは少しだけ黙る。

「……減ってる」

「え?」

「お前の中の何かが」

「減ってる」

 根拠はない。

 それでも。

 何千回も世界を見てきた感覚が。

 警鐘を鳴らしていた。

「これ以上は」

 その先が言えなかった。

 ミナは少し黙って。

「……そっか」

 小さく頷く。

 そして。

「じゃあさ」

 顔を上げる。

「使いすぎなきゃいいんだよね」

 軽い。

 あまりにも。

 だけど。

 それがミナだった。

 ドクン。

 黒が。

 さらに脈打つ。

 時間がない。

「……一回だけだ」

 気づけば。

 そう言っていた。

「え?」

「一回だけ」

「その代わり」

「無理だと思ったらやめろ」

 一瞬の沈黙。

「……うん!」

 ミナが手を伸ばす。

「——止まって!」

 空間が歪む。

 黒が止まる。

 その代わり。

 ミナの力が。

 一気に抜けた。

「……っ!」

 崩れ落ちる。

 クロノが抱き止める。

「ミナ!」

 返事はない。

 呼吸はある。

 だが。

 意識が戻らない。

 静まり返る世界。

 止まった黒。

 腕の中の少女。

 クロノは動かなかった。

 長い沈黙。

「……なるほどな」

 小さく漏れる。

 何かを変えれば。

 何かが失われる。

 そんな気がした。

「……ふざけるな」

 自然と言葉が零れる。

 こんな形でしか。

 世界は変えられないのか。

 腕の中のミナを見る。

 軽い。

 あまりにも。

 それでも。

「……行くぞ」

 返事はない。

 それでも。

 クロノは立ち上がった。

 少女を抱えたまま。

 一歩。

 前へ進む。

 止まった世界の中を。

読んでいただきありがとうございます。

少しでも続きが気になったら、フォローや評価いただけると嬉しいです。

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