月面特殊部隊エイア
0.5秒は長い方。
「おい、待て‼︎」
「待てと言われて、待てる者がいると思うか⁉︎」
「いや、いるでしょう。犬はとても立派ですよ? 躾ければちゃんと従う……ほら、犯罪者のあなたとは大違いですねぇ」
「「うるせぇ‼︎」」
「いや、せめて……てっさはそっちの肩を持たないで欲しいんですがねぇ」
やばいやばいやばい⁉︎ 俺の名前はカクカク。現在、誰かから逃げている一般的で普遍的な犯罪者だ‼︎ やべぇ。このままじゃ、逃げきれねぇヨォ‼︎
「このままじゃダメかぁ……倣装‼︎」
「RAの模造品ですか。面白くない、不愉快ですね。それに……汚らわしい」
RAってのは、人間が怪人に対抗する為に開発した装着するだけでアニメでよく見るロボットみたいな動きが出来るとんでもパワードスーツなんだ‼︎
つ、ま、り、今の俺は無敵ってことさ‼︎
「調子に乗ってるところ悪いんだが……ちょっと、電話させてくれるんだぜ?」
「もちのもちのもちろんだ‼︎」
「あ、あぁ〜ちょっと犯罪者がいてさぁ。周りの人はうぐいすが遠ざけてくれたから、承認……お願いして良い?」
「お〜い、まだか〜?」
「あ、遅れてごめんだぜ‼︎ さてさて……蒸身‼︎」
目の前にいた男……どうやらてっさと呼ぶらしい人は、俺よりももっと強そうなパワードスーツを着た状態へと変化した。
こいつはやべぇ。本能でそう分かる。こりゃ捕まるわ。いや、諦めないけど……無理じゃない?
というか、なんで俺はちゃんと律儀に待ったんだよ⁉︎
「名乗るのが礼儀って聞いたから、とりあえず名乗っておくぜ‼︎ 俺の名前は、ジャンズマグナム‼︎ 平和の為なら、犯人も星も撃ち落とすぜ‼︎」
ジャンズマグナムか……聞いたことが無いなぁ。
にしても、にしてもだ。こんなに早いパワードスーツの装着。俺でなきゃ見逃しちゃうね。
あの装着、0.5秒にも満たないだろう。
俺が一流だとすれば、お相手は超一流みたいなものなのだろう。一流と超一流……たった一文字違うだけだが、それはとても大きな意味を齎すだろう。
「このうぐいすを忘れないでもらいたい……蒸身‼︎」
こちらも、0.5秒に満たない……やはり、俺でなきゃ見逃しちゃうだろう。こりゃ、無敵なわけだ。
「ジャンズブレード‼︎ ……と、名乗っておきます」
流石の俺も、二対一はとても厳しい。ならば、ならばこそ、撤退も致し方ないとなるだろう。無敵でも、完璧じゃあないんだ。
しかたない……しかたない‼︎
「ほらぁ……マシンガンをくらえぇぇぇぇ‼︎」
「野蛮ですね。文明の力を扱っておきながら、その愚かな行動と言動……案外、いるものですね。救えないものは」
ジャンズブレードの名乗る男は、その持っている剣のような……というか、実際剣なのだろう武器を用いて、マシンガンから放たれた弾を弾き飛ばしている。
なんだこいつは⁉︎
「必殺……ジャンズスラッシュ‼︎」
回避しようとしたが、結局ダメージを受けてしまった。そりゃもう……ブシュッって、ブシブシって感じに勢いよく切り裂かれちまった。
だけど、この模造RAには空中戦装備がある。こいつを使えば、こんな奴ら気にせずに宇宙に飛び出せるんだった。
とりあえず起動させて、勢いよく宇宙へと逃げ出す。
本当は擬似大気圏辺りで出られなくなるんだが、色々と運が良い。これが、無敵……最高……最強だ‼︎
「く……金星への定期便に紛れ込むとは、予想外だったんだぜ‼︎」
「あんな事出来るのは、普通の人間ではない。率直に言って馬鹿だと思っていたが、想像以上に天才だったか」
「ははははははは‼︎ 負け犬たちがうるさいなぁ‼︎」
宇宙に出て、次の目的地へと向かう。流石に、ここまで来れば追っても追って来れないだろう。
