アーシャエンド
【チャプター4-3にてスターナとリリムが死亡後に救えなかったルートになります】
結局、俺の拳は、荒れ果てた荒野を穿つだけだった。
「リリム……スターナ……」
無力感を抱え自宅に帰った。
泣き腫らしたアーシャさんを抱え、ベッドに寝かせた。
床に転がった酒瓶を拾い上げ、インベントリに仕舞う。
スターナのツンデレ構文も、リリムの笑い声ももう聞けない。
そう思うと、これ以上物語を進める気にはなれなかった。
毎晩、アーシャさんの啜り泣く声が静かに響く。
❇
彼女は日に日に痩せ細っていった。
「アーシャさん。ご飯、ここに置いとくよ」
寝室から返事は返ってこない。
代わりに扉がゆっくりと開いた。
「ダイチさん……」
久しぶりに見る彼女は酷くやつれていた。
「……返して……スタちゃんを……返して」
アーシャさんが、力なく僕の胸を叩く。
俺は今にも壊れそうな彼女を優しく抱きしめた。
「ごめん……アーシャさん……ごめん……」
ただ、謝ることしかできなかった。
❇
あれから幾年もの月日が流れた。
止まった季節の中で、それでも俺たちは生きていた。
「ダイチさん……もうすぐ生まれるみたい」
アーシャは、大きくなったお腹を愛おしそうにさすっていた。
「ああ……」
「ふふ、スタちゃん……また会えるわよ」
あの日から、アーシャは少しずつおかしくなっていった。
それでも俺は、彼女と共に生きることを選んだ。
やがて俺たちは、新しい命を授かった。
アーシャは僕を見てくれてはいない。
彼女の想いをお腹の子に背負わせるには重すぎる業なのかもしれない。
いつかアーシャが立ち直ってくれると信じて、
俺は妻と新しく生まれてくる命を生涯守り抜きたい。
それが、亡くなったスターナとリリムへのせめてもの手向けだと……そう自分に言い聞かせた。




