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英雄達の忘備録  作者: 雪下ソユキ
Record2:銀河の片隅で
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ソラを夢見る者

ここからRecord2に入ります。世界観もがっつり変わります。

 いつか、いつだっただろうか。

 母が生きていた頃、地球の遥か先……宇宙について話してもらった事がある。


 いつもいる大きなのはお月様……まあ、たまにいない時もあるけど。


 こんな場所から出て、いつか月に行ってみたい……それが、僕の夢だった。



 ここは神逸村。森に囲まれ、外の人との関わりが殆ど無いのが特徴である。外にはビルとかいうのがあるらしいけど、ここでは見た事がない。


 僕にとってはこの村が世界で、僕の形だった。


「お〜い、テラス〜‼︎ 宴だぞ〜?」


「うん。分かった」


 僕の名前はテラス。何故こんな名前にしたのかは分からないけど、好きな名前だ。


「「宴だ宴だ〜‼︎」」


 もうそろそろ、神逸村の祭りの季節だ。豊穣を願って、厄を炎に燃やすお祭り。その炎はいつだって綺麗で、僕はその炎が好きだった。


「お〜い。こっちで遊ぼうぜ‼︎」


 僕を呼んだのはインティ。ライチとルイチとへーリオスも含めて、子供グループが形成されている。


「今日は何にする?」


 これがインティ。いつも僕達をまとめてくれるリーダー的なポジションだ。


「あ〜、鬼ごっことか?」


 これがライチ。最年少の女の子で、鬼ごっこが好き。


「いやいや、かくれんぼでしょ」


 こっちがルイチ。別にライチと姉妹というわけでもないし、逆にかくれんぼ派として鬼ごっこ派のライチと対立するくらいだ。


「じゃあ間をとってお絵描きを」


 へーリオス。お絵描き大好きな少年。


「「「どうしてそうなる⁉︎」」」


 これが、いつもの日常である。


 僕がまだ、この平和な日常が続くという事を信じ込んでいた頃だった。




「そういえばお父様、選(・)ば(・)れ(・)た(・)人(・)にはもう会えないのですか? 全然帰ってきてくれませんが」


「……世界は広いんだ。こんな村に帰ってくるより、ずっと外の世界で楽しんでた方が良いだろう」


「良いな〜僕も選ばれたい」


「口を慎みなさい。未熟なまま外に出ても、すぐに失敗するのがオチだぞ」


「は〜い」


 祭りの日、いつも誰かが選ばれ、外の世界に連れて行かれるという。僕も早く、外の世界を見てみたい。




「今年の生贄は、君の息子となった」


「は⁉︎ 流石に早すぎるでしょう⁉︎」


「うるさい‼︎ 口を慎め‼︎ これは天命であり、逆らおうとすると運命に殺される事になる‼︎」


「は、はい……」




 翌日……翌日?


 僕は起きたら、なぜか風呂敷に包まれて何処かに運ばれていた。怖い。真っ暗で、何処に向かってるか全然分からない。


「お〜い、もしかして父さん? 誰か出して〜⁉︎」


 風呂敷から抜け出せたと思ったら、周りには誰もいなかった。でも運んでいる時、明らかに父さんの声がした。


 つまり――。


「あの野郎捨てやがったなぁ⁉︎」


 とりあえず森の何処かだろうという事は周りを見ればすぐ分かるので、とりあえず村を探した。


「全然何処か分かんないな……あ」


 勢いよく落とし穴に落下した。中を見ると、山の下の洞窟で、落ち葉が上手くクッションになってくれた。


 いや、どちらかというと元々クッション用だった?


「……誰?」


 檻のようなものの中に、金髪の少女が眠って……いや、どうやら僕が落ちた振動で起きたっぽい。


「私? アマテス……」


「アマテスね。僕はテラス。なんだか、ちょっと親近感を感じるよ。よろしくね」


 アマテスが檻の間から出した手で、僕達は握手する。


 その瞬間――。

 僕の頭の中には、かなり昔の記憶が蘇ってくる。それはおよそ六年前だろうか。金髪の少女と僕が、今のように握手し合っている。


「……アマちゃん⁉︎」


「あ、テラス君?」


 六年前、選ばれて村を出て行ったはずのアマちゃんがなんでここにいるの?


「ガルルルゥゥゥゥゥゥ‼︎」


 声がしたと思い振り向くと、暗闇の中から巨大な化物が現れた。


 なんだあれは⁉︎


「アマちゃん。逃げるよ‼︎」


「え⁉︎」


 檻を強引にぶち破り、そのままアマちゃんを連れて逃げ出した。最初は壁にぶつかって体勢を崩した化け物だけど、回復したのかすぐに追ってきた。


 無我夢中で走って、目の前の霧を抜けて行った。


「……え⁉︎」


 霧を抜けた僕達の目の前に広がっていたのは、果てしなく続く荒野だった。村の外にある街やビルなんてものは、見つかりそうになかった。


「……あ、テラス君危ない‼︎」


 アマちゃんが僕を突き飛ばして、なんとか化け物の攻撃を回避した。が、次はもうない。


「このままじゃ……」




 その時、遥か遠くから声がした。


「助けてやるぜ……蒸身(じょうしん)‼︎」


 化け物は吹き飛ばされ、目の前には赤い戦士が立っていた。それはまるで、母に聞いた変身ヒーローのよう。


「貴方は……何者なんですか?」


 アマちゃんが問う。


「俺の名前は、ジャンズマグナム。月面特殊部隊エイアに所属する……って言っても分かんないか。とにかく、助けに来たぜ‼︎」


 化け物を武器を使って一方的に撃ち抜いていく。


「こいつはジャンズガンっていってな、エネルギーを圧縮して放つアイテムだ。さて必殺……ジャンズブラスト‼︎」


 巨大なビームを放出して、化け物を倒した。凄い。


「この地球(ほし)には、何もないんですか?」


「……ああ。この広大な荒野は、世界の果てまで果てしなく続いている。君たちの村以外に、人類は住んでいない」


「……本当なんですね?」


「ああ。嘘じゃない事は約束しよう」


 僕はその時、絶望していた。

 いつも僕は一人になる度に、この村から出た未来を妄想していた。頑張って宇宙飛行士になって、いつかは月に行ってやるんだと。


 いつも僕は、夢にいつか手が届くものだと思ってた。


 現実は、明るい世界なんて何処にもない。この果てしない荒野が、ずっとずっと続くだけ。


「じゃあ、貴方は何処から来たのですか?」


 確かに、少し不思議だ。


「そこの少年‼︎ あんまり絶望するんじゃない。何故なら人類は、地球以外で生きているからだ‼︎」


「……え?」


「西暦が終わり、今はGalactic.Century‼︎ 人類は宇宙で暮らし始めてるんだ‼︎」

Record1の世界も実はGalactic.Centuryでした〜みたいな事はありません。強いていうなら神逸村の存在自体は、Record1の世界でもあるくらいです。

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