そう、勘違いしていた。
「逃がさない……ん、だぜ‼︎」
「なぁにぃ⁉︎ こんな、事が、許されるのかぁ⁉︎」
「無法者には、ルール無用なんだぜ‼︎ さてと、これで鬼ごっこも終わりだぜ‼︎ 必殺……ジャンズブラスト‼︎」
一筋の……たった、一筋の閃光が俺を貫いた。正確には、俺の左手だったが。そんな些細なことは関係ない。
屈辱、く、つ、じ、ょ、く‼︎ やはり、許されない‼︎
「ここまで愚かな人間も、初めて見ましたよ。というわけで、逮捕です」
「逮捕だぜ‼︎」
かつて悪の組織が地球を襲い、地球が荒廃してしまった事件があった。それで地球から脱出し、別の惑星へと移住。こうして、Galactic.Century(略してGC)の歴史が始まった。
まあ歴史といっても、まだGC13年だ。
俺がいるのは、月面の月面帝国。人類がどうやって別の惑星に移住しているかはよく知らない……というか、聞いてても理解出来なかったぜ‼︎
「自分の無知をひけらかしてどうするんです」
紹介が遅れたな。俺の名前は、狩崎てっさ。そんで今ツッコミを入れてきたのは、森永うぐいす。俺の同僚だ。
「まあ仕方ないだろ? 俺は根っからの体育会系‼︎ 運動と歴史以外は得意じゃないぜ‼︎」
「そんな事より、今回の任務は何だと思う?」
俺達は、月面帝国絡みの警察じゃ解決出来ない特殊案件を解決する事を専門とする特殊部隊……エイアだ。
今は惑星間や銀河間は仲良いから良いが、この世界には人を襲う怪物や怪人が沢山いる。
そんなのから人を守るのは、基本的に月面軍や月面警察だがな。
「……ようこそ、私の部屋へ」
出迎えてくれた仮面をつけている男は、俺達の組織の隊長であるカリバー隊長である。
四六時中仮面をつけていて、噂では月面帝国の官僚かお偉いさんが名前や声を変えてるとか言われてるけど、真偽は不明だ。
まあ、カリバーなんて名前の人は中々いないわな。
「今回二人に挑んでもらう任務は、地球です」
「地球? 初めての任務場所ですね。まさか、ライダーズと何か関係が?」
ライダーズ。幾度となく世界を救ったとされる英雄達であり、強さとかも段違いらしい。
GCの歴史上、地球での戦闘は大体ライダーズ絡みだったそうだ。確かにまあ、気になるわな。ライダーズ絡みだったら特殊案件超えるだろうし。
「おそらく今回は、関係がないとされている。誰からの情報なのかは伏せておくが、地球に何故か霧に囲まれた荒廃していない地域があるらしい」
「なるほど‼︎ ありえない現象が起きてて、その謎を調査してほしいって事か‼︎ 戦闘の可能性を考えると、確かに特殊案件だ」
とりあえず会議に会議を重ね、更に会議で三乗しながら進めていった。え、(1×1)の三乗では何も変わってない? 実際、一回しか会議はしていないぜ。
「まず先に、てっさが地球に突入して潜入方法を探す。あの霧の中に入れる事が分かったら、うぐいすが突入するという感じだな……健闘を祈る」
「「はい‼︎」」
「大気圏突入用意‼︎」
「今回のミッション。わざわざ我らが部隊のエースを突入させるほどではなかったのでは?」
「私の勘だよ。これは、とんでもない案件だと」
「そうですか」
「大気圏突入まで5……4……3……2……1……今‼︎」
RAの設定は、別のRecordで使う予定です。なので今回は、言うなれば先行登場ですね。
もう一つ話をしておくと、今回出てきた《ライダーズ》という存在ですが、この人達はあくまでGCの舞台設定であり、直接この物語には関わってきません。
忘備録というのは忘れないように記したもの。それに対してライダーズは、ちょっと歴史に残りすぎてる存在ですから。




